土地・建物・・・土地・住居・部屋・屋上、他
家具・家財・・・家具・鏡・食器類、他・電化製品
装身具・身回品・・・鞄・装飾品
土地 造成地 地価 新築 新居 マイホーム 兎小屋 マンション アパート 団地 家さまざま 建築工事 ビルディング エレベーター エスカレーター 会場 別荘 菜園 変電所 部屋 床の間 茶の間 書斎 書架 本籍 棚 囲炉裏 台所 化粧室 窓 幕 カーテン 屋上 屋根 瓦 庭 非常口 消火栓 門 塀 壁 表札 玄関 扉 自動ドア ドアチェーン ドアホーン 噴水 畳 障子 コインロッカー シャンデリア 灯 蛍光灯 スイッチ 間借り 建材 家具 机 椅子 回り椅子 金屏風 ソファー 火鉢 下駄箱 灰皿 額 珠のれん 鏡 三面鏡 手鏡 鏡かけ 時計 鳩時計 目覚まし 置き時計 砂時計 食卓 茶碗 皿 箸 箸枕 匙 スプーン コップ 栓抜き 雑巾 箒 洗面器 歯ブラシ 蝿叩き 爪切り 鍵 鍋 フライパン 自在鉤 包丁 ステンレス まな板 壺 火消し壺 こたつ 弁当箱 魔法瓶 ハンガー 米びつ 提灯 乳母車 哺乳瓶 歩行器 箱 花鋏 数珠 バスタオル 紙パンツ 風鈴 針 裁ち鋏 糸 毛糸 掃除機 洗濯機 冷蔵庫 クーラー トースター レンジ 電気器具 ものさし 電池 アイロン 電気毛布 炭 マッチ 鞄 財布 ハンドバック 市場籠 風呂敷 袱紗 ステッキ 手袋 軍手 ハンカチ 傘 腕時計 眼鏡 サングラス 老眼鏡 天眼鏡 ダイヤモンド 宝石 指輪 ネックレス ペンダント イヤリング リボン かんざし |
田を売って土に未練のない息子 税金をにくむ掌にのるほどの土地 山売ってから歯車が狂いだし 草踏んで明日は他人に渡る土地 曼珠沙華宅地にかわる土かぶる 石地蔵までが追われる造成地 自然壊して月ケ丘星ケ丘 ふるさとの山を素肌にした文化 地価はぐんぐん働くひとを突き放す 凡人で地価には遠い金を溜め 売った値で買えぬ宅地の手付け金 地鎮祭終えて神主地価をきく 霊園の一平米も宅地なみ 坪百万他人の邸の値踏みする シンデレラボーイは調布に家を建て 新築へ妻の稼ぎのあたま金 土地売って祖先にすまぬ家が建ち 遺産ゼロ自力で建てた木の匂い 新築の噂は畑売るらしい 娘の新居エレベーターのない五階 ゴキブリも完成待っている新居 こともなげに他人は家を買う話 マイホーム建てた順から脱都会 マイホーム学歴だけで建てられず 釘打ってからばたばたと住み古し 一生を担保に建てるマイホーム 馬車馬の荷物が重いマイホーム 売った値でもう還らない家屋敷 小さくとも大の字に寝る2DK 頂上を極めた目には兎小屋 兎小屋道化の服が干してある ひな壇へひと部屋あける兎小屋 兎小屋隣もきゅうりきざむ音 兎小屋家具の谷間で子を育て マンション暮らし淋しからずや鍵いくつ マンションを羨みスラム化論を持つ マンションの扉の中にある故郷 銅像の孫マンションにひそと棲む マンションと呼ぶモルタルの二階建て マンションに取り越し苦労せぬ女 マンションをシャトーと呼んで庶民住む 二人目を考えさせる2DK アパートに籍はどうでもよい二人 アパートの五階きりもみして降りる アパートがみんな仲よしとも見えず 団地いま国旗一本見つからず 引っ越しに誰も見送らない団地 団地住まい妻に茶屋のある実家 自家用車野宿の外はない団地 だんだんと団地サイズに馴らされる お医者やあい先生やあいニュータウン 中流の意識競っている団地 