ヤコブのホタテ貝(12使徒とその表象)



ル・ピュイで買ったお土産 2008年サン・ジャンの巡礼事務所でいただいたもの。
(お志を置いてきた)。これをぶら下げて歩いている。

巡礼者の出で立ちは、暑い日差しをさえぎってくれるつばの広い帽子と裾長のマント、水筒代わりのひょうたんを下げた杖、そして肩から吊るした頭陀袋、それに首から吊るした帆立貝だ。帆立貝がなぜ巡礼者のシンボルかというと、ヘデロ王によって斬首されたヤコブの遺骸が船によって運ばれてきたとき、船底にたくさんの貝が付着していたこと以来、帆立貝はヤコブの象徴となったとある。(星降るカミーノ:神渡良平,PHP研究所より)


上の絵はアストルガの巡礼博物館(ガウディの司教館の中)で撮影した。12人いるから12使徒だとすぐ分かる。さらに下のように、それぞれの使徒の標章を知っていると、各人物の同定がある程度できる。これで絵の見方がかなり面白くなる。
【上段】右から 1:かぎを持つペトロ
          2:X十字架のアンドレ
          3:槍を持つタダイ
          4:こん棒を持つ小ヤコブ
          5:十字架を持つピリポ
          6:
【下段】右から 1:大工道具を持つトマス
          2:
          3:帽子にホタテ貝がついているヤコブ
          4:皮剥ぎナイフを持つバルトロマイ
          5:毒杯を持つヨハネ
          6:

姿 名前としるし 説 明
ペトロ Peter シェンキヴイッチの「クォ・ヴァディス」に描かれている、ローマから逃げようとするペトロにイエスがすれ違う場所は、カラカラからアッピア街道を北に向かって歩いていくと左側にある「クォ・ヴァディス教会」のあたりなのであろう。その時のイエスの足跡が聖遺物として保管されていた。
 ガリラヤ湖の漁師シモンにイエスは「おまえは岩(ペトロ)だ」と言った。「私はこの岩のうえに教会を建てよう」といって、ペトロに天国の門を開く鍵を授けた。逆さ十字架で殉教したペトロはバチカンの初代教皇と位置づけられる。
鍵(天国の鍵)
アンデレ Andrew ペトロの弟。ギリシャで布教中、X形十字架に架けられて殉教。写真の彫像はバチカンのサン・ピエトロ大聖堂で見ることができる。
 X形十字架
ヤコブ James ペトロとアンドレ兄弟の仲間の漁師。母は聖母マリアの従妹であったので、イエスの親戚である。ヤコブもまたヨハネと兄弟であった。写真の絵はエル・グレコのもので、トレドのサンタ・クルス美術館所蔵である。トレドに行ったときは、このことを知らなかったので立ち寄らなかったのは残念であった。
ヤコブはエルサレムで打ち首にされたが、スペイン出身の弟子が遺骸を船に乗せ、大海に漕ぎ出し、たどり着いたのが、現在のサンチャゴ・デ・コンポステラ大聖堂の地。
地中海を股にかけ、スペインまで布教したヤコブの肖像は旅姿が多い。巡礼の杖をもち、ズダ袋とホタテ貝を背負っている。何故、ホタテ貝なのかは、これから調べなければ分からない。参考にした書籍では、地中海を股にかけた「海の人」としての象徴がホタテ貝であるとしている。
ホタテ貝
ヨハネ John ヤコブの弟。12使徒の中で最も若く、親類でもあるヨハネをイエスはだれよりも可愛がった。トルコでは毒杯を飲み干し、ローマでは油の煮立った大釜に投げ込まれるが、死なない。12使徒で殉教しなかったのは、ヨハネだけである。そして「黙示録」と「福音書」を書く。
毒蛇の入った杯
マタイ Matthew 当時の取税人はローマの手先であり、私腹も肥やしていたので、民衆の嫌われ者てであった。イエスは、この取税人であったマタイを弟子に招命した。これを喜んだマタイは大宴会を開く。これが「レヴィ家の饗宴」(レヴィはマタイの旧姓)である。マタイはその職業能力を生かして、イエスの言行を記録し、「マタイ福音書」として残した。エチオピアで刺殺されたとされる。
金袋
トマス Thomas イエスの復活を信じないトマスの前にイエスが現われ、自らの傷口に触れさせ「わたしを見たから信じたのか。見ずとも信じらものは幸いである」と述べるのが「トマスの懐疑」。インドの布教で槍で突き刺された。大工の守護聖人。
大工定規
ピリポ Philip イエスが数千人の聴衆のためにパンを与えたいと言ったとき、ピリポは「そんな金はありません」と答え、その現実主義を露呈する。そこでイエスは僅かのパンをちぎって、全員与えるという奇蹟を起こす。奇蹟を喜ぶ人々を背に「人はパンのみにて生くるにあらず」とつぶやく。ピリポは小アジアで十字架に架けられ、石打ちにされ殉教する。
十字架
バルトロマイ Bartholomew ピリポによってイエスを知り弟子入りした。ヨハネ福音書ではナタナエルと呼ばれる。写真の絵はミケランジェロによるシスティナ礼拝堂の「最後の審判」である。聖バルトロマイが自ら剥がれた皮を持っている。ミケランジェロの自分自身の心象を描いたものとも言われる。バルトロマイはインドで布教で、生きたまま皮剥ぎの刑で殉教した。
皮剥ぎナイフ
シモン Simon 原始キリスト教過激派であるゼロタイ(熱心党)のメンバであった。タダイとともにペルシャを布教。ノコギリ切りで殉教されたとされる。
のこぎり
小ヤコブ James 地味な弟子。こん棒で撲殺され殉教したとされる。
こん棒
タダイ Thaddeus ルカ福音書では「ヤコブの子ユダ」と呼ばれる紛らわしい存在。槍に刺され殉教されたとされる。
ユダ Judas イスカリオテのユダ。縊死。
なし





サンチャゴ巡礼