FOR YOU



おはよ〜〜ってとのくん、早いねぇ…」
「おお」
「また朝からパソコン?他にする事無い訳?」
「うっせえ!」
「いーじゃん、ホントの事なんだし」
「…他の奴らは?」
「まだみたいだよ。」
「ふーん…あ、」
「なに?どーしたの?」
「メール。誰だぁ?えっ…タクロウ?」

「タクロウくん?なんで?なんだって?」
ジロウはヒサシの隣に腰掛けて、ヒサシのパソコンを横から覗きこんで、
勝手に読み始める。
「え〜っと、何々?『風邪を引いたので休みます。ごめん』って…なんでメールなの?
それに、とのくん知らなかったの?恋人なのに?」
ヒサシが答える前にちょうどテルがやってきた。
「おはよ〜。あれタクロウは?」
「おはよう。タクロウくんなら、休みだよ。風邪引いたみたい。」
「そーなの?昨日は元気だったのにねー」
テルがそう言いながら、向かいのソファーに座る。
と、そこにマネージャーがやって来た。
「あれ?タクロウさんはまだですか?遅いなんて珍しいですね。」
「タクロウなら、休みだって。風邪らしいよ。」
「えっ…それは…困りましたね。」
スタッフにはタクロウは電話しなかったらしい。ホントに困っている。
「つーかさぁ、打ち合わせなんて無理じゃない?タクロウ居ないんじゃね〜」
テルが、さも当然という風に言う。
「それは…そうですけど…」
「…俺、帰るから」
ヒサシがパソコンの電源を切ったと思ったら、突然荷物を持って、席を立ってしまった。
「ちょっと、との!?」
「とのくん!…あーあ、帰っちゃった。心配なんだね、タクロウくんの事」
2人の呼びとめる声に耳も貸さず、部屋を出て言ってしまった。
マネージャーは唖然としている。
「じゃあ、今日は打ち合わせはナシだね〜。ジロウ、帰ろ。」
「えっ、ちょっと、テル!?」
「お疲れさまー」
テルはジロウの腕を引っ張って出てってしまう。
「あ、ちょっと、2人とも…あ〜」
1人取り残されたマネージャーが部屋に立たずんでいた。

「テル、いいの?勝手に帰って来ちゃって…」
「いーんだよ。それにあのままあそこに居たら、なんか仕事押し付けられるに決まってんだから。」
「それもそーだね。どーしよっか、今日。タクロウくんちにお見舞いでも行く?」
「えーやだなーとのに邪魔者扱いされるだけなんだから。やめよ。」
「うーん…じゃあどうする?」
「ジロウ、俺んちおいでよ。嫌だ?」
「…行く。」


一方、ヒサシは…
まっすぐタクロウの家まで来たヒサシは、合鍵で部屋に入る。
物音一つしない静かな部屋をなるべく足音を立てないように歩く。
ヒサシはまっすぐ寝室へと向かって、そっとドアを開ける。
そこには、ベッドに苦しそうな呼吸をしたタクロウが眠っていた。
1人で寝るには大きすぎるベッド。その端に腰掛けて、タクロウの顔を覗く。
汗で額に髪の毛が張りついている。手を伸ばしてそれをそっとはがすと、タクロウがわずかに身じろぐ。
「ん…」
(やべ、起きたかな?……大丈夫か…。それにしても…苦しかったらもっと早く言えばいいのに。我慢しやがって。)
もう一度、額に手を伸ばす。熱を測る為だ。
(結構あるじゃねーか。ったく…)
タクロウがもぞもぞと動き始める。おもわず手を離すと、タクロウが目を覚ましたようで、目を開ける。
「……んぅ…あれ…?ヒサ…シ…?」
「大丈夫か?」
「……て」
「て?ああ、手がどうした?」
ヒサシがタクロウの上で手を広げると、タクロウが布団の中から手を出してその手を掴むと、自分の額に置いた。
「冷たくて…キモチイイ…」
嬉しそうに微笑んで、目を細める。
「心は温かいんだぞ。」
ヒサシも微笑んで言う。
タクロウはその言葉を聞いて、もう一度嬉しそうに微笑むと、
「…うん、知ってる…よ…」と言った。
(可愛いvvどーしたんだよ、こいつ。可愛すぎ!)
にやけそうな顔を引き締めて、
「そーいやなんで電話じゃなくて、メールだったんだ?」
「苦しくて…それに…」
「それに?」
「ヒサシなら絶対気づいてくれると思ったから…」
(また可愛いこと言うじゃねーかよ…。ったく、風邪引いて無かったらとっくに襲ってるっつーの!)
またまたにやけそうになる顔を引き締めて話しかける。
「おい、薬のんだか?」
小さく首を横に振るタクロウ。
「じゃあ、薬だな。ああ、でもその前に何か食った方がいいのか。お粥食べるか?」
「うん」
「じゃ、ちょっと待ってな」
重ねられていたタクロウの手を、もう片方の手で剥がして立ちあがり、部屋を出る。


