FOR YOU
「おはよ〜〜ってとのくん、早いねぇ…」
「おお」
「また朝からパソコン?他にする事無い訳?」
「うっせえ!」
「いーじゃん、ホントの事なんだし」
「…てっことタクロウは?」
「まだだけど。」
「ふーん…あ、」
「なに?どーしたの?」
「メール。誰だぁ?ん…?おい、タクロウからだぞ」
「タクロウくん?!なんで??どーして、とのくんに?!」
「しらねぇよ。何だって…。『風邪を引いたので休みます。ごめん』だとよ。」
「俺…知らないよ…?それに…どうして、とのくんにメールが来るの?」
「そんなの、俺が聞きたいね。それに、オマエ恋人だろ?会ってないのかよ。」
「昨日は…仕事別だったから…」
「おはよ〜。あれタクロウは?」
なにも知らないテルがやって来た。
「タクロウなら来ないぞ。風邪だとよ。」
「あ、そーなの?ねー、タクロウ休みだってさー!」
テルがそう言いながら、向かいのソファーに座り、スタッフに聞こえるように叫ぶ。
「えっ、タクロウさん休み、って本当ですか?」
テルの声が聞こえたらしくスタッフがあせった声でこっちにやってきた。
「ホント」
「えっ…それは…困りましたね。」
スタッフにはタクロウは電話しなかったらしい。ホントに困っている。
「ごめん!俺、帰る!じゃあね!」
「ちょっと、ジロ!…タクロウんとこ行くんだね〜きっと。」
テルの声にも耳も貸さず、ジロウは帰ってしまった。
「打ち合わせはなしだな。」
あっさりとヒサシが言う。
「だよね〜。リーダーもいない、裏リーダーもいない、じゃねぇ。」
テルが相槌をうつ。
「それは…そうですけど…」
「帰ろうぜ」
「だね。」
「えっ、ちょっとまって下さいよ。」
「やだよ。俺らじゃ、なにも決められないもん。ね、との?」
「そう。だから、帰る。お疲れ」
「お疲れ様〜。」
スタッフの止める声を無視して、テルとヒサシは帰ってしまった。
「あ、ちょっと、2人とも…あ〜」
1人取り残されたスタッフが部屋に立たずんでいた。
「ったくさぁ、こんなときに風邪引きやがって。バカは風邪引かないって、いうけどな。」
「との、それひどいよ…。ま、思いがけず休みってことで。どーする?」
「タクロウんちにでも邪魔しに行くか?」
「ジロウに後で睨まれても知らないよ?」
「…それもそうだな。…飲むか」
「あ、じゃあ俺んち来なよ!」
「メシ作れよ。」
「オッケイ」
一方、ジロウは…
「おじゃましまーす…」
ジロウはそのまま寝室へと向かう。いつも賑やかな彼の家がシーンとしている。
「タクロウ…くん?」
そーっと、寝室のドアを開けると、広いベッドにタクロウが1人で寝ていた。苦しそうな息をしている。
側まで近づいて、タクロウの額に手を伸ばす。
「ちょっと…あるかな」
ジロウはそのまま向きを変えて、寝室を出ていった。足はバスルームへと向かっている。
「タオルは…っと、あ、あった。」
ジロウは、蛇口を捻ってタオルを冷たい水に浸す。そして、固く絞ったタオルを持って、また寝室へ
苦しそうに息をしているタクロウの額にタオルを載せる。
そうすると、タクロウの苦しそうな顔がすこし穏やかになる。
「これで、少しは違うかな…」
ジロウはそのまま、ベッドの脇に腰掛けて、タクロウの顔を覗きこむ。
「ん……ジロ…」
タクロウがわずかに声を上げて、身じろぐ。
「タクロウくん…?起きたの…?」
タクロウの返事はない。
(なんだ。寝ぼけてんのか。)
ジロウは汗で湿っていて額に張りついているタクロウの髪を邪魔にならないように、かきあげる。
「…ジ…ロ…?」
