FOR YOU



おはよ〜〜ってとのくん、早いねぇ…」
「おお」
「また朝からパソコン?他にする事無い訳?」
「うっせえ!」
「いーじゃん、ホントの事なんだし」
「…他の奴らは?」
「まだみたいだよ。」
「ふーん…あ、」
「なに?どーしたの?」
「メール。誰だぁ?…タクロウ?」
「え、タクロウくん?なんで?今日これから来るでしょ?」
「さぁ…?何々…」
「『風邪引いて声が出ません。今日休むって言っといて。ごめん』だってさ。」
「バカは風邪引かないって言うけどな」
「とのくん、それひどいよ…」
「おっはよ〜〜!」
マネージャーが後ろから
「あ、てっこくん、おはよ」
「はよ」
「あれ?たくろうは?」
「え、来てないんですか?」
「ああ、たくろうくんは休みだよ。風邪引いたって。とのくんにメールが来たの」
「ええっ!」
「なんだよ、お前知らなかったのかよ。」
「知らないよ!第一なんでとのにメールが来るわけ?俺に電話くれても…」
「声がでないってさ。ところで今日どーすんの?たくろうくん居なくて。
ミーティングできんの?」
「あ〜どうしましょうか…僕とりあえず社長のとこ行って来ますんで。ここで待っててくださいね」
部屋を飛び出して行く
「たぶん中止だな。」
ヒサシが呟く。
「俺、帰る!」
テルが今置いたばかりの荷物を肩にかけ部屋を飛び出して行ってしまった。
「ちょっ、てっこくん!」
「…あーあ。」
そこへマネージャーが戻ってくる。
「すいません!今日は…あれ?テルさんは?」
「もうとっくに帰ったけど?どーせ今日は中止だろ」
「あ、はい…」
「さ、帰ろ、帰ろ」
「そーだね。たくろうくんちにお見舞いにでも行く?」
「いや、どーせてっこが看病してんだろ。」
「邪魔にされるだけか…」
「そーゆーこと」
そういいながらあっという間にヒサシとジロウも帰ってしまいました。


一方、テルはといえば…
 
勝手知ったるなんとやら。タクロウのウチの鍵をあけて部屋に入る。
部屋はシーンと静まり返っていた。
「タクロー?」
そーっと寝室へ向かう。
寝室のドアを開けると、そこには苦しそうな呼吸をしながら横になっている
タクロウがいた。
近づいてって、顔を覗いてみる。どうやら寝ているようだ。
「タクロウ?」
汗で額に髪の毛が張りついている。とても苦しそうだ。
テルはそっと額の汗を拭う。そして額に手をやる。かなり熱があるようだ。
その額に置かれた手の冷たい感触にタクロウが目を覚ます。
「ん……テ…ル…?」
「あ、起こしちゃった?タクロウ、大丈夫?」
「来て…くれ…た…んだ」
声が出ないというのは本当らしい。掠れた小さな声である。
「しゃべんなくていいよ。それよりなんか食べた」
小さく首を横に振る。
「そっか…お粥作ったら食べれる?」
タクロウはうんと小さく頷いた。
「じゃあ作ってくるから。出来たら起こしてあげるから、寝てていいよ。」
テルはそう言ってタクロウの髪を撫でると、タクロウは再び目を閉じて眠ってしまった。
テルはタクロウが眠ったのを確認すると、そっと立ち上がり部屋を出る。


テルは台所に立つと、さっきここへ来る途中寄ったスーパーの袋から中身を取り出す。
中から出てきたのは…
ご飯(チンするだけのやつ)、卵、鰹節などお粥を作るために必要なもの。
タクロウの家の冷蔵庫にろくなものが入っていないって事くらい当然知ってるテルだった。

「えっと…小さい土鍋がたしかここら辺に…あ、あった。」
テルは手際よく料理をし始める。さすがテルさん。
(あったりまえじゃん。俺を誰だと思ってんの?このくらい簡単だよ)
最後に卵を入れて、お粥は出来あがり。
トレイに載せて寝室へ
「タクロウ?」
寝室のドアを開けると、タクロウはもう起きていた。
「起きてて大丈夫なの?」
「うん」
「さっきより声出るようになったみたいだね」
「うん。もう結構喋れるよ。」
「お粥食べれる?」
「うん」
「じゃあ、あーん」
「自分で食えるって…」
「いーの、いーの。あーん」
「はい…」
「おいしい?」
「…うん。やっぱりテルの料理が一番美味しいな」
「ありがと。さ、もうちょっと食べようね」