ヒサシは台所へ行くと、ここに来る途中に寄ってきたコンビニの袋から中身を取り出す。
出てきたのは…ウーロン茶(笑)、ビール(自分で飲むのか?)、とお粥(ちなみにチンするだけのやつです。)
手作りじゃないの?
(うるせぇ!俺が料理なんてできるとおもってんのかよ。ったく、てっこじゃあるまいし。)
ヒサシは袋の裏の作り方を読みながらうろうろしている。
「えっと、なんだって…。土鍋?小さいの?そんなのあったか?」
がさがさとそこいら中をあさると、
「あ、あった…。こんなんあったんだ…」
ヒサシさん、貴方知らなかったのね…。そーよねーいつも作らせてるものね(笑)
(あいつが好きで作ってんだぞ。別に作らせてるわけじゃねーもん)
ヒサシはとりあえずお粥を作り始めた。と、いっても温めるだけだけど。

お粥を作って寝室まで運ぶと、 タクロウが起き上がっていた。
「大丈夫か?」
「美味しそうな匂いしたから…それに…ヒサシが…来てくれたから…ちょっと楽になった。」
(……かわいい…)
「…ほら、熱いから気をつけろよ。」
わざとぶっきらぼうに言って誤魔化すヒサシ
「ねぇ、ひさしぃ…」
「なんだよ」
「食べさせてくれないの?」
手に蓮華を持ったタクロウが首を傾げてヒサシを見ている。
「自分で食えよ…」
「……」
タクロウは無言で悲しそうな顔をする。
「…ったく、でかい図体してるくせに…。ほら、貸せよ。」
タクロウは嬉しそうな顔で口を開けて待っている。
(なんか…餌付けしてる気分?)
「あーん。…おいしいねぇ、ヒサシが作ったの?」
「いや、コンビニのレトルト。」
「あ、そうなんだ…。」
「いいから、さっさと食えよ。薬飲まなきゃいけないんだからな。」
「はーい」

タクロウは結局お粥を全部平らげた。薬をのんだら、また眠くなってきたようだ。
「眠いんなら、寝てな。」
「ん…でも…」
タクロウは眠そうな目を擦りながら必死で眠らないようにしている。
「ちょっと待ってろ」
ヒサシは立ちあがって部屋を出て行く。
台所に洗い物を置いて、今度はリビングへ
自分のかばんの中からパソコンをだして、再びタクロウの部屋へ。
タクロウの広いベッドの脇にどかっと座り込む。
ヒサの上にパソコンを置いて立ち上げる。
「ひさし…?」
「ほら、寝てろよ」
「…うん」
タクロウは嬉しそうな顔をして横になったと思ったら、すぐに寝息を立てて寝てしまった。
ヒサシはスースーと寝ているタクロウの顔を見て思った。
(ったく…)
タクロウが異様にパーティ好きなのは、幼少時の経験があるからだ。
1人で広い部屋に居なければならなかった幼稚園時代。
タクロウはたまに言う。
『1人は嫌なんだ。1人で広い部屋にいると…泣きそうでさ。
だから曲作りに逃げちゃうのかもね。皆といると、1人で居なくて済むでしょ?俺がパーティ好きなのはそれが原因かもね』
(でかい図体して、寂しがりやなんだからな。)
だからヒサシはこうやって側に居てあげるのだ。テルのように優しい言葉を掛けられない自分にとっては、こうやって黙って態度で示すしかできないのだ。


