熱帯魚の引越し


 引越しそのものも大変なイベントではありますが、熱帯魚の引越しはさらに大変です。
何度か引越しを経験しましたが、その体験談を交えつつ、その方法をご紹介します。


引越しのやりかた袋詰め
酸素はどうする?保温はどうする?
引越し実録ドキュメント


引越しのやりかた

熱帯魚の引越しのやりかたは大別してこのうちのどちらかになります。
引越し先に別の水槽を設置しておく方法
長所
魚に優しい。
短所
何度も引越し先に行く必要があり、遠い引越し先だと難しい。
水槽などの器具が余る。
引越しと同時に水槽を持っていく方法
長所
一回で済むため遠い引越し先でも可。
器具のムダがない。
短所
引越し前ギリギリにパッキングが必要なため、時間との勝負になる。
生体が死んだりするリスクが大きい。

袋詰め

ショップに行って事情を話せば、袋の数枚はもらえると思います。
具体的なパッキング方法は以下のとおりです。

熱帯魚をビニール袋に詰める方法
熱帯魚屋さんは目にも止まらぬ早業で熱帯魚をビニール袋に酸素詰めして入れていきます。一見難しいように見えますが、慣れてしまうとたいした技ではないことがわかります。慣れてくると袋を見ていなくても十数秒でできるようになります。

@ 袋を用意。コリドラスのようなトゲのある魚は穴が開かないように袋を二重、三重にします。開いている部分を折り曲げてやると水をこぼしにくいです。慣れてくればそのままでも構いません。A 魚をプラケに掬います。水の量はプラケの半分くらいが流し込みやすいです。袋を折り曲げた部分にプラケの淵をあてて一気に流し込みます。ここでためらうと魚が跳ねたりプラケに張り付いたりします。

B 写真のように持って袋の中の空気を押し出します。袋の開いた部分から酸素を詰め、詰めきったら指で酸素が逃げないよう抑えておきます。C 袋を写真のように捻ります。写真ではわかりやすいように手を開いています。

D 袋が張る程度に捻ったら小指を立てて輪ゴムをかけます。E 輪ゴムを小指に引っ掛けたまま捻った袋をぐるっと一周させ、写真のように輪の中を通してしばります。

F 輪ゴムを強めに引っ張ってきつく締めます。普段はEのしばる動作と締める動作を同時にやります。G しばった部分で輪ゴムをグルグル巻いていきます。写真ではわかりやすいように長めにグルグル巻いていますが、短めに巻いた方が見た目が良いです。

H ある程度グルグル巻いたら今度は捻った袋を折り曲げます。I 折り曲げた部分にまたグルグル巻いていきます。

J これ以上巻けなくなったら最後の輪っか部分を、捻じ曲げた袋の上にかぶせてゴム締め完了です。
K 完成全体図。余った袋の部分がないように詰めても、その余りを切っても構いませんが、袋を開けるときにこれを引っ張るとカンタンにあけることができるので多少は残しておきます。

L そのままでも構いませんが、袋の端をセロテープで止めてやると紙袋等に入れやすいですし、魚が角に挟まる事故の防止になります。M 完成!

酸素はどうする?

短時間の輸送であれば、酸素は詰めなくても大丈夫ですが、ある程度の距離や時間がかかる場合、酸素は必要です。そこで酸素をどう用意するかなんですが、

@市販のスプレー缶の酸素を使用する。
千円程度で購入できますが、この上の詰め方の写真の袋、2、3袋分の容量しかなく、割高です。

A市販の固形酸素を使用する。
10粒ほどが500円程度で購入できます。何度か使ったことがありますが、無事運べました。釣具屋で売られている釣り用のものもあります。こちらの方がお得かな。

Bショップで詰めてもらう。
これが一番現実的かつ安上がりかつ効果的です。ふつうのショップであれば、事情を話せば詰めてくれるはずです。

わたしの場合は、家でパッキングしたかったので、元バイト先にお願いして酸素だけ入れた袋を作ってもらいました。その袋から魚を入れた袋に酸素を流し込んでパッキングしました。また、補助的に固形酸素を2粒ほど入れておきました。

保温はどうする?

時期的に暖かい時期だったり、短時間の輸送であれば、保温については何もしなくても大丈夫ですが、真冬であったり、ある程度の距離や時間がかかる場合、保温は必要です。そこでどう保温するかなんですが、

@袋に新聞紙や保温シートをまく。
一番カンタンな方法ですが、何もまかないよりも、だいぶ違います。

Aクーラーボックスに入れる。
釣り用のクーラーでも良いですし、発泡スチロールの箱でも大丈夫です。最近は100円ショップで、ちょうど一袋分の小さな発泡スチロールの箱が売られています。

Bカイロを入れる
普通にカイロを入れると熱くなりすぎてしまうのですが、クーラーボックス等の密閉された空間に入れるとちょうど良いぐらいの発熱になります。ちなみに問屋からショップに運ばれてくる箱にはこれを計算した穴が何個か空いています。

わたしの場合は、釣り用のクーラーボックスのふたにカイロを張り、その中に二袋、パッキングした袋を入れました。


時々刻々
CRS水槽 関東→四国 引越し実録ドキュメント

事前
家具等の関東から四国への引越しは中一日かかるとのこと。さすがに熱帯魚は2泊はムリ。引越し業者に水槽を割られたりされても困るので水槽類はマイカーで運ぶことに。高速で行くのは辛いのでフェリーで行くことにした。
17:00
CRSの状態重視のため、出発ギリギリまでパッキングを待つ。
水槽引越し作業開始。
ヒーター等のアクセサリーをすべて水槽から取り出し、水草もすべて抜き、掬いやすい環境を整える。
17:05
ビニール袋に水槽の水を入れてCRS成体を掬い、網から直接袋に入れる。CRSは掬うときに網からジャンプすることが多いのでこの方法が安全。
17:10
稚エビを掬う。稚エビはジャンプの心配があまりないので、プラケにすべて掬う。40匹ほどいた。
17:30
パッキング開始。CRS親で一袋、稚エビで一袋の計二袋をパッキング。エビはつかまるところがあると落ち着くので、水草の切れ端を入れてやる。酸素はショップで作ってもらった酸素だけ入れた袋から流し込み、予備で固形酸素を入れる。
17:35
釣り用のクーラーボックスに袋を入れる。蓋の部分にカイロを張る。
17:40
水槽からソイルを抜いてバケツに。
17:50
ダンボール箱に、器具類をまとめる。
18:00
車に積み込み。出発
18:20
フェリーに乗船
19:10
東京を出港 クーラーボックスは車に置き去り。航海中は車両甲板に立ち入ることができないため、様子は見れず。船室に持ち込めばよかったかな。
13:00
18時間ほどの穏やかな航海で徳島に入港。下船。陸路で一路新居へ。途中のドライブインでパッキング後、初めてクーラーボックスを確認。とりあえず泳ぎ回っているので一安心。
15:30
新居着。水槽台の位置決め。水槽のセッティング
17:00
なぜか、フィルターがウンともスンとも言わず、新品を買いに走る。
17:30
セッティング完了。温度あわせ開始
17:30
水あわせ開始。エアーチューブを使って慎重に・・・
19:00
CRSを水槽に。稚エビを含めて一匹も落とすことなく無事引越し完了!



というわけで

できればやりたくない水槽の引越しではありますが、転勤族の悲しい定め。
できる限り生命を奪うことなく、うまいこと引越しさせてやりたいですね。