飛島まんすけ(2003GW・飛島)その2(携帯版)


島の中央部は平べったい台地状になっていて、それが島の唯一の平地だったりするので、いたる所に畑などが点在します。
ここいらにはカラスは居ないようですが、ウミウが畑を荒らすのでしょうか。
畑のハジッコなどに、首吊り状態のウミウがぶら下げられていたりします。
見せしめの晒し者なのでしょう。
作り物ではなく、ホンモノなのです。見てられません。

さて、無人の地である島の西半分ですが、けっして人外大魔境といったオドロオドロしさはでありません。
サワヤカな林が広がる中を、遊歩道が縦横無尽に駆け抜けております。
遊歩道は未舗装ですが、ひどい悪路といった感じでは無く、観光案内板もきちんと整備されてます。
その案内板を見ると、階段のある箇所はキッチリと色分けされていて、チャリで階段を避けて走る際には、とても心優しいサービスです。

バイク乗りであれば、この遊歩道をバイクで走ってみたくなるのは必至です。
適度にアップダウンがあり、林間から垣間見える日本海の眺めも美しく、海に迫り出す荒崎の千畳敷風の海岸、まんまるな御積島、トンガリな烏帽子群島などの奇抜な風景が満喫できるのです。
階段だって楽勝な箇所が多く、とにかく変化に富んだコースなのです。
しかし、その実現は困難でしょう。

遊歩道の走る地域には、バードウオッチャーが、ウヨウヨと蠢いているのです。
彼らは基本的に徒党を組み、あるいは単独で、まるでバズーカ砲のような巨大望遠鏡を持ち歩き、ホントにどこに行っても居るのです。

彼らは極端に静寂を求めているようです。
チャリで横を通るだけでも、汚物でも見るような目つきで睨みつけてきます。
そんな彼らに
「遊歩道をバイクで走ってるヤツがいる」
などとチクられようものなら、もうタイヘンです。
なにしろ小さな島なので、そのまま走り逃げなど出来ないのです。
結局は旅館か港でとっ捕まり、逃げきる事は不可能でしょう。
漁師に捕まったら、干物にされるかもしれません。


飛島では、マリンレジャーを楽しめます。

まずは海水浴。
勝浦港の奥に、そこそこの砂浜があります。
トイレや脱衣場のようなモノまで完備されています。
ちょっとした入江なので波も穏やかなのですが、ある意味、とてもキケンな場所です。
何がキケンなのかと言えば・・・・
ウミネコがすごい密度で群がっているのです。
海水浴場のすぐ脇の岩肌が、そいつらのフンで変色しているほどなのです。
まるで蚊柱のようにウジャウジャと飛び回るウミネコが容赦なく絨毯爆撃をしてくる中で泳がなければならないのです。

そしてダイビング。
ダイビングショップなどが有るわけではなく、ただ単に漁船のオッチャンが潜るポイントまで連れてってくれるだけみたいなのです。
従って、用具のレンタルもなければガイドもつきません。
全て、自己責任で潜る事になるのです。

きらびやかなサンゴ群、イルカとの戯れ、マンタとの出会い・・・・
ありません。まったくありません。

サンゴは細々と有るそうですが、何と言ってもココのウリは「サメ」なのです。
すぐ沖の御積島や烏帽子群島のあたりの海底の洞窟に、ドチザメとかいうグウタラなサメが、ウヨウヨと隠れ住んでいるそうなのです。
颯爽と泳いできてニンゲンを襲うような事は無く、メンドクサそうにダラダラと洞窟の底に折り重なるようにタムロしているそうで、なんだか面白そうではあります。

さて、我が家がチャレンジしたのは観光船です。
飛島一周コースと御積島までの往復コースが用意されております。
飛島一周コースが一人1200円、御積島が1000円であり、かなりお手ごろな料金設定です。
「乗客が5人以下でも、5人分は頂きます」
などと宣言していて、なかなかしたたかです。
出航さえすれば、客数とは関係無しに売上が確保される仕組みなのです。

観光船の出発時刻などは、どこを見ても書いてありません。
また、それらしい事務所も、連絡先の電話番号さえも見当たらないのです。
それでは、どうやって観光船の乗船を申し込めば良いのかというと・・・
全て、旅館が窓口なのです。
コレには、さすがの西村食堂も関与してません。

我が家も、旅館のオカミに頼みました。すると、
「午前中はダイビング客が入ってる。午後からならOKだって」
という返事です。
「そうですか。で、何時にどこに行けば良いのですか?」
「沢口旅館の前あたりの岸壁のところ。時間はアンタらの都合に合わせるって。」
ラッキー!!!って、おいおい・・・・
それって我が家の貸切かい?
5人分も取られちゃうのかい?
ど・どひゃぁ・・・・

とにかくとにかく、指定された時間に、指定された岸壁に出向いてみますと・・・・
来ました来ました、やって来ました。
防波堤の向こうから、一隻の船がやって来たのです。
アレかい?まさかアレかい?
どう見たって漁船だぁ!!

まだまだ判りません。通りすがりの漁船かもしれません。
でも・・・・
あきらかに、我が家を目指して一直線に突き進んでくるのです。
船長らしきオッチャンが、満面の笑みを浮かべながら。
しかも、なんとも言えないシワクチャのジェロニモ顔で、なんだか怖かったりするのでした。


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