再会 パート1


「タクロウさん、ヒサシさん、到着したみたいですよ!!」
「マジ!?ごめん!ちょっと、5分だけストップ!」
そう言ってタクロウはステージを降り走って行った。
何も言わなかったが、ヒサシも走って行った。

「宙君、いらっしゃい。」
「こんにちわー」
「いらっしゃい」
そそかしこから次々と掛けられる声に元気よく挨拶している宙くん。
片手はエルモのたっくんを抱えています。もう片方はここまで連れて来てくれたマネージャ・山本氏と手を繋いでいます。
「こんにちわー。あー!!」
宙に声をかけてはせわしなく走り出す人々の間をすり抜けるようにして控え室の方に向かっていると、
宙が突然大声をあげた。
「そらー!!」
「ぱぱぁ!」
タクロウが駆け寄ってくる。宙は山本氏の手を離して走り出した。
「そら!」
タクロウは走って来て宙を片手で悠々と抱き上げる。
「そら、久しぶりだな!いいこにしてたか?」
「うん!僕、おばあちゃんといいこにしてたよ!ねぇ、ままは?」
タクロウの大きい手で頭を撫でられて嬉しそうにしている宙がキョロキョロしながら聞いた。
「ん?ひさしは…あ、ほら。」
タクロウが視線を向けた先からヒサシが走ってきた。
「ままー!」
今度はヒサシに抱っこしてもらう。もちろんヒサシは両手で抱えています。
「重くなったなぁ」
「おっきくなったもん」
「ごめん、ごめん。で、元気にしてたか?」
「うん!ねーねー、ままぁ」
「ん?」
「てことじろちゃんは?」
「多分控え室だよなぁ。行ってみるか?」
「うん!」
宙をダッコしたままタクロウと並んで歩き出そうとすると、
「僕降りる。歩く」
「ん、分かった。はい。じゃー手繋いで行くか?」
「うん」
親子3人手を繋いであるく。その姿をほほえましくみているモッシュ始めとするスタッフ達だった。
「こんにちわーー!!」
「おっ、いらっしゃーい。そらくん、元気にしてた?」
「うんっ!じろちゃん、こんにちわ。」
「俺の事ちゃんとよべるようになった?うはは〜」
「…てっこでしょ。ちゃんと呼べるもん。もう大人だもん」
「大人だって〜うはは〜。」
「むぅぅ。てっこなんて嫌いだもん!ままぁ〜!」
と、ソファーに座っているヒサシに抱きつく。
「ったくオマエは大人気無い」
「だってぇ〜とのにそっくりで可愛いんだもん。からかいたくもなるじゃん」
「もー、てるくん!!ほら、渡すものあるんでしょ!」
ジロウに怒られて、あ、そうだ。と気づいたテルはカバンを漁る。
「えーっとねー、どこだっけ?あーこれだ、これ!」
カバンの中からきちんとラッピングされた箱を取出す。
「はい、これ。宙君に俺からクリスマスプレゼント!」
「ぼくに?」
いつのまにかタクロウとヒサシの間に座った宙が両脇の2人をキョロキョロと見る。
「ほら、プレゼントだって。ありがとーって。」
「うん!ありがとー!!」
テルから箱を受けとると、開けたくてウズウズしている宙を見て、
「あけてみな」
とテルが笑っていう。
「うん!」
小さい手で、一生懸命ラッピングを解くと、箱の蓋をあける。
「あーお人形さんだー!」
出て来たのは、テルがキャンディーストリッパーとのコラボで作った人形「GRANGER HEEL」だった。
「すごーい。かっこいーよー。ねー」
「ありがとな、てっこ」
「喜んで貰えて俺も嬉しいよ。サンプルで作ってもらった奴なんだけど、可愛かったからさ」
そんな会話をしているタクロウとテルの脇で宙とヒサシが人形を見て盛り上がっている。
「次は俺かな。」ジロウがそう言って箱を宙に渡す。
「開けてごらん」
「うん!!」
ヒサシに人形を預けて、箱を開けると中から出て来たのは…
「くつだぁ!!」
スニーカーでした。
「これさぁ、夏にPUMAに俺のスニーカー作ってもらったでしょ?その時に一緒に作ってもらったんだけど」
「ありがとう!!\(^0^)/」
ありがとな、ジロウ」
「いーえ、どういたしまして。可愛い宙君のためだもんね」
「えっとーじゃあ次は俺かな。タクロウ、これ持ってて。」
ヒサシには立ちあがると、人形をタクロウに渡すとちょっと待ってて、と部屋を出て行った。
「ヒサシのプレゼントって何なの?」
テルがタクロウに聞くが、さあ?とタクロウも知らない様子。
しばらくするとヒサシが戻ってきた。なにやら大きな箱を抱えている。
「重てぇ、マジで。えーっと俺からのプレゼントはこれ!!」
じゃーん!と箱から取出したのは…
「仔タルボ!?」
「のオモチャ。っても本物だぜ。三鷹楽器に作ってもらったんだから。」
「マジで!?宙くんの為だけに!?」
「やっぱとのはスケールが違うねぇ」
テルは妙に感心しています(笑)
「ねー、これひさしが持ってるぎたぁと一緒?」
「そうだよー、ひさしがねそらの為に作ってもらったんだって」
宙の問いにタクロウは丁寧に答えます。
「すごーい!ありがとー」
「すごいだろー?」
皆んなニコニコしています。
「えへへへ」
「すごいなー、そら。いっぱいだなー」
「うん!」

……ん?何かおかしいぞ?

沈黙…

「…で、タクロウくんのプレゼントは?」
間が持たなかったらしいジロウが聞きます。
「ん?俺の?俺のはおっきすぎてみせられないんだよ」
笑顔で誤魔化したタクロウだった。



開演時間を少し遅れてステージが始まろうとしています。
いつものようにステージ袖で円陣を組んでいつのも掛け声。
ただ違うのは宙も一緒に手を合わせています。
「いくぜーーー!」
「オーー!!」
ステージに向かおうとするメンバーをちょっと待って、と止めたタクロウは
「宙、俺からのプレゼントは今日のライブだよ。」
タクロウは目線を宙の高さに合わせてそう言いました。
「え?」
「宙は目の前でライブ見るの、初めてだよな?」
「うん」
「いいこにしてたご褒美と、クリスマスプレゼント。」
「ほんと?僕ここでみてていーの?」

そういえば宙くんてば、ライブ中はいつも楽屋でモッシュとお留守番だったっけ。
見てもTVだったよなー

「うん、いいよ。」
「僕、いいこにして見てるね。頑張ってね」
「ありがと」
「宙、俺には言ってくれないの?」
ヒサシがしゃがんで宙に言うと、
「ひさしも頑張ってね」
と笑顔で言います。
「サンキュ」
と、言って宙の頭を撫でるヒサシだった。
そう言うと、後ろ姿を向けステージに向かって行く6人だった。


僕のパパとママは誰よりもかっこいいんだ!
キラキラした目でライブを見る宙くんでした。



とりあえず終わりです。
まだライブが始まってたところですが、続きはライブ終了時から始まります。
ホントはまとめて書こうと思ってたんですが、妙に長くなってしまうのでやめました。