建て売りをけなして見てる届かぬ手 建て売りを素足の女ぽんと買い 大阪は家のすき間に家が建ち プレハブを侮って未だ建てられず 貸家札昔は斜めに貼ったもの おとなりへ聞こえますよと隣から 鉄を組む指令下から笛が鳴る 騒音はよそ様が建つ杭の音 こっそりとする増築が派手に見え 棟上げに男の酒が置いてある 不法建築がモダンに出来上がり わが窓の海を奪ってビルが建ち 目の黒いうちに建てとく夢のビル 時流れビルが見おろす天守閣 古都の美をそこなうビルがまた一つ また一つ美田を消してビルが建ち 自殺志願へビルは一層高くする 後継ぎのセンス老舗のビルが建つ エレベーターデートのように二人出る 東京孤独エレベーターを押すボタン エレベーター花嫁さんと乗り合わせ 急いでもエスカレーターマイペース 会場づくり終わって壇上から眺め 軽井沢ひとの別荘見てまわり 鳥獣保護区菜園が荒らされる 働いているとは見えぬ変電所 鍵のない部屋でだまされまいとする 浅酌低唱日本に粋な四畳半 めんどうな計算部屋が冷えてくる 整理すると淋しさだけが残る部屋 床の間へペンキ塗られた負けいくさ 床の間を背負ってお面はずせない 目にドラマ耳に野球の夜の茶の間 縁談も別れ話も来た茶の間 片づかぬ茶の間に父母の愛がある 本に手が届く書斎で孤にかえる 片づけてすぐに散らかるのが書斎 風邪ひきそうに整理した書斎 わが書架に心足る日と足らぬ日と 書架派手に飾ってマンガばかり読み のらくろの復刻がある父の書架 本箱に確かな僕の息づかい 週休二日トロフィーばかりふえる棚 吊り棚を母の高さにきめる嫁 母病んで眼鏡が一つ棚にある 点数をかせぐ心算の棚をつる 壊される日は遠くない父の棚 信頼が出来た囲炉裏の暖かさ よそ行きに着替えてからも台所 エプロンは流しの高さから汚れ 台所悲しい日にも湯気を上げ 基準法違反と笑う台所 妻病めば茶碗が多い台所 同性の中傷に泣く化粧室 たかまどがひと目我が窓風致地区 人ひとりやっと生きてるそんな窓 あかあかと今夜は父の帰る窓 美しいひとの居そうな窓あかり 両方で気になる窓が一つあり 紅白の幕の向こうは椅子を積み 鯨幕逢うてはならぬ人に会い そして幕妻が喝采してくれる しあわせの一つカーテン替えた朝 愛情の飢え屋上のハーモニカ 屋上の眺め悪人など住まず GNP大国小さい屋根に棲む カラフルな屋根にローンという重荷 信用で続く老舗の低い屋根 屋根の草風の運んで来た命 静もりて昔の瓦重い街 瓦一枚の寄進で老いの心足る 頑として過疎に生きぬく鬼瓦 背を向けたまま信じ合う鬼瓦 わかるような顔に石庭見つめられ 観戦記序盤あたりは庭をほめ 練り塀の中はけがれぬ京の庭 四面楚歌されど花咲く庭のあり アベックへぽこんと鳴って鹿おどし 尉と姥広いお庭をもてあまし 名刹の庭に心の目をひらく 枯山水石に絵ごころ詩ごころ 争いを抱えていても花の庭 訓練のときは開いた非常口 訓練で錆を落とした消火栓 近所などいらぬ屋敷の門構え 篤農という百姓の門構え ブロックで囲み人情疎く住み 心持ちゆずり合いして塀が出来 門限に塀のりこえた行状記 いたずらをしてみたくなる白い壁 表札を変えても運はむいてこず 表札をまっすぐにして父帰る 別居する子の表札を書いてやり 表札を拭く雑巾の水をかえ 政治家の表札誰も盗まない 表札がまだ落ち着かず新興地 玄関で決めた返事を奥でする 玄関で貫禄負けの靴の艶 豪勢な扉もローンの音がする 