はじめに
コリドラスはアマゾン産の小型ナマズです。今まで発見されたコリドラスは数知れず、いまだに新種が発見されています。日本でも百種類ぐらいが販売されています。コリドラスの飼育は基本さえ押さえれば、他の熱帯魚と同じように簡単に飼育できます。
必要なものを揃えよう
水槽
水槽が大きければ大きいほど良いことは言うまでもありませんが、ペアで飼うのであれば、30センチ水槽でも構いません。一般的な60センチ水槽で十分です。また、背の低い「らんちゅう水槽」でコリドラスを飼っている方も多いです。
フィルター
水槽のサイズにもよりますが、上部フィルターで十分です。それプラス外部フィルターや投げ込みフィルターなど組み合わせて使うのがベストです。底面フィルターでも良いですが、ガスが発生しますと、コリが死んでしまうことがありますので、こまめに砂利掃除をしてあげましょう。
ライト
明るくても暗くても特に問題はありません。水草を同時にやるのでしたら、明るくした方が良いでしょう。
サーモ&ヒーター
コリは他の熱帯魚と比べてある程度低い水温でも大丈夫です(18〜22℃程度)ので大容量のヒーターでなくても大丈夫ですが、カラシン等と混泳させる場合、低水温は白点病の素となりますので25℃程度にしてあげましょう。
底砂
コリドラスの飼育の中でも、もっともこだわっている方が多いのが底砂ではないでしょうか。種類ごとに解説します。
大磯砂
一般的な砂利で値段も安い。細かいものから比較的粗いものまで3種類くらいある。一番細かいものは底面フィルターには向かない。比較的角がないのでコリには向いており、黒色なのでどんなコリにでも似合う。海で採集されるものなので貝殻が含まれているときがあり、硝酸処理(硝酸で貝殻を溶かす)をして使う人もいる。もっとも無難な底砂。
珪砂
これも一般的で値段も安い。石英分が多く、pH、硬度を上げる傾向がある。また、角が鋭いため、コリにはあまり向かない。明るい色のため、コリの体色が「飛んで」しまう。
サンゴ砂
言うまでも無く海のものなのでコリ飼育には不向きですが、Ph、硬度を上げる作用があるので、pHが落ちやすい水槽にごく少量用いるとpHが安定する。
新田砂
コリ愛好家のなかでも人気が高いのがこの砂。田んぼの土の中から土だけ取り除いた砂で、きめこまかい割には比重があり、角もないのでコリドラス飼育には最適。ただ、水替えのとき、砂掃除がちょっと面倒。最近、値段が下がり、入手しやすくなった。
ブライトサンド
ADAが販売している天然の川砂。新田砂よりは荒い。多少、底砂が詰まりやすい傾向がある。
アクアプラントサンド
ニッソーが販売している人工の砂、というよりは土で、理想のpHになるが、崩れ易いのと肥料が含まれているのでコケが出易いのが難。また、ステルバイやゴッセイなどオレンジ色のヒレを持つコリは色が飛んでしまう。
水槽のレイアウト
流木や石、水草等のアクセサリーでレイアウトしましょう。
注意したいのは、水草はコリが掘り返してしまうことがあるのと、コリがハマってしまいそうな穴が空いた流木、水質を変えてしまう石には気をつけましょう。
コリドラスを買いに行こう
ワイルド物とブリード物
ワイルド物とは文字通りアマゾンの川に泳いでいるコリを捕まえてきたものです。比較的、サイズが大きいものが多いです。繁殖を目指してコリを飼うならばワイルド物をオススメします。繁殖できるサイズまで育っていることが多いので繁殖が容易です。
ブリード物とは東南アジアあるいは国内で養殖されたもののことです。値段は安いのですが、それなりに若い小さいコリがほとんどです。最近は、薬を使って無理矢理繁殖させているところもあるそうで、そんなコリは短命で、繁殖も楽しめません。
どんなショップで買ったら良い?
コリドラスを購入するとき、オススメなのはコリに力を入れているショップか、ちょっと失礼ですが昔からあるようなあまり売れてなさそうなショップで買うのをオススメします。力を入れているショップとは、扱っているコリの種類が多い所、同じ種類のコリがとてもたくさんいる所、コリに詳しい店員がいる所、こういうお店です。あまり売れてなさそうなショップは文字通り売れてないので、長い期間大事に育てられていることが多く、状態の良いものを入手することができます。値段の安い量販店で買うのは、「見る眼」とトリートメントに自信がなければあまりオススメできません。
どんなコリを買ったら良い?
