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点火御免(1991・四国)
キルスイッチがOFFであってもセルが回っちゃうタイプのバイクも有りますよね。
(どちらの方が多いのかしらん・・・・・)
以前乗っていたSTEED400もそうでした。
そりは真夏。
灼熱の四国での出来事でした。
汗をダラダラ流しながらの街中走行。
ちょこっと止めて一休みしたら、エンジンが全くかからなくなる。
先に種明かしをすれば、
「ヘルメットを脱いでミラーに掛けた最に、ヘルメットがキルスイッチを押していた」
という事だったのですが、暑さにボケたのか、その時はそれに気づかず。
今ならば、キルスイッチやガソリンコックは真っ先にチェックするんですが。
(T組ツーリングで、一番鍛えられるのはこりですな。気を許せば、いつのまにかヤラれちゃうのです))
あれ?おかしい!!と、再びメットを脱いでミラーに掛けたものですから、キルスイッチは再びメットのフチの影に隠れて見えなくなる。
ガソリンは?・・・・(フタを開けてみる)・・・・ある。
プラグは?・・・・・(外してみる)・・・・・・・いい色。
火花の有無を確認すれば判ったのに、マヌケな事に知恵が回らず。
数十m先にバイク屋があり、店のオヤジらしいのが
「おっ!何だ何だ!何かトラブってるぞ!いらっしゃぁ〜い!」
ってな感じでコチラをじっと見ている。
何かクヤシイので、自力で何とかしようと思い、確認した状況とは無関係に押しがけにチャレンジ!!
遥か先の下り坂を目指し、押し歩きながらも時々走ってトライしてみる。
結果は当然ダメ!!
徐々に近づくバイク屋オヤジ。
「ふ〜む、エンジンが掛からないのね・・」
オヤジのアタマの中では、チェックすべき項目が整理されつつあるだろう。
一瞬、オヤジに頼もうかともアタマをかすめたけれど、こういうケースのバヤイほど、オヤジにエバラれてしまう物なのだ!!
そして店を通過!!
「ありぃ?どこまで行くのぉ?」
そんな感じのオヤジの視線を背中に受け、ひたすら歩く。
もう後戻りは出来ない。
「ほぅら!!だからオッチャンに任せれば良かったのに。どりどり」
なんて事は言わせてたまるかぁ!!!
やっと緩やかな坂の下り口に。
ヤレヤレ。
400とは言え、アメリカンは重たいよう!!。
オヤジは、まだこちらを見ている。
「諦めの悪いボーズだなぁ。坂を下っちゃったら戻るの大変だよぉ」
う・うるさいっ!!。
さぁ!!ここから真剣勝負だぁぁ!!!
気合を入れて、それまでミラーに掛けっぱなしだったメットを被る。
ここで始めて・・・・・
「ぐおおおおおお!!キ・キルスイッチがぁぁぁ!!!!」
スイッチを戻すと、当然の様に一発始動。
グッタリ・・・
エンジンが掛かっても、まだ見ているオヤジに対し、
「いやぁ!!たまに街中を押し歩くと、街の風情を楽しめますねぇ。わたしゃコリが好きで・・・クセになりますねぇ」
などと、寒いイイワケを言った所で・・・・・
オヤジには全てお見通しだったであろう。