ジャジャジャジャ〜ン
中にパイプオルガンのおとが響き渡る。JIROと腕を組んだHISASHIがゆっくりと
歩いてくる。その様子を見ていたTERUは、
(ヒサシ、綺麗…。でもなんか怒ってるな…)とか関係ない事を思っていた。
「これは僕達からのプレゼントなんだ。おめでとう。」
JIROがHISASHIをTAKUROへと渡す。その時にこっそり耳元でささやいていく。
(JIRO、TERU…)
参列者はTERU、JIRO、そしてタッキーとモッシュの4人だけ。
「新郎、久保琢郎は新婦、外村尚をすこやかなるときも、病めるときも愛する事を誓いますか?」
「はい。」
TAKUROは神父の目を見、HISASHIを見て答える。
「新婦、外村尚は新郎、久保琢郎をすこやかなるときも病めるときも愛する事を誓いますか?」
「はい」
HISASHIはまっすぐ前だけを見つめて答える。
「では、誓いのキスを」
TAKUROがHISASHIのベールをめくる。
「ヒサシ、愛してるよ。」
「タクロウ…」
2人はキスをした。2人の愛を誓うキスを交わした。
その後、指輪を交換して(指輪はTERU、JIROが用意していました。)
式は終了した。

「おめでと〜!」
その言葉で、パーティーが始まる。
ここは、さっき2人が連れてこられたスイートルーム。
そこのリビングルームで6人はパーティーを始めていた。
「取材ってのは嘘だったのか〜。もしかして今日の打ち合わせって…」
「もちろん嘘だよ〜」
TERUが笑って答える。
「ヒサシ?ヒサシはどうやって連れてこられたの?」
TAKUROの問いに花嫁は、もといウエディングドレスを着たまま大きいソファーに
座ってビールを飲んでいるHISASHIは無言だった。
とても機嫌が悪いらしい。
「ヒサシ…?」
TAKUROがHISASHIの隣に座り、顔を覗きこむ。
「ん?」
TAKUROの優しい顔を見て、ぼそぼそと小声で喋る。
「ん?え?」
TAKUROは驚いた顔をしていた。
「ジロ、すごい手使ったんだね…」
「ああ、睡眠薬?そうしないと連れて来れなかったからさ」
「それにしても…」
「ヒサシくんだからに決まってるじゃん!タクローくんは抱っこして運べないからね。それにしてもヒサシくん軽すぎ!」
「お前そんな運び方したのかよ…」
HISASHIが絶句している。そこで口を開いたのはタッキー
「あの…僕達は仕事があるのでそろそろ帰りますけど、タクローさんとヒサシさんは今日これからと明日はOFFですから。
ここでゆっくりしてって下さいね。」
この言葉で話は一気に逸れ、部屋の中があわただしくなる。
「あ、そっか!やば!次の仕事間に合う?」
JIROが慌てたように言う。そしたらTERUがのんきな声で
「だってここのすぐ近くなんでしょ?」と、言う。
正反対の2人の態度に2人のマネージャーは苦笑いしながら、もう行きましょう、と言った。
帰ろうとする4人をTAKUROは
「ちょっと待てよ!ここの部屋、もしかして借りてるの?」と、呼び止めて聞いた。
TERUが振り返って小声でTAKUROに耳打ちする。
「だってさ〜新婚初夜でしょ?豪華な方がいいかな?とおもってさ。じゃあね」
TAKUROの答えを聞かずに、TERUは先に部屋を出ていった3人を追って行ってしまった。
「…一泊いくらするんだよ、ここ…」
嬉しいもののなんだか複雑な気分のTAKUROである。
あの2人が何かを計画するとなんだかやたらすごい事になってしまうのはいつもの事だが、
今回はちょっとやり過ぎだな、と思ってしまう。庶民なTAKUROだった…。
TAKUROがう〜んと悩んでいるその脇でHISASHIは…
「俺これ脱いでいい?」と聞いた。
「えっ?ごめんなんか言った?」
「これ脱いでいいか?って聞いたんだよ!」
これ、とはウェディングドレスのこと。どうやら恥ずかしくなってきたらく、脱いでいいでしょ?
という目でTAKUROを見ている。
「ダメ!」
「えっ!」
TAKUROはニコニコとして言葉を継ぐ。
「俺さあ、こういうの脱がしてみたかったんだよね。」
「……オヤジだな、お前。」
「なんとでも、言ってください」と、TAKUROは平然としている。
TAKUROはHISASHIの持っていたビールをテーブルに置き、腰を抱き寄せる。
「ちょ、ちょっとタクロー!」
おもむろにウェディングドレスの長い裾がめくられる。TAKUROの手がHISASHIの白い足へとのびる。
手は撫でるようにしてだんだんと上へと昇ってくる。
「は、はなせって!」
HISASHIは必死でTAKUROの手をどけようとする。が、
「やだね」と、あっさりと両手を封じ込められしまう。
「やめろよ!」
HISASHIの抵抗に、TAKUROはもう太ももの辺りまであがって来ていた手を離し、
HISASHIの首の後に手をやる。
「ヒサシ、愛してるよ…」
そういってHISASHIにキスをする。
「タクロ…んっ、はあ…」
「フフ、カワイイよヒサシ。後はベッドで続きしようか?俺は別にここでも良いけど?」
やっぱりニコニコとしてTAKUROは言う。
「……ケダモノ……」
「だってヒサシがそんな可愛い顔するからいけないんだよ?」
「そんな…」
「やっぱりここでしよっか?いつもと違うシチュエイション、ってのもいいよね。」
「…ケダモノ…」
「大丈夫だよ、誰も見てないんだから。…あっ、でも月は見てるね。今日は満月だよ。」
TAKUROは喋りながらも器用にHISASHIのドレスを脱がしてゆく。
「いや…あっ…タク…ベッドに……」
「だあめ!ここでするって決めたの!」と、TAKUROはだだっこの様に言う。
「やだっ…あっ……」

新婚初夜はソファーで(笑)。なんて2人なんでしょう…

HISASHIは朝起きて、TAKUROを「バカッ!!」とののしってみるものの
TAKUROの「ごめんね」の一言で許してしまうのだった。
だってホントは怒ってないんだもの。

結局ラブラブな2人なのでした。

おしまい

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