(C)TOSSインターネットランド /中学校/1年生/社会科/地理/地図
冨士谷晃正(TOSS中学/滋賀)
『新しい社会 地理』(東京書籍)の教科書を使った50分間の授業。教科書に掲載されている資料と地理用語集(本実践では吉野教育図書のもの)を使って1時間の授業を組み立てた。「地球儀と世界地図にはそれぞれ長所と短所があること」、「世界地図はある一部のみが正しく、目的に応じて作成されたこと」を理解させる授業である。
1.学習課題を知る
教科書8頁を開かせる。タイトル「地球儀と世界地図を比べてみよう」を教師が読む。
指示1 タイトルの右に学習課題が書いてあります。全員で読みます。さんはい。(地球儀と世界地図は、どのような長所と短所があるのでしょうか。)
声がそろっていなかったのでやり直しをさせた。
説明1 今日はこのことについて調べていきます。そこでまず、地球儀と世界地図の違いについてみていきましょう。
説明の後、以下の表をノートに書かせた。
板書1
面積 | 方位 | 距離 | 角度 | 形 | 目的 | |
地球儀 | ||||||
※TOSSノートを使用すると、表を書かせやすい。TOSSノートの購入先は東京教育技術研究所まで。
ノートに書かせたら、地理用語集(吉野教育図書)を資料として配布した。表が早く書けた生徒には読んでおくように指示を出した。
2.地球儀の長所と短所
全員がノートに書けたのを確認してから、 「地球儀です。地球の形をかたどった球体の模型です。」といって、実物を見せた。
指示2 「地球儀」と書いてあるところに指を置きなさい。全員で読みます。さんはい。
発問1 地球儀は面積は正しいですか (1名をあてて確認する)。
方位は正しいですか(1名をあてて確認する)。
同様に「距離は?」、「角度は?」、「形は」というように生徒に確認をしていった。
全ての項目について、生徒は「正しい」と答えていった。
指示3 表に○を書き込みなさい。
面積 | 方位 | 距離 | 角度 | 形 | 目的 | |
地球儀 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
発問2 この表を見て、地球儀の長所をノートにまとめなさい。
数名に答えさせた。 「地球儀は、地球をほぼ正確に表している。」というような内容が書けていればよい。
指示4 地球儀の短所は何でしょうか。教科書本文から見つけて、線を引きなさい。
1名を指名し、答えさせた。「地球儀では世界全体を見ることができず、持ち歩くには不便です。」という部分である。この部分をノートに書かせた。
3.3枚の世界地図の長所と短所
説明2 地球儀の短所をうめるために世界地図がつくられました。
説明2の後、用語集のコピーの中で、「世界地図」を読ませる。
発問3 世界地図にも短所があります。何ですか。
1名を指名した。「距離や面積などすべて正確に描くことができない。」と答えたので、「その通り」と褒めた。。
説明3 教科書9頁には、3枚の世界地図が載っています。□2はメルカトル図法といいます。(「メルカトル図法」と言わせる)
□3は正距方位図法といいます。(「正距方位図法」と言わせる)
□4はモルワイデ図法といいます。(「モルワイデ図法」と言わせる)
その後、ノートに書かせた表にそれぞれの地図の名称を書かせる。
面積 | 方位 | 距離 | 角度 | 形 | 目的 | |
地球儀 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
□2メルカトル図法 | ||||||
□3正距方位図法 | ||||||
□4モルワイデ図法 |
発問4 □4の地図を見ます。この地図には1つだけ正しいものがあります。何ですか。(面積である)
1名の生徒を指名し答えさた。
発問5 □3の地図を見ます。この地図には2つだけ正しいものがあります。何ですか。(方位と距離である)
1名の生徒を指名し答えさせた。
発問6 □2の地図を見ます。この地図には1つだけ正しいものがあります。何ですか。(角度である)
1名の生徒を指名し答えさせた。
その後、表に○を記入させていった。生徒のノートは次のようになった。
面積 | 方位 | 距離 | 角度 | 形 | 目的 | |
地球儀 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
□2メルカトル図法 | ○ | |||||
□3正距方位図法 | ○ | ○ | ||||
□4モルワイデ図法 | ○ |
指示5 □2の地図にあるグリーンランドに指を置きなさい。(置けたのを確認したら)オーストラリアに指を置きなさい。
オレンジ色に塗られている所がグリーンランド、水色に塗られている所がオーストラリアであることを確認する。そして次の指示を出す。
指示6 □4の地図にあるグリーンランドに指を置きなさい。(置けたのを確認したら)オーストラリアに指を置きなさい。
同じ色分けがされているので生徒はすぐに指を置くことができた。
発問7 □4の地図は面積が正しい地図でした。グリーンランドとオーストラリア、面積はどちらが大きいですか。
□4の地図を見れば、オーストラリアのほうが大きいことは視覚的に理解できる。
□2の地図をもう一度見るように言い、□2の地図では、グリーンランドの方が大きくなっており、正しくないことを説明した。
指示7 □3の地図の東京に指を置きなさい。
発問8 □3は距離と方位が正しい地図でした。東京の真東にあるのは何大陸ですか。
1名の生徒を指名し答えさせた。「南アメリカ大陸」である。南アメリカ大陸は茶色の大陸であること、そしてアルゼンチンの首都ブエノスアイレスが東京から見て真東にあることを説明した。
指示8 □2で日本に指を置きなさい。日本から見て、茶色の南アメリカ大陸はどの方角にありますか。
1名の生徒を指名し答えさせた。「南西の方角」である。つまり□2の地図は方位が正しくないことを説明した。□4の地図でも南西の方角に位置して、方位が正しくないことを説明した。
発問9 なぜ、それぞれの世界地図はすべてを正確に表すことができないのでしょうか。
指示9 教科書から理由が書かれている部分を見つけて線を引きなさい。
線が引けた生徒1名を指名し、答えさせた。「地球は球体であるため、平面である地図には…すべて正確に描くことはできない点でした。」の部分である。
説明4 地球儀はすべてを正しく表していますが、持ち運びに不便でした。そのため、持ち運びに便利な世界地図がつくられました。
しかし、世界地図はある一部だけを正しく表しているのです。ですから、目的に合わせてそれぞれの地図を使い分けているのです。
指示10 3枚の地図が、それぞれ何に使われているのか、用語集から調べて漢字2字でノートに書きなさい。
生徒は、調べて書き込んでいった。早くできた生徒に板書させた。以下のようになった。
モルワイデ図法については、目的が書いてなかったので、分布と板書して授業を終えた。
面積 | 方位 | 距離 | 角度 | 形 | 目的 | |
地球儀 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
□2メルカトル図法 | ○ | 航海 | ||||
□3正距方位図法 | ○ | ○ | 航空 | |||
□4モルワイデ図法 | ○ | 分布 |