不思議発見!!

●みちのく不思議発見●

もう10年位前になるでしょうか・・

宮城県石巻のちょっと先に「万石浦」という入り江があります。
その入り江の入口付近で、グラスボ-ト(船底にガラス窓があり、海中を観察できる観光船)を見つけ、乗ってみました。
屋形船を小型にしたような船の名前は「なんだこりゃ丸」。
それを操るのは、この商売を始めたばかりだと言う親父。
その名を「松尾馬笑」と名のり、船の中はくだらない川柳がいっぱい張ってある。

その日は風が強く波も高そう。
客は私とおねーちゃんの二人だけ。
果たしてどうなることかと思っていると、そこは馬笑、慌てず騒がず

「この位は大丈夫です。危なかったらすぐ引き返す事になっております」

と、出港。
外海に出ると、身の危険を感じるほどの凄い波!とにかく恐い!

(こんなのレジャーじゃねえ~)

それでも馬笑、慌てず騒がず

「こういう波の場合は、湾内を見て頂く事になっております」

と、船は万石浦の中へ。

(ほっ。でもそんな説明は無かったハズだけど・・)

さすが湾内は波はそれほど高くない。
しかし水は濁り、自慢の窓には魚一匹見当たらない。
窓に映るは、怪しげな藻のようなものがひらひらと・・・

ここでも馬笑、慌てず騒がず

「こういう場合は、お客さんに船を操縦させてあげる事になっております」

(それって、今思い付いたんじゃないの?)

操縦といっても、舵を取らせてくれるだけ。
でも、これがなかなか面白い!!

想像以上のスピード感!
馬笑も自信満々に

「ここいらでは一番速いグラスボートと言う事になっております」

今度はおねーちゃんが操縦する番になったのだが・・・

風が益々強くなり、船は風に流されて行く

(何かやばいんじゃないの?)

さすがの馬笑も少し慌てて

「風の強い日は、操縦は男性の方だけと言う事になっております」

(だから、今作るなっての!)

馬笑自ら操縦するも、船は流され何かの養殖のクイに引っかかって止まる。

(マジでやばいんじゃないの?)

ここで馬笑はファイト一発!
クイを次々なぎ倒しながらも何とか船着き場に到着。
そこには、おじさん・おばさん数人の客が船を待っていた。
何と馬笑は、その客に向かってしゃあしゃあと

「こういう天気の日には欠航する事になっております」

(てっめ~!やっぱり危なかったんじゃね~か!!)

さらに馬笑!慌てず騒がず、おじおばに、

「お帰りでしたら、駅まで車でお送りする事になっております。

お一人500円と言う事になっております」

・・・・もう負けた。


●伊豆不思議発見●

1990年7月厄日。
我々取材班は、伊豆松崎を発った。
ひま@スティード400・他一名@レブル250は、どんよりとした、何か邪悪な曇り空の昼下がり、県道59号を北に進む。
「あの場所」を目指して・・・・

仁科峠を越え、湯が島に至る道。
仁科川に添ったのどかな光景が続く。
これから待ちうける出来事への不安からか、会話はない。
やがて川は幅も狭まり、道はしだいに厳しい山岳路となる。
進につれ深くなる谷。
右に左にコーナーを駆けあがる。
時刻は午後3時。
覆いかぶさる木々が、それ以上の夕暮れを感じさせる。
いくつかの温泉を通過し、よりいっそう深くなる山が、「そこ」に近づいてきた事を物語る。
谷添いに張りついたような道。
右側は、一気に山の頂に届いてしまうような崖。
左側は、奈落の底へといざなう谷底。

前触れもなく、「そこ」への入り口が現れる。
左の谷底に降りていく道。
表示は何も無い。
細い舗装路。
怪しい鳥の叫び声が響く。
川のせせらぎの音とともに、何とも言えない「気配」も近づく。
分岐から1Km、「それ」は静かにたたずんでいた。


「大滝(おおたる)ランド」

開業を待たずして、放棄されたリゾート施設。


ただ一人の客さえ入らなかったホテル。
閉ざされたロビー・破れた窓。
その地下にはゲームセンター。
中にあるのは空間のみ。

プール。
もちろん水はない。
プールサイドには、5mはある恐竜が立ちつくす。
怪しいところが滑り台になっている。

対岸に渡るコケむした橋。
それを渡り、階段を上ると崩れかけた門、その中には色あせた閻魔様。


時間の止まった谷間、閉ざされた空間。

子供たちの歓声を待ちわびながら、凍りついてしまった世界。

ああ!亡霊たちの楽園!
怨霊たちのパラダイス!

レジャーのメッカ「伊豆」、その山奥に潜んだロストワールド。

その時間が、再び動き出す日はいつ訪れるのか。


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