エンドロールの流れる音の中でステージ袖に戻って来た6人に
「お疲れ様です!!」
スタッフの労いの声があちこちから飛ぶ。
「お疲れ〜今日もいいライブだったねー」
「お疲れ様です。毎回ですけど、急いでもらいますよ。」
待っていたモッシュがいつものように言う。
「あいよ。で、宙は?」
ヒサシが聞くと、端っこの方を指差して口を開いた。
「あー…あそこです。」
2つ並べたパイプイスの上で、エルモを抱きかかえて寝ていた。
「寝ちゃったんだ?しょうがないなぁ。」
タクロウが長い足でスタスタと歩み寄ると、宙をやすやすと抱きかかえる。
「さてと、行きますか。」
「あ、宙の荷物は?」
「あ、さっき全部車に積んでおきましたよ。さて、車で岡村くん待ってますから行きましょうか。」

裏口でエンジンをふかして待っているバンまで走る。
このまま打ち上げ会場に向かってクリスマスパーティーらしい。
皆で走ってバンに乗りこむ。
宙は熟睡しているらしくヒサシの膝枕で寝ている。
「良く寝てんなー、ホント。」
「僕見てましたけど、すごく興奮してましたよ。はしゃぎすぎて疲れたんでしょうね、きっと。」
「そっかー…」
嬉しそうな顔でそう呟くタクロウだった。


「お疲れさまー!!そして、メリークリスマス!!」
乾杯!の声と共にグラスがぶつかり合う音がパーティの始まりの合図。
気づけばすぐにそこかしこで酔いつぶれている人多数。(笑)

「そら、もう寝るか?」
「うぅ〜ん」
タクロウが宙を抱っこして会場を抜け出す。
母親は…もうベロベロに酔っていたりして。あーあ。


「そら、1人で寝れるか?はい、これたっくん。一緒に寝るんだろ?」
「ん…ねぇ、ぱぱぁ」
「ん?」
「ひさしは…?ままはいないの?」
「ひさしか…まだ飲んでるかなー。そら、ちょっとだけ良い子にして寝てられるか?」
「うん…」
宙のオデコにキスをして部屋を出て行った。


「たっくろー、どこ言ってたのー!!」
戻って来た途端、酔っ払ったテルがタクロウの姿を捉え捕まえる。
「はいはい。てっこ、ひさしはどこ?」
「俺と遊んでよー!」
「わかったわかった。で、どこ?」
「えー、とのならあそこだけどー。」
「ん。サンキュ」
見ると、スタッフに囲まれ、ハイテンションで飲んでいるヒサシがそこにいた。
「ヒサシさーん」
「あ、タクロウさん!タクロウ、酒持ってないじゃないですかー!はい、これ。」
「あ、サンキュ」
缶を受け取ると、さりげなくヒサシの隣に座る。
そうすると、今まで騒いでいたヒサシが、眠そうな顔になってタクロウにもたれかかった。
「ヒサシ?眠いのか?」
「んー…平気ぃ」
「そう?」
ヒサシがもたれかかった肩をそのままにしておくと、スタッフの1人が口を開いた。
「ヒサシさん、眠そうですけどもう部屋に帰った方が…」
「そうかも。じゃ、あのテルのトコ行っといてくれる?てっこに見つかるとうるさいからさー(笑)」
「あー、そうですね(笑)ま、テルさんのことは任せてください。ジロウさんにはいっときますから」
「よろしくね。さ、ひさし行くよー」
「んー」
「よいしょ、っと。」
細いヒサシの体を軽々とお姫様抱きにすると、スタスタと打ち上げ会場を後にした。


部屋の前まで来ると、もうすっかり寝てしまったヒサシを抱えたまま、器用に鍵をあける。
「よいしょ、っと。」
ドアのやっとのことであけて、宙が寝ているベッドに一緒にヒサシを寝かせる。
「こう見ると、ホントにそっくりだなー、この2人」
ヒサシをベッドに寝かせたら、無意識になのか宙がもそもそと動いてヒサシにくっつく。
「同じ寝顔だ」
2人の額に軽くキスをすると、タクロウはベッドを離れた。
それだけで幸せなタクロウだった。
ヒサシと宙も寝顔は笑っていた。

クリスマスの煌きが窓の外の景色をつつんでいた。
ほら、サンタクロースも今、通ったかもしれないよ。




やっと終わりました(汗)
ヒサバも過ぎているというのに、今更クリスマスとは…うーん。
クリスマスは幸せでないと。なんだかわかんない終わりですけど、すいません。