タクロウが意識を取り戻したようだ。
「あれ?タクロウくん、起きちゃった?」
「…どーして…ここに…?」
どうしてここにいるの?という目でジロウを見ているタクロウ。
「心配だから来たに決まってるでしょ!大丈夫なの?」
「あ…うん…熱がちょっと…あ…タオル…ジロが置いてくれたの…?」
「そーだよ。ちょっとは違うでしょ。」
「ごめんね…迷惑かけて…」
「なに言ってんの!迷惑なわけないでしょ!もっと俺に頼ってよ、ね。」
「…うん。ありがと…」
儚げな笑顔でタクロウがジロウに微笑み返す。
(…タクロウくん…可愛いvvこんな笑顔、反則だよぉ)
ジロウはすぐに笑顔になって、
「いーえ、どういたしまして。あ、そういえば、どーして俺に連絡してくれなかったの?」
「あ…ごめん…」
「謝らなくて良いから。どうして?」
「ホントは…電話しようと、思ったんだけど…苦しくて…声…出なくて…」
「もう大丈夫なの?」
「…うん。ごめんね…」
「だから、謝んなくていいって。それより、ご飯食べた?薬は?」
小さく首を横に振るタクロウ。
「そっか。じゃあ、なんか食べよっか。ね?」
「うん」
「じゃあ…お粥で、いい?」
小さく頷くタクロウ。
「はい、おとなしく待っててね。」
ジロウはタクロウの額に乗っていたタオルを取る。そして、頭を優しく撫でて、ベッドから立ちあがる。
「って…事で。お粥かぁ、たしか前にてっこくんに教わったな〜。たしかご飯を洗って…」
ジロウはテルから前に教わったお粥の作り方を思い出して、お粥を作り始めた。
「コンビニでご飯買ってきてよかった。まったく、タクロウくんちって、酒以外ないんだもんなぁ。うわっ、あちっ!」
火傷しそうになりました(笑)
でも、大丈夫。愛があるから。タクロウへの(笑)
「ん〜、大丈夫…だな」
お粥を作って寝室まで運ぶと、 タクロウが起き上がっていた。
「タクロウくん」
「あ、ジロ…。もしかして…ジロが作ってくれたの…?」
「ったりまえじゃん!って言っても前にてっこくんに教わったの思い出してながらね。ささ、食べて。食べさせてあげよっか?」
「え、いーよ…。」
「なんで?」
「だって…恥ずかしい…し…」
(……かわいい…)
「いーじゃん。ほら、アーン」
ジロウが強引に言うと、タクロウがおずおずと口を開ける。
ジロウは蓮華に取ったお粥をフーフーさまして、タクロウの口に運ぶ。
「おいしい?」
「うん」
「はい、じゃ全部食べれる?」
「…食べる。」
タクロウは結局お粥を全部平らげた。自分で食べれると言ったのだが、ジロウがそれを許さなかった。
結局ジロウが全部食べさせてあげたのよ。(笑)
そして、渡された薬を飲む。そしたら、どうやら眠くなってきたようです。
「眠いんなら、寝てもいいんだよ。」
「ん…」
タクロウは今にも眠りそうである。
「寝てていーよ。おやすみ」
「…うん…おやすみ…。ジロ…そばに…居て…ね…」
タクロウはそう言って、寝てしまいました。
「…タクロウくん…。そんな嬉しい事を言ったまま寝ないでよ。俺、どうしたらいいわけ?」
ジロウは困った顔をしながらも、タクロウの寝顔を優しい顔で覗きこんだ。
そして、タクロウの手を取る。自分もベッドの側に座って、タクロウの手を握っている。
「タクロウくん、ここに居てあげるから。ゆっくり寝てね。1人じゃないからね。」
ジロウのそんな声が聞こえたのか、どうなのか、うれしそうな顔をするタクロウ。
「タクロウくんの寝顔って…ホント可愛いよ。俺より遥かに背が高いっていうのに…子供みたい。」