気がつけばもう夜だった。
(やべ…もう4時間も経ってる…)
ヒサシがパソコンの電源を切ると、ちょうどタクロウも目が覚めたようだ。
「んぅ……おはよ…」
「もう夕方」
「あ、そっか…。…ねぇ、ひさしぃ。」
「なんだよ」
「…そばにいてくれてありがとね」
「なんだよ。やけに素直じゃねぇか」
「だって…嬉しかったし…」
「熱は?」
「んー、下がった…みたい?」
「どれ。」
ヒサシがタクロウの額に手をあてる。
「下がったみたいだな」
「明日は仕事行けるよねー、良かったー」
「それはどうかな。」
「へ?」
ヒサシはパソコンをテーブルに放ると、タクロウの上に乗っかる。
「ひさし?」
「お前可愛すぎ!」
「は?」
「オマエ、俺にこれ以上待てっていうのかよ。そんなの無理。」
ヒサシはそう言ってタクロウの首筋に唇を寄せる。ツツっと舌で首筋を舐める。
「んっ…だって…俺…風邪…」
「もう治った!」
ヒサシはそう言いきって布団を剥いで、タクロウのパジャマを脱がす。
片方の胸の突起を舌で舐める。もう片方は手で弄る事も忘れない。
「んっ…やだよっ…んぁっ…」
「うるさいなぁ」
ヒサシは顔を上げて、うるさそうに言い放つ。
その言葉にタクロウの表情が固まる。
「…っ、ごめ…」
タクロウはヒサシに嫌われたと思ったらしく、謝っている。
ヒサシは手を止め、タクロウの腕を引っ張って、上半身を起き上がらせる。
「ひさし…怒ったの?ごめん…なさい…もう…んっ」
タクロウの唇をふさぐ。わずかに開いた隙間から舌を差し込む。
タクロウもおずおずと舌を絡ませて来る。
深く長いキスを交わすと、ヒサシはタクロウを抱きしめる。
「怒ってないから、謝んな」
「うん…」
「オマエの……なんでもねーわ」
「なに?なんなの?」
「なんでもねーよ」
「なんなんだよぉ」
「うるさい。うるさいとこうするぞ」
と、ヒサシはまたタクロウの唇をふさぐ。
タクロウはヒサシの背中に手をまわす。
(オマエの側には俺がいるからな、って言おうとしたんだよ。)
「ひさし…していいよ…」
「じゃ、ご期待にお答えして。」
ヒサシはタクロウを押し倒して、乳首を舐める。
「あっ…やあ……いっ…」
タクロウが悲鳴を上げる。
ヒサシが乳首を噛んだのだ。
「タクロウ、可愛いよvvv」
ヒサシはにこっと笑ってタクロウの下着をパジャマのズボンごとを脱がし、自分も服を脱ぐ。
そして、タクロウの中心に手を延ばして、扱き始める。
熱があったせいか、タクロウの体はとても敏感になっていた。
すこし扱くだけですぐに今にも弾けそうなほどになった。
「んぅ…ああっ、やだ…もう…はなしてっ」
「やだね。」
ヒサシはそう言い放って今度はそれを口に含む。
「やだっ!放してっ…ああっ!」
タクロウは結局ヒサシの口の中でイってしまった。
ヒサシはそれを飲み込むと、タクロウを見る。
タクロウはイったあとのけだるさからか、荒い息をしながら、ベッドでぐったりしていた。
ヒサシはすかさずタクロウの敏感な部分に指を入れる。
「あっ…気持ち悪いよ…」
「痛くはないだろ?」
「うん…でも…恥ずかしい…よ」
「初めてでもあるまいし。いまさら恥ずかしがるなよ。」
「ひゃっ…ああっ…」
「オマエはここがいーんだよな。」
ヒサシはニヤニヤしながら、意地悪く問いかける。
タクロウが必死に声を出さないようにしていると、ヒサシはわざとじらすように指を動かす。
「ヒサ…もう…」
それを繰り返すと、タクロウが耐えられなくなって、声を上げる。
「もう、なに?」
ヒサシはわざと、とぼけて言う。
「…っ…もう…挿れて…」
「なにを?」
ヒサシは内心ニヤニヤしながら、でも平然と聞き返す。
「…ヒサ…の…バカッ!」
「なに?そういう事言うんなら、挿れてあげないよ?」
自分も弾けそうなほどになっているのに、ヒサシは平然としている。
「…挿れて…」
「挿れてください、じゃないの?」
「くっ…挿れてください…」
ヒサシはくすっと笑って、
「じゃあ、期待にお答えして」
ヒサシは指を抜いて、自身を挿れる。
「くっ…オマエ、もうちょっと力抜けよ、キツイ。」
「そんな事っ…ああぁっ」
ヒサシは自身を全部挿れると、
「動くぞ」と、一言。
「ああっ…はぁっ…ヒサ…シ…」
タクロウはヒサシの名前を呼ぶと、ヒサシの首に腕をまわす。
さらに激しく腰を動かすと、タクロウが背中を仰け反らせる。
タクロウのモノも限界に近づいている。
ヒサシも自分の限界を感じて更に激しく腰を動かす。
「あぁぁっ」
タクロウが2人の体の間に白濁を飛ばした。
「くっ…」
その声を聞いてヒサシもタクロウの中に吐き出した。


