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泥酔列車

(レポート:さっこ先生)

土曜の飲み会は、お銀座のチェーン居酒屋。
みんなで騒いで散々飲んでお開きのあと、地下鉄の黄桜線、大関線と乗り継ぎ、
松竹梅駅で久保田電鉄千寿線に乗り換えると終電の一本前の鈍行。
ラッシュアワー並みの混雑。
飲みすぎの後輩と車掌室のまん前にのりこみ、そこからながーい酔っ払い電車の旅がはじまりました。

左には後輩が立ったまま、ドアの脇の棒にもたれて「あー」とか「うー」とか言いながら、
ときおり、がくんがくんと膝がまがります。
右はというと男性の酔っ払いが体を揺らせながら鼻くそをほじっています。
うえーなんだよう、鼻糞くっつくじゃんかよーと思っていたら、
次に止まった〆張鶴駅で、駅員二人に両腕をかかえられた若い女性が乗ってきました。
べろんべろんで手にはポリ袋をにぎっています。
女性をのせると駅員は無情にもさっさと降りてしまいました。
私の前に立ったと思ったらその女性、私の足の上におしりをのせ、うずくまってしまいました。
なんてこっちゃ。
壁にくっついて立っているので足を抜いたら立つのがつらい体勢に。
その上右も左も前もいつリバースするかわからない緊張感。
修行僧のように忍耐の一文字でじっと我慢我慢。

しばらくすると鉄道のパトロールのおじさんが2人乗り込んできました。
やった!これで誰がリバースしても助けてくれるぞー。
ちょっと気がゆるむ。
ところが、そのとき座り込んだ女性の前に立つ男性、直立の体勢のまま
いきなり後ろむきに倒れてきて、私の顔面にガツーンと頭突き!
そのまま座り込んだ女性の上に倒れてしまうではあーりませんか!
顔面蒼白、気絶状態。
まったくのノーマークだった人物の暴挙になすすべもなく、私は後ろのガラスにも頭をうち目からは星がとぶ。
なんじゃこの電車は!!

あわててパトロールの人が男性を起すと意識を取り戻し、立ち上がるが、今度は白目を向いて崩れ落ち、
額をしこたま手すりにぶつけ、流血!
さすがに立ち上がれず、連れの女性がキズの手当てをしている横で、
男性に乗っかられたのが引き金になったのか、座り込み女性がげーげーリバース開始!
修羅場となった電車。

パトロールのおじさんにここ空けてくださいと言われ、ずれたものの、女性はかなり苦しんでる。
背中さすろうかなーと思ったけど、がばあっとあいた服で、なんだかさわりにくい。
結局みてるだけー。
よっぱらった後輩さすがに目をさましたものの、女性を指差し、
「あーこのひと吐いてるー、げーげーやってるー」
とか言う始末。

びっくりなのがパトロールの人たち、じゃ、とかいって多摩自慢駅で降りちゃった。
周りの人たちに、え、降りちゃうの?とさんざん聞かれても平気な顔してる。
なにがパトロールじゃい!

結局座り込み女性も、倒れた男性も八海山駅で自力でなんとか降り、やっと車内には平穏が。

と、そのとき後輩が、
「あーっ!腕が抜けない!」
というではあーりませんか!
みると車掌室のドアの手すりの横棒とガラスの間に左腕のひじがばっちりはまってる。
後輩は次の高清水駅で降りるのであわてだし、一生懸命抜こうとするもぜんぜん抜けない。
このまま電車に繋がれて車庫いきかあー?と思いながら
一度肘から先も棒とガラスの間にいれさせて腕の角度を変えてみたらあっさり抜けた。
なんとか高清水駅で後輩はおりていきました。
(この後輩、次の日肘が痛いけどなんだろうなんていってた。はー。)

私はすっかりしらふになってしまい、酔鯨駅で電車からおりるのでありました。


【駅名などは変えてありますが、すべて紛れも無い事実なのだそうです】

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