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富士迷子(1995・富士山)


  オウム真っ盛りな頃、そのサティアンを眼下に見下ろす富士林道で道に迷い、危うくポアしてしまうところだったのです。

 最初は快適に走りまくり、サティアン群などを見下ろして喜んでいたのですが。
火山灰の急坂を下っていくと、普通の乗用車が道を塞いでいる。
この親父、ここまで下ってきたものの、これ以上進めなくなって戻ろうとしている所。
しかし、こんなFR車でこの坂を登れる訳もなく立ち往生。
 バイクでクルマを牽引出来る訳も無く、人力でクルマのケツを押してあげるが全く歯が立たず。
2Km位手前で砂防ダムの工事小屋+工事の人を見掛けたのを思い出し、助けを求めに行ってやる。
工事の親父は不機嫌そうに

「ぬゎあに〜?俺達ゃ仕事で来てるんだ!そんなヒマあるかい!電話を貸せだぁ?そんなものね〜。自分で何とかしろ!」
(なんで私が怒られるのだぁ)

「前も4駆が動けなくなったってきやがって、ブル出したけど乗用車なんかで入ってくるとは無謀すぎだ〜!!」
(なるほどね。それって、金しだいってこと?)

 報告するため車に戻る。
スタック親父に報告すると

「解った。自力で下山して、クレーン車を雇う。」
「下まで結構ありますよ。2ケツで行きましょうか?」
「いいよ。あんただって楽しみで来てんだから。自業自得さ。」
「たぶん工事の人、金だしゃやってくれますよ。」
「ああ。話してみる。」


 親父を残し、山を下る。
散々とガレガレズリズリの道を進み、判断に困る分岐も次々と登場。
下界であるドクタービレッジに辿り着きそうな道をいくつか発見するも、どの道も巨大な岩で塞がれている。
その後、迷いに迷う。
コンクリ舗装の道を見つけて下ってみるが、途中で道がなくなる。
来た道も解らなくなり恐怖を覚えた頃、山仕事の車を発見!
道を教えてもらい、たどり着いたのが・・・・

おおっ!!人間界の証!!養鶏場だぁ!!
その先には生活感をチラホラと滲ませた民家も見えるぞぉ!
駄菓子菓子・・・
無情にも、そんな人間界との境界には、堅牢なゲートが立ち塞がっていたのだ。

 鉄格子型のゲートで、その片側はガケ・反対側は密林で手前に空堀+岩。
すでに夕方の気配が見え隠れし、今更戻る気力もなく、怒られるのは覚悟し、しばらく車が来るのを待つ。
だれも来ない・・・
ゲート直前の枝道の様子を見る。
ここにもずっと空堀が続く。
こうなったら勝負!
空掘の浅そうな所に倒木をほうり込み、そこを突破。
そのあと、密林の中をヨタヨタ走る。
でたぁ〜!出れたぁ!!
あの親父と2ケツで来てたら、どうなっていた事か・・・

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