車椅子で叩く扉はみな厚い 忍者でもないに扉がすっとあき 拒みたい人もあろうに自動ドア 踏めば開くドアばかりではないぞ 人間は信じてならぬドアチェーン ドアホーンかならず帰る父である 逢う人もなく噴水のある広場 虹をつくろう噴水いつも努力する お隣で遊んでもらう畳替え 畳でもつまずく老いの愚を重ね 舞う一歩一歩の重さ知るたたみ 子育てがすむまで延ばす畳替え はずれない障子一枚祝いごと やすらぎは母の匂いのする障子 歳時記のとおりに妻は障子はる コインロッカーみんな秘密を抱く姿 コインロッカー都会の悪へ加担する おずおずと来た会場のシャンデリア 素晴らしい夜景貧しい灯もまじり 団地の灯くらしに合わせ消えてゆく 灯を消して無念無想とはいかず 負け犬を迎えてくれる灯が一つ 夏の灯のどれにも父と母がいる 思いきり泣かせる部屋は灯もつけず 会者定離遠く近くに灯がともる マンションの灯は精一杯に生きている 蛍光灯叱ってやるとパッとつき スイッチはここといっぺんつけて見せ 根ほり葉ほり聞かれて間借り決まりかけ 合板でもっともらしい木の素顔 米売った金ふところに家具売り場 新築へ移された家具伏し目がち 家具までが背く気がする妻の留守 2DK虚栄の家具が納まらず ピカピカの家具をそろえて親心 家具売り場親子三人かけてみる 机三つどの子が出世してくれる 支那机愛には遠き会話もつ 現場から見れば事務所の無駄な椅子 左遷した椅子に左遷が来て威張り 平等の椅子へ凡人疲れきる 面接へ欠勤の椅子つかわれる 堅い椅子でも食べさせてくれる椅子 寝返った男に椅子を奪われる 是が非でも座ってみたい議長椅子 メリットのない会長の椅子は空き 切れ者で惜しいが座る椅子がない 過ちを認める椅子へ浅くかけ 反骨のうだつ上がらぬ堅い椅子 家康の思慮でさばいた回り椅子 回り椅子人が変わったとも言われ 回り椅子で家紋を磨く男たち 権力があぐらをかいた回り椅子 回り椅子深く掛けると眠くなり しごかれた日がありがたい回り椅子 影武者がほしいと思う回り椅子 末席の母より遠い金屏風 前身が覗くソファーへ斜にかけ 拝観料でたべる火鉢と足あぶり 物置きの火鉢に父が母がいた 下駄箱の不服このごろ靴で混み 下駄箱という一足も下駄はなし 灰皿の知る商談はせちがらい 灰皿の掃除はたばこ吸わぬ人 灰皿の小さな火事をお茶で消し 灰皿のあわれトイレに左遷され 言い負けた語尾灰皿に温める 客去ってその灰皿に人を知る 表彰状額はあなたが買いなさい 丸まげの頃なら邪魔な珠のれん 旅の駅鏡の中の我に逢う 今日からの孤独をうつす鏡ふく ひとり生きて鏡に行って参ります こころ売る日の鏡から逃げている 眉をひく鏡をつつむ夜のこころ 鏡よ鏡美しくなれ若くなれ 映るものみんな鏡にして女 モナリザの微笑真似してみる鏡 本当の顔は鏡に映さない ただ事でないと見抜いている鏡 晴れ着きて鏡がこわい五十妻 ふけたなと呟く鏡の中の影 嫉妬した顔を鏡がたしなめる 美しい過去は鏡の底へ埋め 三面鏡その一面に鬼が棲む 笑顔三つうれしい朝の三面鏡 化けすぎへ三面鏡があざ笑う 三面鏡命あずける人が出来 手鏡へ女の業を溜めて老い 老いてなお女が匂う鏡かけ 情けかも知れぬ止まっている時計 積善の家を守って古時計 五分ほどすすめて母の寝る時計 鳩時計一人暮らしへ弾まない 鳩時計夫婦のドラマ見て飽かず 間の抜けた目覚ましが鳴る日曜日 置き時計わが心臓も夜をきざむ 決断は急ぐなという砂時計 