(織田ドラマTOP)
(織田ドラマTOP)
「恋はあせらず」は、織田裕二コスプレ・ドラマである。
と言ったら怒られるだろうか?
このドラマはおそらく、「踊る」の青島のイメージから抜け出そうとの、
「気負い」を持って作り始めたのだろうと思う。
南の島出身の勘違い野郎のサクセス・ストーリー。
南の島なのになぜかカウボーイ・スタイルだったり、
むやみにハイテンションだったり、共演が香取慎吾だったり、
妙にチカラの入ったところがあった。
また、初めは「雲の上の美女」レイを手に入れようとする勘違い男と、
憎めないお間抜け詐欺師のコメディだったのが、
途中から、男の友情中心のサクセス・ストーリーへと変化した。
それなりに、見所もあり、ファンには楽しめる作品であったものの、
全体としては、明かな方針の変更がみえてしまうなど、
「上質の」作品であったとは言えないだろう。
だが、ファンとしては実に「おいしい」ドラマである。
このドラマで織田裕二は実にさまざまな衣装を身につける。
通常、ドラマでの織田はスーツかオーソドックスなカジュアルが多い。
それが、このドラマでは黒服・スーツ・カウボーイ・アロハ、ステテコ姿までも。
もう、それだけで、ファンにはたまらない。
貴重なコスプレ・ドラマとして、ファンには涙物だろう。
演技の面では最終話の織田が実にカッコイイ。
敵を欺くために、味方をも欺き、独り悪に染まるフリをする喜屋武明。
心ならずも千秋を突き飛ばし、フクザツな表情を見せながらも、悪態をつく。
津守になじられながらも、本心を隠し、悲しい表情の明。
その辛さを紛らすためにバッティングセンターで球を打ちつづける姿。
役の中での演技とはいえ、クールな織田はカッコイイ。
調印式での大芝居のシーンも名シーンと言えるだろう。
このドラマは、おそらく織田やスタッフの構想どおりの成功ではなかっただろう。
視聴率もそこそこで、ファンは楽しめたが、そこまでである。
平行して進んでいた「踊る」シリーズのイメージの陰で、中途ハンパなものとなった。
「踊る」との決別をするには、時期的に無理があったのであろう。
残念なことであったが、しかし、ファンには嬉しい作品と言って間違いない。