眼をクリクリ動かし、ヒレをピンと立てているコリが状態の良いコリです。身体に血がにじんでいたり、ヒレがバサバサと切れているとかヒゲがないとか痒がって体をこすりつけているとか、フラフラ水中を漂っているようなコリは状態が良いとは言えません。それから水槽全体を見て他に調子の悪そうなコリがいないか確認しましょう。一匹でも病気のコリがいると、一見大丈夫そうでも後で発症することがあります。また、シクリ、パンダ、イルミネーター等、病気が出やすいとされているコリと同じ水槽に入っているコリは買わない方が無難です。
コリを選び終わり、持ちかえるときに注意したいのは、コリは毒を出すことがあります。できれば一匹ずつパッキングしてもらいましょう。また、なるべくショックを与えないよう持ちかえりましょう。
コリを買ってきたら
他の魚と同じく、温度合わせ、水合わせをしましょう。
もし、袋の水が白く濁って泡立っているときは、毒を出したときですので水合わせを省略してコリドラスだけを水槽に入れてあげましょう。袋の水は絶対に水槽に入れてはいけません。他の魚が死んでしまいます。
トリートメントの重要性
買ってきたコリドラスはトリートメントしてやる必要があります。一見元気そうでも、そのコリ自身が持っている菌で前からいるコリが、あるいは前からいるコリの菌で新しいコリが発症してしまうことがあります。
トリートメントの方法
トリートメントに使う水槽は30センチ程度のもの、あるいは大きめのプラケでも構いません。フィルターはスポンジか、投げ込みのもので十分です。これから入れようとする水槽の水を入れます。
使用する薬はパラザンD、エルバージュ、グリーンFゴールドなどです。できれば期間を空けて数種類の薬を使いますと、より万全です。2週間ほど様子を見てから本水槽にコリを移します。
他の魚との相性について
コリ自体はとても平和的な魚ですので、他の魚に対して影響はありませんが、コリに対して攻撃的な魚とは混泳できません。エンゼル、アピストなどのシクリッド、一部のカラシンがコリをつついたり、ヒレをかじったりするようです。
エサについて
天然のものと人工のものがあります。それぞれバランスよく与えるのが理想的です。
天然もの
赤虫
冷凍物が中心。消化はあまり良くないが、コリは好んで食べます。
イトメ
生きている物が中心。腐り易いので必要な分だけ買い、よく洗って使いましょう。
人工エサ
各社から販売されており、バラけやすいものとバラけにくいものに大別されます。飼育者の好みで選択しましょう。バラけやすいものの方が食いが良いです。
バラけやすいもの
テトラ 旧タブレットフード、チャーミーコリドラス、セラ タブレット
バラけにくいもの
テトラ コリドラスフード、ヒカリ コリドラス
日々のメンテナンス
定期的な水替えをしましょう。底砂の汚れをよく取ってあげるのが大切です。
繁殖方法
コリドラスの繁殖は比較的、簡単です。
オス、メスの見分け方
オスは体が細長くシャープです。メスはふっくらとしていて腹が横に膨らんでいます。上から見るとわかり易いです。
とてもふっくらしたメスの白コリ
ペアリング
メス1、オス2が基本です。ペアだけの水槽にしたほうが成功率が高いです。ペア水槽は30センチ程度の水槽で十分です。
産卵のきっかけ
以下のようななんらかのきっかけを与えることで産卵することが多いです。
・やや冷たい水で水替え
・アクアバイタル等、ビタミン剤の添加
・pHを下げる
・台風が来て、気圧が下がる。気温の急変等気象の変化
産卵行動
産卵前はオスもメスも水槽の中を泳ぎまわり、なんかそわそわしだします。次第にメスがオスの体の横に頭を着けるいわゆるTポジションを始めます。このとき、メスはオスの精子を吸っているそうです。メスは腹ヒレの中にタマゴを抱えて水槽のガラス面等、垂直の部分に産卵します。種類にもよりますが、数時間で産卵は終わり、その後、数日に分けて産む場合や、一週間おきに産む場合があります。
産卵したら
親がタマゴを食べてしまうことがありますのでタマゴを取り出すか、親を別の水槽に分けましょう。タマゴを取り出すときは、指でこするように取るか、ウィローモスやろ過マットでぬぐうようにして取ると取り易いです。卵は比較的固いです。
取り出した卵の処置
粘着質ですのでプラケ等の壁にはりつけましょう。エアーレーションして水カビ防止に薄くメチレンブルーを入れておくと良いでしょう。
孵化したら
種類や水温によって孵化するまでの時間が異なりますが、2、3日で孵化します。孵化直後はヨークサック(卵黄)がついており、2、3日はこの栄養で育つのでエサは食べません。ヨークサックがなくなったら、エサを与えます。このタイミングを逃すと、餓死してしまうことがあります。最初のエサはブラインシュリンプか、そのタマゴを加工したもの(アルテミア)を与えます。成長とともに、イトメ、人工飼料を与えて行きましょう。
まとめ
コリドラスはとても奥が深い魚です。いろいろコレクターに走っても良し、繁殖に取り組んでも良し、それぞれのコリライフを楽しんでください
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