食卓のひろさにさむい海がある ほめ方を知らぬ茶碗を持たされる 茶碗二個それで世帯を持った父 人のいのちと同時に果てるめし茶碗 充実の中で二人の茶碗買う 茶碗が割れる厳粛にこっけいに お茶碗も男尊女卑に出来ている 割れた皿独り言して継ぎ合わせ お返しの皿へわが家の味をのせ マナーマナーと何を食べたか皿の上 好物へ亡き父思う箸をつけ 朝晩に箸をおがんで敵がなし 想うこと別に二人の箸動く しきたりは良きかな箸へ掌を合わせ 塗り箸も剥げて素顔の倦怠期 やがて来る別れを箸は知っている 箸二本の重さもやがてわかるはず 孫の名が増えた今年の祝い箸 雑煮箸夫婦は同じこと思う 幸せはふれ合う箸の音にさえ 割り箸のはさむ七味が直訴めき 割り箸に密かな誇り吉野杉 箸枕女将自慢の京の四季 銀の匙心に棘のある会話 銀の匙ただ一言を待ちわびる 物思いするスプーンはまぜるだけ 秋風にコップが一つ生き残り 栓抜きは仕合わせうすき人の胸 箒より雑巾しぼる子に期待 雑巾へミシンジグザグデモをする 雑巾の刺し子に母が正座する 雑巾で顔拭かれてるまねき猫 竹ぼうき一円玉を掃いている 洗面器両手でまるい水すくう 生きているあかし歯ブラシみんな濡れ 歯ブラシが皆濡れている朝の幸 蝿叩きいつしか出来た裏表 切っている人へ爪切り予約する 鍵っ子のカギは大事なペンダント 防犯の集い錠前買わされる 合鍵が五分で出来る恐ろしさ 鍵穴も凍てつきひとり来た任地 鍵かけて出ても女は気にかかり 渡された鍵のささやき握りしめ 鍵かけてくつろぐ顔を別に持つ 鍵のある引き出し子との距離を知る 子の部屋の鍵が孤独にしてしまう 合鍵を渡すひとつの運だめし ニューム鍋妻のたわしに負けて艶 念入りに鍋を磨いて気を鎮め 老い二人小さな小さな鍋を買う 行平の粥から愛を感じ取る フライパン楽器にされた音を出し フライパン用がないから壁へ向き 自在鉤古いなさけを語りだす 心澄む日の包丁のリズミカル 使い馴れした包丁が怖い日も ぎこちない包丁の音に寝ておれず 帰省する子に包丁のはずむ母 ステンレス錆る自由が恋しかろ 俎板の凹み夫婦にある歴史 まな板のくぼみおんなの歳時記か 幸福な音か大根を切るリズム まな板に女の業を刻む音 まな板がざらつく心乾く日に 出土した壺が死にそう排気ガス 壺ひとつ飾り小さい贅に居る 流行へこびぬ青磁の深い艶 手作りの壺に楽しい夢を活け 甘酒の壺を覗いて亡母と逢う 火消し壺未練なものが溜まりすぎ ジャンケンでこたつから出る用が出来 働きが違うでっかい弁当箱 魔法瓶というから酒が出てきそう ポットの湯かえて夫婦のすれ違い ハンガーに今日の疲れがぶらさがり ハンガーに四季ぶら下げて独り者 米びつの底に溜まったノラのうた 米櫃が確実に減る幸せよ 提灯の明かりで嫁に来た話 若き日のライバルが押す乳母車 哺乳瓶育ちで情緒には欠ける だれが親でもよさそうな哺乳瓶 哺乳瓶何か足りないものがあり 歩行器へ息つくひまがない畳 歩行器をもらってからの家具の疵 歩行器はここと思えばまたあちら ビー玉をいくつも溜めて孤児の箱 片手間にとった師範の花鋏 老いらくの恋お土産に数珠を買い たぐっても数珠に終わりのない悟り バスタオルまといちょっぴり妖婦めく 文化とは侘びしきものよ紙パンツ 風鈴をうるさいと言うふしあわせ 風鈴はやがてこころの奥で鳴り 風鈴は暮らしに染まぬ音をたて 針持てば愛も嫉妬も湧いてくる 和裁塾針は数えて仕舞うもの 