(C)TOSSインターネットランド /中学校/2年生/社会科/中世/経済/
冨士谷晃正(TOSS中学/滋賀)
『第12期教育技術の法則化126 中学社会1 生徒が熱中する社会科授業』 (明治図書)の185〜192頁に収められている「室町時代の大事件」の修正・部分追試である。この論文をパーツに分け、現在使用している教科書(東京書籍使用)や資料集『グラフィックワイド歴史』(東京法令出版)を使って実践したものである。
授業にすっと入る。
指示1 資料集65頁を開けます。
全員開けられているかを確認する。『グラフィックワイド歴史』(東京法令出版)を使用している。
指示2 右上、漢字とカタカナで書かれた文章を指差します。
指せた生徒から、隣同士で確認させる。
指示3 でたらめでもよいから、一回読んでみなさい。
その後、追読みを3回行う。
説明1 この文は、左側のお地蔵さんの石碑に刻まれています。
発問1 この碑文は、正長元年すなわち1428年の出来事に関係があります。このときに何が起こっていますか。
資料集の同じ頁に載っている。正解は、正長の土一揆である。
次のように板書する。
板書1 1428年 正長の土一揆
ノートに写させる。「その時の様子をお坊さんが記録しています。」と言って、資料集同頁の「大乗院日記目録」の場所を確認する。
指示4 読みます。
追読みを2回行う。その後、この資料について次のような板書をする。
板書2 土民→( )
ノートに写させる。全員が写し終わったのを確認して、次の指示を出す。
指示5 土民とは農民のことです。その土民が襲ったところをカッコの中に書きなさい。
全員で確認する。正解は、「酒屋・土倉・寺院」である。次のように書く。
板書3 土民→(酒屋・土倉・寺院)
その後、次のように問う。
発問3 土民はなんと言って酒屋、土倉、寺院を襲ったのですか。
すぐにある生徒を指名して、発表させる。正解は、「徳政」である。さらに、同じ生徒に徳政の意味を聞く。「借金帳消し」である。
説明2 ということは、この土民たちは、借金をしていたことになります。実は、酒屋、土倉というのは高い利子を取って金貸しをしていました。また、寺院も同じようなことをしていました。近畿地方一帯の農民が彼らに対して、「借金を帳消しにしろ」と言って一揆を起こしたのです。。
指示6 この資料でお坊さんが感想を書いた部分があります。鉛筆で線を引きなさい。
ある生徒を指名し、発表させる。「これ以上に国の滅びる原因となることはない」の部分である。 「よっぽど、すごい一揆だったのですね。」と言っておく。
発問4 この正長の土一揆、徳政はでましたか。
全員に挙手させる。その後、次のように説明する。
説明3 結局、幕府は徳政をだしませんでした。しかし、このとき、一部のお寺などは、その所領で徳政を行わざるをえなくなったのです。この碑文はそういう意味で「もう借金はないぞ」と書かれているのです。
修正点
黒木俊治論文「室町時代の大事件」では、指示6以後、資料を用いて一揆の団結をつかませるような授業を展開し、発問4につなげている。しかし、用いられた資料は正長の土一揆のものではなく、また、指示6のあと、すぐ発問4に入ったほうが授業がスムーズに流れたので、このように修正した。