「フランスのいろいろな道」巡礼
「10日目」「ヴェズレーへの道(3日目)」
アヴァロン:サン・ラザール教会
Eglise Saint-Lazare
ルブレ】→【アヴァロン】 徒歩17.1km 2017-8-13(日)
2018-6-1 深津邦夫 記述 (~ves03-2-ava-11)


パリ「建築・文化財博物館」所蔵/サン・ラザール教会の実物大複製扉口

■2017年8月13日午後、ルブレからアヴァロンまでの歩き距離は少なかったので、ゆっくりと町歩きすることができる。アヴァロンでは、どうしても見ておきたい扉口がある。それがサン・ラザール教会にあるのだが、それを知ったのは、パリのシャイヨー宮にある国立の「建築・文化財博物館」 (Cite de l`architecture & du patrimoine)でみた扉口(上の写真を再掲)である。タンパンに描かれる世界は小さいけれど、全体の装飾性が華美ではなく品位が高く感じた。それは特に左右列柱の捻り柱で、しかも左右非対称になっているところだろう。
 新市街の中心はヴォーバン像のあるヴォーバン広場だが、そこから南側へ観光の中心となる城壁に囲まれた旧市街に向かう。正面に塔が見えてきて、それを潜って行く。



 

■ 英語のアヴァロン(Abalone)はアワビだが、フランスのアヴァロン(Avallone)はカエルである。塔の下を潜ると、小さな広場にカエルが一匹。その目が見つめる先にサン・ラザール教会があった。
 英語のパンフレットには「Collegiate church of Notre Dame-Saint Lazare」と書いてあったから、今回のブルゴーニュの旅で出合った参事会教会、ここでは「聖母と聖ラザール参事会教会」ということになる。ブルゴーニュで聖ラザールと言えば、1週間ほど前に立ち寄ったオータンの聖ラザール大聖堂である。この二つの聖堂の関係はどうなっているのか。パンフレットによれば、ここアヴァロンの教会は846年に聖母マリアに献堂されたが、1000年になって数年後、ブルゴーニュ公大アンリの時代に、パレスチナから聖ラザールの頭蓋骨がもたらされ、これをオータンとアヴァロンに分骨して、それぞれの聖遺物としたとある。オータンでは、ラザロはマグダラのマリアの弟子として、フランスに渡ったとされた。伝承が少し違うが、マグダラのマリアのヴェズレーの丘の麓に、それを守るようにラザロの教会が立っている。
 現在見ることの出来る構造や装飾は12世紀のものである。司教座ではない教会が、このような手の込んだ壮麗な構造を残し得たというは、往時いかに多くの巡礼を集めたかという証左であろう。


カエル像.

聖ラザール教会の西側面

■ ロマネスク教会の定石通り、西側正面に扉口を持ち、交差廊を持たないバシリカであった。扉口は中央にトリュモーを持つ大きな扉口、その右側に現在は使われていない小さな扉口があって、パリで見て、印象深かった扉口は、この小さい方であった。


拡大写真
■まず、アヴァロンの聖ラザール教会の印象を特徴付けているねじり列柱を見てみよう。大きい扉口の左右列柱は、それぞれ3本であり、それぞれ真ん中の1本にねじり(右ねじ)がかかっているが、そのねじりは弱い。右側の方が、初期構造を残しているので、下に写真を示す。一本の柱には男性像が取り付けられている。これがラザロであるかと思ったが、パンフによれば12使徒一人であるとのこと。大きい扉口では、トリュモー(中柱)の細いねじりが美しい。そもそも列柱は、その上部のアーチの垂直荷重を受けるものであるので、ねじり形状にすると、圧縮耐力が大幅に低減する。結局ねじり形状とした柱は、既に圧縮力を受ける機能を失っていると考えられる。



■次に右側の小扉口のねじり柱を見てみよう。左右のねじりは、よく見るとどちらも右ねじのようであるが、波型模様に近い。左のものはのっぺりとしているが、右のものは、その表面がねじり紐が複数集まった形態である。ロマネスクの扉口として、全体として美しいものは、他に多いが、左右列柱に限っては、この扉口が、自分が今まで見た中で最も美しいと言うか、他にない独特の雰囲気を感じた次第。
 タンパン自体も見るべき点も多く、内部の写真もたくさん撮ったので、この記事はここまでして、次の記事で詳細な写真をアップしよう。


右側小扉口の左側列柱

右側小扉口の右側列柱

                 
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