逢えぬ日の針はしきりと指をつく 母の面影追えばにじんだ針の先 針穴に通すえにしの糸の彩 針を持つときの安堵はほんもので 三年に一度ぐらいは針をもつ 男が針を持つと貧しさが目立つ もめん針亡母の夜なべが恋しいか リホームにセンスが光る裁ち鋏 思い出が糸にきしんで紅の裏 白黒の糸でことたる寺住まい 絹糸をならして思慕がたちきれず 古毛糸マリオネットの髪に生き 掃除機の先で男を追いまわし 掃除機のあとから母は掃きたがり 洗濯機回して終わりなきドラマ 洗濯機わけへだてせず回るだけ 冷蔵庫出れば意気地のないバター 冷蔵庫満タン主婦の幸福度 クーラーの部屋で戦友会の贅 冷房完備長居のつらい年となり お茶漬の音が嫌いなトースター 皆一度に起きても困るトースター 電子レンジ月賦で愛のない料理 保証期間待ってたように故障する 着物にはまだ執着のくじら尺 二尺ざし妻の旧姓まだ残り まだ役に立ちそうなのに乾電池 アイロンの余熱愛しく冬に入る 電気毛布へこんがり焼かれそうに寝る 粉炭も大切にする姑の過去 別れともなき人かばうマッチの火 罪一つひそめて帰る旅カバン たたかいの日々を鞄に詰めて父 一人住む女きれいな財布もつ 寝そびれて落とした財布まだ思う 愛されているのは財布ではないか 押し寄せる値上げ財布を貝にする 見せる気はないが見られていた財布 旅慣れているので財布二つ持つ 穴埋めの財布は母が持っている 春財布妻には妻の夢があり 急停車ハンドバッグの蓋が開き たこ焼きを一番上に市場かご 着ぶくれて駄目な男の市場籠 市場籠テレビ料理のメモと出る 市場籠持てば奥さんはと聞かれ 市場籠ぼくが持つとき酒と肉 風呂敷に里の土産は紐を足し 風呂敷のままで中身のわかる品 風呂敷のふくらみ孫は見逃さず 日本にしきたりがあり袱紗あり ステッキをコツコツ冬が背をまるめ 手袋もハネムーンという白さ 手袋の白さ哀しい別れする 手袋の右はどこかで踏まれてる うっすらと軍手の女ひげが見え 指先の余る軍手へ寡婦の意地 真剣に生きる軍手がまた破れ かなしみでなしハンカチを振る別れ ハンカチを洗うに男派手な泡 今日も暮れていくハンカチの汚れから きっと泣くからハンカチは白にする ハンカチを洗う昨日の罪洗う 僕の傘にもたれて妻と子との傘 ひとり傘にひとりの音がする時雨 ただ一人傘持ってきた雨男 そのかわり杖にはならぬたたみ傘 逢うためと別れるための腕時計 狂わせておけと日曜の腕時計 失業の腕にオメガが不遜なり 針のない時計をきらう年になり 子ら巣立つそれから針のない時計 言いわけはよそう時計のネジを巻く デジタルに替えて若さを主張する 眼鏡拭く真意が読めるかも知れぬ まだまだ死ねぬメガネを二つ持ち 肉体の一部眼鏡と五十年 善人に丸い眼鏡がよく似合う 時代祭メガネかけたをなぜ雇う 罪を消すたびに眼鏡の度が進む サングラス席をゆずって見直され おてんとうさまが恐いかサングラス サングラスどきんとさせる道を聞く サングラス外して歳を読みとられ 目の怯えまでは隠せぬサングラス サングラスかけて変身した気持ち 背信の苦渋をかくすサングラス 老眼鏡買えと教えてくれた本 銀行が老眼鏡を貸してくれ 折れる気の老眼鏡を拭いている 天眼鏡蟻の対話が聞こえそう この辞書も天眼鏡も亡母のもの ダイヤはめて笑われてると知らぬ人 けし粒のダイヤでなごむ妻の指 節高の指にセンスのないダイヤ 一つ出し一つをしまう宝石部 素通りはせず買いもせず宝石部 