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突入!!葛西橋(2000・東京)


 いつもの様に朝飯を食っていると、けたたましいサイレンの音。
ありは消防車と救急車であろうか・・・・・・
パトも居るようで、三役揃い踏みではないか。
間髪入れずに、テレビからは道路情報が流れる。
「葛西橋でタンクローリが横転、大渋滞。下りは通行止!」
な・なんですとぉ!!!

 葛西橋。
荒川を渡る橋で、江東区砂町と江戸川区葛西を結ぶ。
1キロを越える長大さに比べ、頼りないほど細いムリヤリ片側2車線。
湾岸線の橋が出来るまでは、無料で渡れる最下流の橋だった。
現在でも下町の大動脈として、朝(上り)や夕方(下り)の渋滞はアタリマエ!
まさに渋滞する方向を毎日ひた走るワタクシのTWは、橋から数キロも無い所に住んでいるのだ。

 同じ渋滞でも、事故渋滞ほど流れの悪い渋滞は無い。
事故処理の為に一時的に停車させられるケースもあるからだけど、何と言っても皆ついつい見とれてしまうのが主な理由であろう。
現に、散々渋滞して現場に着いたら処理された後だった・・・
なんてのは悔しいではないか。
う〜む。
ひっくりかえったタンクローリーを見てみたい気がする。
最もヒサンな事故現場は「バキュームカーの横転」で、そんなものを見てしまったら当分メシが食えまい。
しかも、マジに今夜はカレーを作るのだ。
まあ、タンクローリーと言うからには、それは無いだろう。
でも朝の貴重な時間は大切で、ちょっぴり遠回りだけど、一本北側の船堀橋を渡るのが賢明なコース取りであろうか・・・・・
「ねぇ、どうなってるか見て来てよ!!あとで報告しなさい。」
「えっ?だって遅刻しちゃうよう!!」
「それなら早目に出なさい!!」
何と言う妻なのだ・・・・

 葛西橋を渡る葛西橋通りはピクリとも動かない大渋滞である。
それに合流しようとする道もクルマで溢れ、路肩・歩道走行を繰り返しながら前進し、何とか橋の西詰めに到着。
ここまで来ればいつもの朝の渋滞と変わらないハズなのだけど、さすが事故渋滞!!!
前進する速度が全くトロい。
通行止となっているハズの反対車線は一台もクルマなど来る気配は無く、橋の反対側での混乱&修羅場っぷりが目に浮かぶ。
 やがて、こちらの車線も全く動かなくなる。
ムリヤリ2車線のこの橋、乗用車以外のクルマが並んでしまったらスリヌケは不可能!
バイクも数台ずつに固まったままで身動きが出来ずにいる。

 果して会社に間に合うのだろうか。
今ここで動いている物と言えば・・
目前に迫った海からの風に吹き晒された川面の白波、
歩道を行き交う、今日から2学期の高校生達のチャリ、
海風に容赦無くめくりあげられるオネーチャン達のミニスカ、
そして、それに目をやり一瞬のチャンスに期待するドライバーやライダーの視線。

それだけなのであった。



 諦らめて新聞などを読み始めるドライバーも現れる。
クルマの居ない反対車線に入り込もうとして慌てて戻るスクーター、恐らくケーサツの姿にビビったのであろうか。
んもぉ八方塞がり!!
おとなしく女子高生のチャリでも眺めているしか無い。
くどいけど、良い風が吹いているのだ。

 以前、某女性に質問された事があったのだ。
「ねえ、ミニスカミニスカって言うけど、なんでオトコの人はそんなにパンツが見たいの?」
それに対して、この様に答えたら納得してくれたのであった。
「パンツなんてものは、所詮ただの布切れである。その様な物が面白い訳では無い。本人が『見られたくない』『隠したい』と思っているのに見えてしまうから面白いのである。」
まあ、異論反論はお有でしょうが、少なくとも、この橋を渡る女子高生には隠す気持ちは無いらしく、(それよりも遅刻が気になるからだろう)んもぉ全くの風まかせ状態で走っている。
ミニワンピやボディコンではこうもいくまい。

 不意に、反対車線からクルマの集団が固まってやってくる。
おおっ!開通してしまったのか!!。
しかし、程なくクルマの流れが途絶える。
どうやら上り線を使っての交互通行に切り替えたらしい。
その為にこちらまで完全停止状態になっていたのか。
しばらくしてから、一気に前進が始まる。徐々にタンクローリーらしき姿も見えてくる。
 おびただしい数のケーサツに囲まれ、タンクローリーは自立していた。
横転しているのでは無かったのだろうか?
起こしたにしては、重機の姿が見当たらない。
テレビの誤報?
それともケーサツらが人力で起こしたの?
まあ、ノーミソまで筋肉の、ケーサツ官なら可能かもしれない。

 前がひしゃげたタンクローリー、ボンネットが殆どめり込んだアコード、2台の事故車が逆の方向を向いて止まっている。
いったいどういう事故だったのだろうか。
まさか渋滞にハマっていた上り線のアコードに、ガラガラの下り線を走ってきたタンクローリが正面から突っ込んだ訳でもあるまい。
それなら他のクルマも無事じゃ済むハズが無い。

 やはり、朝は皆忙しいようだ。
じっくり現場を見るクルマなど無く、消化器だか引火防止の薬品だかが散布された路面を踏み越えて、キビキビと事故現場を通過。
後は決壊したダムのように、一気に江東区側に流し出されるのであった。

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