クスッとジロウは笑い、子供のようなあどけない顔で寝ているタクロウにそっとキスを落とす。
最近の毒舌なジロウなんて何処へやら。
優しそーな顔をして、握っているのとは反対の手で、タクロウの頭を撫でてあげる。
結局、夜タクロウが目覚めるまで、ずーっと側にいて手を握っていてあげたジロウでした。
「おはよ〜。あ、タクロウ大丈夫なの?」
テルがやって来ると、既に来ていたタクロウを見つけて寄って来た。
「おーてっこ。」
「風邪直った?」
「あーもーすっかり。」
「そーだよね〜、ジロウが看病してくれたんでしょ?」
「…まあね。あ、ヒサシ…」
入り口にヒサシの姿が。
「とのおはよ〜」
「オマエ朝からうるさい…」
そう言いながら、ドカッとソファーに座るヒサシ。
「いーじゃーん。そういえば、ジロウは?」
「ああ、今…」
「たくろーくーん!コーヒー…あ、2人とも来てたんだ?」
ジロウくんが戻って来ました。どうやら、タクロウの為にコーヒーを買いに行ってたようです。
「きちゃ悪いかよ。」
「悪いなんて言ってないじゃん。はい、タクローくん、コーヒー。」
タクロウにコーヒーの缶を渡しながら、隣に座るジロウ。
「ありがと。ごめんな、わざわざ…」
「タクロウくん、ごめんは禁止。俺がタクロウくんにしてあげたいんだから。そんなにすぐあやまらないの。」
「うん…ごめん…」
「ほら、また謝る。」
「あ…」
2人で顔を見合わせて…微笑む2人。
「なんかさぁ、俺ら邪魔者?ねぇ、との?」
そばで肩をすくめて言うテル。
「勝手にやってれば。」
ヒサシは2人を無視して、相変わらずパソコンに向かっている。
「ヒサシは冷たいよな〜。どーせ、バカは風邪引かない、とか言ってたんだろ?」
タクロウがヒサシにそう言うと、
「よくわかってんじゃん」と、ヒサシが悪びれもせずに答える。
「すいませーん、タクロウさんちょっといいですかー?」
スタッフがタクロウを呼ぶ声がする。
「あ、はーい。今行く〜」
タクロウはジロウが買って来たコーヒーを持ったまま、行ってしまった。
「ねぇ、ジロウ?」
タクロウが行ったのを見送ると、テルがジロウに話しかけて来た。
「なに?」
「なんかした?」
主語も述語もない質問に、訳がわからない様子のジロウ。
「は?なにが?」
「え、だってさぁ…まさかホントに看病しただけ?」
「なにそれ。ちょっと、てっこくんと一緒にして欲しくないなぁ。」
「オマエは看病以外になんかすんのかよ」
テルの答えにヒサシからも突っ込みが入る。
「え、そうじゃないけどさ〜。」
テルはなんだか不満そうである。
「いーんだよ。タクロウくんの寝顔も見れたし。」
「あいつの寝顔なんて見てて楽しいのか?」
ジロウの嬉しそうな声に、ヒサシが不思議そうに聞いてくる。
「可愛いんだよぉ。子供みたいで。」
うっとりした顔でジロウが言う。
「ふーん、俺にはわかんねぇ」
興味のなさそうな返事をするヒサシ。
「俺もわかんないなぁ。」
テルも同じ答えをする。
「わかんなくていーんだよ。っつーか分かったら困るよ!」
(ライバルが増えるじゃん!)と、心の中で思ったジロウだった。
え〜お待たせしました。ジロタクです。なんつーか…純粋!まーねー私の書くジロタクにエロを期待
してはいけません!彼らでエロなんて…ヒサタクとは大違いだ(笑)
何か…一番普通だね。一応、ジロウちゃんはお粥が作れます。タクロウ以外には絶対そんなことしないだろうけどね。
タクロウにはおもいっきり優しいジロウでした。
あ、ちなみにこれはテルヒサ(ヒサテル)ではないですよ。2人をからかって遊ぶ2人組です(笑)