宝石が乳房の谷にある虚飾 宝石をはずすと嘘が喋れない 宝石の話へ夫のってこず 宝石箱に四十代の彩をため 宝石を持つと神経質になる 宝石を手ばなし強くなる女 宝石に女の指が犯される 宝石に売った心が還らない 宝石の大きい方がよくしゃべり 宝石は心の中に持つつもり 働かぬ人の指輪がなぜ光る 誕生石まだしあわせは知らぬ指 母の手の指輪いまから予約済み 指ぬきの古色の中に母が棲む よいことで売った指輪の白いあと 指輪など知らない母の手に育ち すこしきつい指輪にこころしばられる 妻の手の今さらどんな指輪合う 税務署へ行くときはずすネックレス ネックレス男の肌になじみかけ 踊りつかれた男に首輪の跡がある 点字の娘胸にイエスのペンダント 酒井四十の春をひそかにペンダント ペンダント胸の谷間の深いひと ペンダントすでに悪魔の棲む胸に お婆ちゃんなどといわせぬイヤリング 祝賀会のリボンで客の品定め 胸のバラ大き過ぎては無礼です 貞操というはかんざしさした頃 |
中口正和 上松爪人 加藤明 古川佳子 永田暁風 津田草芽 大木俊秀 東元良顕 力丸花水 島崎信子 宮内泉都 大久保松露 村井豊子 柏原大然 高竹道雄 岡田敏子 岡田敏子 福田もとる 綱木千舟 礒野いさむ 高坂照男 中村孤舟 竹村順一郎 国吉幡枝 伊藤道彦 宮本風柳 河面しずこ 桑原狂雨 馬場凡 片岡つとむ 小野日生 武藤龍子 米倉好子 岡村嵐舟 佐伯みどり 那珂圭介 宮本時彦 長谷川歴青 山田正業 安田蝶の助 林一六 中嶋恵美子 山本一途 斎藤妙香 桜井六葉 蔵多李溪 冨士野鞍馬 礒野いさむ 中尾飛鳥 佐藤恒星 小宮美奈子 佐々木五郎 吉田良 川部幸太郎 合田稔 夏秋竜平 松尾馬奮 佐竹君女 尾谷鴨野 山崎蛙考 深野初胡 大橋昭城 桑原元春 力丸花水 北島醇酔 石川艶子 太田竹路 古跡一花 小寺燕子花 多田誠子 岩谷春郎 波乱丁 安田吉甫 竹山逸郎 矢内灯雨 今川乱魚 井上律子 竹山逸郎 こだま美枝子 浅井副次 遠野加寿子 緒方章 岸本水府 鷹大典 明城雷音子 藤川博央 斎藤矢人 土居哲秋 山田正一 博多成光 神谷娯舎亭 綱木千舟 柏原幻四郎 高橋武郎 深堀正平 藤永格堂 今井胡次郎 小野風童 榎本信治 西沙英子 喜田小夜子 園田蓬春 北浦太朗 今村中間子 山下源水 諏訪芳郎 片岡つとむ 田久保久美子 三浦由和 福田もとる 川辺雪影 外山瓢人 内山憲堂 安井蜂呂 上田文子 向田桜羊子 山本一途 大城戸悠水 江口かほる 松川通子 酒井光楼 宮本百水楼 千手澄 久保定雄 安田将幸 河合若人 赤尾狂一 石岡正司 池田淳子 吉岡敏子 吉田凡茶 大谷忠雄 吉岡恒彦 吉田悦子 吉永昭斉 亀山恭太 多納巷雨 黒川清光 山本秀人 田渕君子 重久輝子 神谷かをる 長田一丁 高谷梵鐘 外山冬四郎 古澤蘇雨子 岩尾多見三 中田としお 姥谷鉄也 鈴木丙午郎 佐々木富美子 矢須岡信 松尾鶴林 三条芳文 相馬毅一郎 槙紫光 滝井竹郎 木本如洲 石川勝 古川日曜 荒金千明 松下いつ子 中西信子 鈴木丙午郎 麓クリコ 村上白雲 住田英比古 武田昌三 浦上寸万 堀久美子 喜田子楽 山本美春 広瀬恭子 和田哮 大野連山 北山紀世 城田よしたか 山添眉水 岡田俗菩薩 福島マチ子 松木窓城 高橋散二 田島加代 榎本聰夢 園田康統 藤野チヨ 田中一軒 守屋宝山 森中恵美子 池田静山 滝本吐月 家久真智子 源田琴波 中尾飛鳥 大谷祥子 安部タケ子 志津光子 中山秀峰 