2002-11-4作成

鉄道による国境通過
 ■ 97年の旅行のとき、フランスのコルマールからスイスのルツェルンへ移動を計画した。バーゼルでの乗り継ぎ時間が5分しかなかった。もちろん乗り遅れても、次の列車に乗ればいいのだが、その日は、ルツェルンからフェアヴァルトシュテッテ湖の船でフィッツナウに行って、そこからリギ山のヨーロッパ最古の登山電車に乗る予定であり、この乗り継ぎが成功しないと、リギ山に行けないことになってしまうのだ。

■バーゼルはスイスの都市である。しかしバーゼル駅は、ドイツ、フランス、スイスの国境であるので、駅構内が仕切られていて、そこで国境通過のための手続きが必要になる。5分で、出国と入国の手続きができるとは思えない。しかし、過去の旅行の経験から、この乗り継ぎはできるはずとたかをくくっていた。経験的には、走っているバックパッカーの後を、同じように走ればいいはずだ。
 予想通り、走る若者がいる。細長い通路の途中にフランスの出国ゲートがあり、ここでフランスの係員が自分のパスポートを横目で見る。さらに通路を進むとスイスの入国ゲート。ここでもパスポートを見るだけ。何にもスタンプを押さない。これでスイスに入国だ。後はルツェルン行きの列車の出発ホームを探せばよい。結局、1分程度の余裕を持って、5分の国境通過、列車乗り換えに成功する。東京駅で京葉線から山手線に乗り換えるより、ずっと楽だった。

■ヨーロッパ鉄道旅行では国境通過は、実に簡単なのである。EUが発足する以前から、国境での乗り換えがない場合、列車で移動するあいだに国境を通過するときに、大半の場合何の手続きも必要ない。もちろん、これはユーレールパスが通用する諸国だけの話しだ。そんな中で、少しばかり注意すべきことを書いておきます。

■92年の旅行ではノルウェイ→スエーデン→ドイツを2晩連続、夜行で移動した。ノルウェイのナルビクからストックホルムへの、有名な「北の矢(ノルトピレン)」の夜行寝台、ここでの出入国手続きはない。国境駅ナルビクには税関がない。だから、オスロでの買い物のVAT(付加価値税)の還付を受けることができなかった。しかし、列車がノルウェイからスエーデンに入っても、ノルウェイ通貨が使用可能であった。おかげて、車内でビールも飲めるし、食事もできた訳である。

■問題は、翌日のストックホルムからハンブルグ行きの夜行であった。検札に来た車掌が、私のパスポートをよこせと言っているようなのだ。何はともあれ、パスポートだけは、肌身離さず持っていたい。しかし、同室のドイツ人はさっさと自分のパスポートを車掌に渡してしまう。すでに車掌の手には、他の乗客のパスポートが束になっている。これでは拒否することはできない。私も素直にパスポートを渡した。これが、「地球の歩き方」に書いてある、ファーストクラス向けのサービスであった。出入国時に、寝ている乗客に代わって、車掌が手続きを代行してくれるという仕組みらしい。翌朝、車掌がパスポートを返却してくれるまで、なんとなく心配が続いたが…。
 たしかに、この旅行で、マドリードからリスボンへの2等寝台(クシェット)に乗ったとき、真夜中に起こされて、銃を持った国境警備隊からパスポートのチェックを受けた。
 いずれにしても、現在はEU域内での移動はパスポートの心配はいらなくなったので安心である。

■ともかく、国によって出入国の手続きは違うはず。心配な場合は、ともかく廻りの人の様子をよく観察する。それと同じようにすれば間違えはない。もしかしたら、ニセ車掌がいるかもしれません。


EURAIL Old Traveler