恋する遊び島
「すいぞくかんにいくの〜!!」
「ジェットコースターに乗るんだよ!」
「ちょっと…」
「タクロウはどっちに行くんだよ?!」
「えっ?!」
「ねえ、すいぞくかんだよね?」
「ジェットコースターだよな?」
両脇から同じ顔をした2人が自分を見ている。
「ねえ!!」
そんなハモんないでくださいよ…2人とも…俺…困るんですけど?
「どっちだよ!!」
どっちって…そんな選べないっすよ。
ここは某八景島シーパラダイス(笑)。
今日は宙のリクエストでここにやってきた。
「ペンギンさんがいるんでしょ?僕の方がおっきいよね?」と
行くと決まった2,3日前からそわそらしながら、目を輝かせて動物図鑑を眺めていた。
もちろん宙が行きたいと言っていた水族館に行くハズだった……のだが。
宙に負けず、駄々をこねるヒサシがいた。はー…思わずため息。
子供と張りあんないでくださいよ、ヒサシさん…。
「ジェットコースター乗るだろ?」
「すいぞくかんでぺんぎんさんみるよね?」
また始まった…。2人して上目遣いで見ないでよ〜
「ジェットコースター!」
「ぺんぎんさんみるの〜!!」
あぁぁぁ!
「うるさーい!!」
「あ…怒った…」
「…たくろうおこっちゃったのぉ?」
なんだよぉ…そんな顔しないでよ、2人とも。俺が悪い事したみたいじゃないすか…。
「ヒサシ…宙はジェットコースター乗れないだろ?だから、水族館行こうな?」
人気の少ない場所まで移動して、ヒサシの頭を抱きよせる。
「うぅー…」
「今度2人でくればいいだろ?」
「…うん…」
ヒサシは小さく頷いた。
「2人でずるい」
「うぉっ!」
下から宙が、ほっぺたを丸くして怒っている。
「2人だけでなかよくしてズルイ!」
「ごめん。…ペンギン見にいくか?」
ヒサシは宙の前にしゃがみ込んで、怒っている宙の顔を覗きこむ。
宙が途端に笑顔になる。
「うんっ!!」
宙とヒサシは仲良く手を繋いで歩き出す。
「タクロー置いてくぞ!」
「先いっちゃうよ〜」
あれ?俺置いてかれてるし…。2人とも機嫌なおるのはえーな(笑)
「おい!俺を置いてくなよー!」
俺は仲良く手を繋いで歩いている2人を追いかけて走り出した。
「うわーぺんぎんさんだよぉ!!可愛いー!おっきーい!!ひさし、みてみて!」
「ペンギンて意外とおっきいなぁ」
厚いガラス一枚を隔ててすぐ目の前にいるペンギンに大喜びの宙。
俺も思わず笑みがこぼれる。
ヒサシも楽しそうだしな。良かった。
でも俺も水族館て久しぶりかもなー。
「ん?宙?どした?」
水槽にへばりついてペンギンを見ていた宙がいつのまにか足元にいた。
「ねーたくろお?ぺんぎんさんはー、寂しくないのかなあ?」
「寂しいって…?」
「だってね、ぺんぎんさんて、ほんとはひろーい所にいるんでしょ?」
「宙の嬉しい顔を見たら、ペンギンさんだって、寂しくないよ」
「ほんと?」
「ホント」
ふと目に入ったパンフレットを見ると、あと10分程でショーが始まるって書いてある
「あと10分でショーが始まるって。行くか?」
「しょお?あしかさんとかいるかさんとかいる?」
「いるいる。」
「いくーー!!」
ペンギンはどこへやら。すっかり意識はアシカとイルカに向いている(笑)
「よし。じゃ行くか。」
「うんっ。」
「ヒサシも。行くぞ」
「うん。」
「うわーーっ!」
目の前でイルカがジャンプする。再び、水の中に戻る瞬間、周りに水か飛び跳ねた。
「つめたーい!あーいるかさんおよいでるよ〜。」
ショープールの前面のアクリルは透明になっていて、泳いでいる様子が横からも見られるようになっている。
『さーみなさーん!つぎはアシカさんの登場ですよー!』
ショーを導いている女の子の声で、ステージ脇からアシカがやってくる。
『さあ!アシカのモモくんがみんなに御挨拶しますよ〜。はい、こんにちは〜!』
台の上に座ったアシカがぺこりと頭を下げるまねをする。
「こんにちはー!!」
タクロウとヒサシの間に座った宙が、返事をしている。
「なあ、ヒサシ」
「ん?」
「こういうトコロ来るの、久しぶりじゃない?」
「あーそうかも。でもさー、意外と楽しいよな。」
「意外とな(笑)
辺りがオレンジ色に染まってくると、今までは親子連れが多かったこの地も、だんだんカップルが増えてくる。
「そろそろ帰るか。」
「そーだな。宙も寝ちゃったしな。」
タクロウの腕の中で、はしゃぎ疲れたのか、すやすやと寝息を立てて宙は寝ている。
「…ぺんぎんさん…」
寝言らしい(笑)
「どんな夢みてんだ?」
「夢の中でもペンギン見てんだろ、きっと。」
「…なあ」
「なに?」
「…次は2人で来ような…」
「宙にばれなかったらな。」
そう言って、タクロウは笑う。
「ばれるかな?」
「ばれるだろ?」
「ま、いっかまた3人でくれば」
「おう」
そうして、八景島を後にした。
オマケ〜宙くんの日記〜
きのう、すいぞくかんにいきました。
ぺんぎんさんはおおきかったです。でもぼくのほうがおおきかったでした。よかったです。
あしかさんにこんにちはしてきました。いるかさんもじゃんぷしてました。
すごいとおもいました。
さわりたかったな。
宙君シリーズでした。短くてスマン。宙君の日記で勘弁してください(笑)
恋する遊び島っていうのは、八景島のキャッチコピーです。パクリました。うはは
こんなんでいいですかね、翠さん。キリバン9400のリクエストでした。
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