丸山希久代 今村中間子 斎坂多一郎 曽根幸広 平尾卓三 竹内八重子 苅谷たかし 河野無塩 山口茂康 河村露村女 広池敏子 吉田凡茶 池田正一 岡村嵐舟 鈴木如仙 貴田兼造 森西鳥 北島醇酔 小野正美 吉田吟泉 山本逸山 古澤蘇雨子 福島正則 久米鳴石 篠崎扶美子 櫛田信子 片岡直人 松浦寿々奈 池田香珠夫 中村柳児 高橋紀代 長谷川伸司 岸田喜志三 内田松風 横田庄治 小林敬山 杉久美枝 大橋一正 吉田半平 大道美乙女 石井青馬 佐々木鶴江 千手澄 本庄東兵 村上孝一 佐竹君女 多田俊子 高橋春子 青木桂堂 桜井六葉 平松圭林 岩橋芳朗 守屋宝山 迫部秀子 柏原幻四郎 榎本信治 柏原幻四郎 森北三四郎 乾邦政 辻香豊 高屋知充子 楢原博子 外山あきら 大炭七夜 末次長久 秀島千代 遠藤枯葉 上田佳風 岡井千峯 天根夢草 児島竹志 木幡村雲 川井古雨 藤原静香 小寺燕子花 博多成光 斉城史朗 櫛田信子 近江砂人 片岡つとむ 明石フミ子 中野美智子 正月谷閑静 望月鉄観 永田暁風 飯田敏子 高橋春子 佐々木芳正 岸本水府 田中一守 赤尾狂一 三宅がんじ 兵頭まもる 長谷川芙美女 大倉修子 武藤瑞こ 岡田悦喜 上田斗六 小宮美奈子 森紫苑荘 高橋紀代 水江マツ子 西尾芙紗子 浜野当平 上松爪人 中田たつお 上野豊楽 生駒みづゑ 内田由子 岡田五風 森 紫苑荘 池田静山 佐藤つる 谷克美 中村孤舟 三浦カツ女 武藤瑞こ 畠山宗次 加茂すみれ 有山英 遠藤枯葉 田頭良子 佐々木博子 福島郁三 安武九馬 村野英雄 薦田とめ子 黒部好恵 小林瑠璃 正司珠梨 中西三智子 向田桜羊子 浦山雅世 三条芳文 北原晴夫 真島清弘 千手澄 杉山方夫 八木佐到子 中西信子 藤永格堂 東井たかし 竹内萬里子 蒲池義白 松下いつ子 柴田午朗 桑原狂雨 田中南都 上松爪人 池下まごし 岡田敏子 臼井はな枝 岩井澄子 岩橋芳朗 坂倉広美 大塚美枝子 尾形さつき 古川しげ子 辻とし子 谷川久仁子 河面しずこ 今井胡次郎 大木俊秀 南野敦子 高橋スミエ 二川三語 真弓明子 佐々木よしお 北島ふさ 田岡千里 石川寛水 小野清太郎 上西一誠 井崎雅子 鋳谷京糸 斉城史朗 片岡つとむ 二川三語 吉川しげ子 鋳谷京糸 辻本俊夫 上田斗六 入江刀介 岡田俗菩薩 奥豊价 竹重白城子 岸田万彩郎 高橋佳笑 田中玉枝 谷岡不可止 高谷梵鐘 岸本水府 中口正和 重村十雨 後藤破舟 浜田玲郎 川畑幸一 都築千幸 長谷川春蘭 庄司淡泉 永田暁風 神谷九楽 もんでんしょうこ 飯田尖平 森東馬 中島敏子 伊佐豊子 酒井路也 佐島風柳子 上松爪人 相川年子 村上長鼓 杉野睦朗 杉原正吉 高坂照男 長田一丁 福田昭人 住田英比古 立石弦月 大城俊文 飯沼照子 鈴木貴弘 井上りき山 木幡雅一 明石柳次 小野須磨子 松本城南子 中村晴魚 細川聖夜 石川寛水 住田三鈷 橋本言也 田中英 安田将幸 野邊喜美子 川妻またじ 兵頭かほり 村田秀畝子 吉田秀哉 田村青丘 隅一声 巽仲男 中津泰人 中西叶樹 博多成光 福田秋風郎 中西青嵐 谷川久仁子 古川喜久 森中恵美子 山本澄子 本田南柳 志水浩一郎 川田イ明 中西葦切 奥田かよ子 村中ひろし 庄司登美子 岩尾多見三 田中一窓 博多成光 赤松玉雪 上田佳風 西村国典 坂倉広美 北谷詔子 今井胡次郎 酒井光楼 上田文子 片山玄風 福田白影 坪田つくも 森川岳勇 山田菊人 石川石介 |