憧れのスゥイートホームその1(携帯版)

新居が決まらないのだ!!
どうにかしなければならないのだ!!

過去において、バイク2台を引き連れての部屋探しの経験は3回ほど有った。
ニンゲンさまよりもバイク優先の部屋探しで、かならず難攻するのだ。
まあ、ヘンなタトエながら、二人の子連れで再婚相手を探しているみたいなもので・・・
ところが、今度はそれにバイク1台、クルマ1台まで加わって、まるで子供3人・姑までついての再婚なのだ。
GW明けからチョロチョロと探してはいたものの、素晴らしいオウチには巡り合えず。
本格的な最終決戦に挑むべく、TWに2ケツでいざ出陣!!

まずは、あらかじめ物件のピックアップを依頼しておいた大手のA不動産に。
辿り着くと、一戸建てを中心に4軒ほど用意されていて、さっそく現地を視察に向う。
4軒中3軒は、3台分のスペース無し。
残る一軒は・・・・・
こ・こりは凄い!!
2LDKのテラスハウスなのだけれど、奥まった私道が使い放題!!
3台どころか10台はイケる!!
イキナリ凄すぎるよう!!!
しかし、値段も凄すぎたのだ。
「何かガマンしなきゃ絶対見つかりませんよ!」
などと不動産屋に詰め寄られながら
「あ・あのぉ・・・他も見たいので保留に・・・・」

次のB不動産を目指す。
ここは賃貸部門では東東京1の物件数を抱える会社だ。
この会社、どこの支店も賃貸担当者は若い女性(しかもミニスカ!!)をズラリと揃え、一見シヤワセに部屋を探せそうだけど・・・
これが逆効果なのだ!!!!
こういった女性独特の
「キマジメ」「杓子定規」「融通が利かない」「プライド高い」
が、全てアダとなり
「バイク3台ですってぇ!!そのような部屋はございません!!」
まるで、ワニを飼える部屋でも探しているかの如く、顔を強張らせての拒絶反応。
「バイクが置けるかどうかは自分達で判断するから、とにかく家を見せて!」
説得の末、何とか物件を見せて貰える事に。
狙いはボロい一戸建て。
イビツな形の間取り図が、バイクスペースの気配を感じさせてくれる。
クルマに乗せられ、不動産ねえちゃんの機嫌を伺いながら、超細い路地を走りぬけたどん詰まりの一軒家に到着。
こ・こりは・・・
戦後動乱型廃虚系だぁ!!

戦後復興お涙奮闘記系ドラマのセットの様なドアを開けて中に入る。
フローリングという言葉が流行るより何十年前に完成したであろう板の間。
「家族には隠し事が有ってはならない!!」
といった主張なのだろうか、トイレにはカギも無く、コンクリむき出し床の風呂には脱衣場さえも無い。
洗濯機の置き場所を探していた朱蘭様、水道の引いて無い、2階の木製のベランダにヘンな物を発見!!
「なにこれぇ・・・・」
一階からゴムホースを引っ張りあげてあり、手動ポンプ(灯油とかを入れるヤツ)で水をくみ上げる仕組みラシーのだ。

「ぜ・全室、エアコンが付いてますよぉ!!!」
何とか、この家の(数少ない)良い点をアピールしようとする不動産ねえちゃん、合理的省スペース型急勾配階段で足を滑らせ、自慢のミニスカを全開にして落下してくる始末。
それでも、けな気に足を引き摺りながら、
「いかがですかぁ?お気にめしましたぁ?」
幸か不幸か、頑張って路駐を含めても、バイク2台しか停める事が出来ないD51不況型ハウスなのだった。



「やっぱりバイク3台はムリですぅ!!!」
ケツをさすりながらワメく不動産ねえちゃんを再びなだめ、勝手に外観だけを見てくるからと、駅周辺のマンションを紹介してもらう。
おおっ!!!
駅から僅か3分の所に、最適マンションがぁぁ!!
大通りに面した一階の角部屋、フツーなら思い切り敬遠されそうな部屋なのだけれど、バイクを置くには最高の環境ではないか!
さっそく、不動産ねえちゃんに来てもらう。
「ホラッ!!ここと、ここと、ここに、余裕で置けるでしょ?」
「あのぉ、駐輪場に置いて頂きたいんですが・・・」
「原付じゃ無いんだから入りきれませんよ!何でここはダメなの?」
「そこは正式な置き場所じゃありませんっ!!」

過去の経験では、やり手不動産オヤジなどは、大家をなだめたり騙したりしながら、キッチリと許しを勝ち取ってくれたものなのだけれど・・・
「あのぉ、大家さんと直接交渉させて頂けませんか?」
ただ単に、バイクを知らない人が話をするよりは、自分で直接説明したいと思っただけで、彼女の交渉能力をどうこう言うツモリは無かったのだ。
でも、この一言が、不動産ねえちゃんのプライドを傷付けてしまったようだ。
いままでの笑顔は引きつり、ワナワナとしながら、
「ワ・ワタクシども仲介業者といたしましてわぁ!
そ・その様な事をぉ!
い・言われますとぉ!!!!・・・・・・(怒)」
「にゃ・にゃにおう?大家のご機嫌ばかり伺いやがって!!!」
まあまあまあ!と、朱蘭様が間に入り、
「デカい1台だけは階段下に置かせてもらい、2台は駐輪場に置く」
といった妥協案で、大家と交渉してもらう事に。

不動産屋の事務所に戻り、ねえちゃんの交渉のTELを見守る。
「やはり、バイク3台は許可できないそうです。」
事の成り行き上、ねえちゃんの前向きな交渉などは期待できず、判っていた結果とは思いながらも、一気に疲れが出る。
ああ、我々の新居は一体どこに・・

布団一枚敷いた場所以外には足の踏み場も無い部屋。
何の宛も無いまま、今日も寄り添うように暮らす新米BAKA夫婦なのだった。


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