タクロウはテルに食べさせてもらって、お粥を全部平らげる。
「ゴチソウサマ」
「はい。おそまつさまでした。眠かったら寝てていーよ」
テルは食器を下げるため、部屋を出て行こうとする。
「あっ…」
「ん?どしたの?」
「な、なんでもない。」
「なに?もしかして寂しいとか?一緒に寝てあげよっか?」
「い、いいよ!」
「遠慮しなくてもいいのに。ちょっと待ってて、これ置いてくるから」
テルはそう言って一旦部屋を出ていったが、すぐに戻ってきた。
「タークロ!一緒に寝よ!」
「1人で寝れますって。」
「遠慮しなくていいのにぃ」
「ホントにいいから」
「…嫌なの?俺と寝るの…」
テルの悲しげな声にタクロウが慌てて否定する。
「違っ…そうじゃなくて…」
「じゃあ何?」
テルはタクロウを問い詰めた。まんまとテルの策に引っかかったらしい。(笑)
「だって…風邪移したら…」
「大丈夫だって。俺そんなにやわじゃないよ」
笑顔で答えるが、タクロウの表情は曇っている。
「でもっ…てっこはよくても俺は嫌なの。…だって、リーダーとして、大事なボーカリストに
風邪引かせたりしたら…」
「…分かった。じゃあリビングにいるから。なんか有ったらちゃんと呼ぶんだよ?」
結局、テルが折れて、部屋を出て行く。
「うん」

テルはリビングのソファーに座って深いため息をつく。
「ったく…どんな時でもリーダー体質なんだから…まあ、しょうがないか。」
タクロウはそういう性格なんだもんな、と呟いた。
暇を持て余したテルは、いつも持ち歩いているパソコンを取り出して立ち上げる。
メールをチェックしたり、ネットサーフィンをしたりして時間を潰す。

パソコンにも飽きた頃、ふと時計を見るとあれから既に3時間が経過していた。
パソコンの電源をきって、立ちあがる。
そーっと、タクロウが寝ている寝室のドアを開けると、規則正しい呼吸をした
タクロウが寝ている。
「さっき薬飲ませたしね。とりあえず、熱はさがったかな…」
ドアの脇の壁に背中を預け、腕を組んで立っているテル。
まだ起きる気配は無いようだ。
テルはベッドの脇まで行ってタクロウの寝顔を覗く。
「タクロウの寝顔って…ホント可愛いよな〜」
テルはタクロウの寝顔をジーっと見ていたが…

「たーくろ」
「ん…てっこぉ…な…に…んっ…」
テルはタクロウの顔の両脇に手をついて、タクロウの唇をふさぐ。
「んんっ…あ、はあっ…」
「可愛いよ、タクロウ。」
「なっ…風邪…移っちゃう…」
「へーき、へーき。それに汗流した方が早く治るんだよ?」
「そんなの…あ、やあっ…」
「嫌じゃないでしょ?それに、体が熱くなってるよ?」
「それは、熱がっ…」
「それだけ?」
テルは意地悪くそう言うと、タクロウの首筋を舐める。
熱があるタクロウは、どうやらどこも敏感になってるらしい。
今も声を必死に堪えている。
「ふふ、可愛いね、タクロウ」
テルはタクロウが掛けていた布団を剥がすと、器用にタクロウの着ている
パジャマを脱がす。
熱でいつもより体温の高くなっている体を手のひらで撫でる。
「子供の体みたいだねぇ(クスクス)」
テルの手が体の真ん中で止まる。体の一番敏感な部分を撫でる。
「んっ、やだっ…やめ…」
「止めないよ。こんなに可愛いのに黙って看病するなんて出来るワケないじゃん」
「そんなこと…」
「と、いうわけで。いただきます。(クスクス)」
「あっ…やめっ…」

拒絶の言葉なんて聞いちゃいないテルさんでした。
もう誰も止められません(笑)


次の日
タクロウの熱も下がったようで、今日はやっと打ち合わせが出来ます。
「おはよ〜」
「ジロウ、おはよ」
「ああ、タクロウくん!もう大丈夫なの?」
「う、うん。まあね」
「俺が看病してあげたからだよね〜」
テルの笑顔での台詞にタクロウは頷く。しぶしぶといった感じで。
「どーせ、『体を動かした方が早く治る』とかいってうまく丸め込んで
やったんだろ?」
「あ、とのくん」
見ると、いつ来たのやら。ヒサシが入り口の所に立っていた。
「ヒサシ…あたってるよ…」
タクロウが唖然として呟く。
「との鋭いねぇ。」
言われた本人であるテルは平然としている。
「オマエの考えそうな事なんて、手に取るようにわかるんだよ。」
「なんで?」
ジロウが不思議そうに聞く。
「単純だから」
「さすがとのくん…」
「すいませーん!打ち合わせ始めたいんですけどー!」
「あ、はーい!」
「さ、行くか」
「そだね」
「ったく、オマエが風邪引いたせいで、休みが一日…」
「いーじゃーん…昨日休んだんだしさ…」
「ところで、てっこ、オマエ何とも無いのかよ。」
「うん。全然平気。そんな簡単に風邪引いたりしないよ。」
「まぁ、バカは風邪引かないっていうしな」
「なにそれ。俺がバカだとでも言いたいワケ?」
「違うの?」
「まあまあ、いいじゃんそんな事」

部屋を出て行く3人を見てジロウは思った。
(GLAYで一番すごいのは…とのくんかも…)




えー実はこれ、キリリク小説でした。テルタクでした。
1900番なんだけど、取ったのが高校の時からの友達なんで。
あえて、HNで載せるのもどうかな?と思ったんで。
あとタク受けは好き嫌いが激しいので…控えめに。
こんなんで、OKだったのかな…?

ちなみに、この小説はヒサタク編とジロタク編があります。
おまけみたいなもんですが。それぞれ看病の仕方が違いますね〜書いてて結構面白かった。