「おはよ〜。あータクロウくん!もう大丈夫なの?」
「じろう、おはよ。心配かけてごめんね。もう大丈夫だよ。」
2人が仲良く会話している側で、
「おはよ、との」
「ニヤニヤすんな」
「とのの事だからさぁ、看病しただけじゃ終わらないよね〜?」
「なんのことかな?」
「ふーん。ねぇ、たくろー!」
テルがタクロウを呼ぶと、話していたジロウも一緒にこっちを向く。
「ん?てっこ、なに?」
「ヒサシは優しくしてくれた?」
「ん?ああ、お粥つくってくれたけど。」
「うそ!手作り?」
「ううん、レトルトだった。」
「ブッ、とのくんらしー!」
ジロウが吹き出して大笑いしている。
ヒサシは立ちあがって、スタスタとジロウの所まで行くと、頭を軽く叩く。
「笑い過ぎ」
「いたーい!テル〜とのくんが叩いた〜〜」
ジロウはテルの所まで走っていくと、テルがよしよしと頭を撫でて、ヒサシに抗議する。
「ちょっとー、俺のジロウになにするのさー!」
「ふん。オマエも余計な事いわない。」
ヒサシはそういって、タクロウの頭も軽く小突いた。
「いてっ。いーじゃん、ホントの事なんだしー」
タクロウが抗議すると、ヒサシは横にすわって、
まあ、いーけどな、と言う。
「怒った?」
ヒサシの顔を覗く。
「別に」
タクロウは嬉しそうに笑った。

「ねぇ、テルぅ」
ジロウが小声でテルを呼ぶ。
「ん、なに?」
「あのね、、なんだかんだいっても優しいよね。とのくんて。」
「うん。タクロウには無条件で優しいのは、それがヒサシの愛だからね。」
「そっかー。そーだよねー、とのくんはタクロウくんの事、アイしてるもんね」
「俺もジロウのこと愛してるよ。」
「…バカ…僕もだよ。」
ジロウは真っ赤になって答えた。




はい、ヒサタク編でございました。エロです、エロ。キャーー恥ずかしっ。ヘボでごめん。
ヒサタクはエロでしょう。それにしても優しー、ヒサシさん。良いですわー素敵ー
長くてごめんねぇ。読むの大変だったでしょ?(笑)書くのも大変だったわよん(笑)
テル編では、ジロウくんが最後に登場だったので、今回はテルジロにしてみました。
次は…どーしませう。うーん、悩んでしまうわー