(織田ドラマTOP)


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織田ドラマ
お金がない!

トイレから、破れたTシャツとトランクス姿で登場する織田裕二。
いいのか?!
そう思ったのは私だけだろうか。
アイドル俳優なら、およそやらない、ある意味衝撃的な登場である。

「お金がない!」の織田裕二はコメディアンに徹している、
というほどでもないが、かなりの壊れっぷりである。
セミはやるは、引っ叩かれるは、ネクタイをシュレッダーに挟まれるは、
並べるとキリがないが、実に楽しませてくれる。
シリアスからコメディまで、織田の守備範囲は実に広い。

コメディだからと言って、演技が雑かと言えばそういうこともない。
萩原健太郎がアメリカから帰ってきてからのシーン。
エリート・ビジネスマンになった萩原であるが、なんとなく、台詞回しや動きがぎこちない。
織田の演技がぎこちないのか? と最初は思った。
しかしまさか、そんなことはありえないだろう。織田に限って。
そして、気がついた。
萩原が無理をしてエリート・ビジネスマン風に振舞っているからぎこちないのだ。
そこまでやるか、織田裕二。
織田の役作りは、実に徹底してると、改めて驚かされた。

ストーリーはよくあるサクセスストーリーではあるが、
実によく出来たコメディに仕上がっていると思う。
テンポも、織田の壊れっぷりも、共演者との絡みも、
さまざまなところで、思う存分楽しませてくれる。
このコメディドラマの成功は、織田の役幅をさらに広げた。
もっとも、映画ではすでにコメディは経験済みなのだから、
「ドラマファンに対して」その力を見せつけたという方が正しいのかもしれない。

また、このドラマでの本広克行監督との出逢いが、
あの名作「踊る大捜査線」へと繋がったのであるから、
ドラマ史上においても、この作品は大きな役割を果たしたといえるだろう。