左まわりに回る時計                                  2001-10-29 


■下の写真は1999年8月にニュルンベルグで撮った。聖ローレンツ教会の正面に掲げられた日時計である。この日時計は何かおかしいと気付く人がいるかもしれない。日時計の影はほぼ1時を指している。問題は、その数字の並び方である。そのローマ数字は8〜12、1〜4と並んでいるように見える。数字の並び方はおかしい。左回りすなわち反時計回りではないか。反時計方向にまわる時計を見つけた。


■そもそも時計はなぜ右まわりなのか。ほとんどの本が書いているのは、機械式時計ができる前は、日時計が使われていて、その日時計の文字盤が右まわりだから、それを機械式時計が踏襲されたと説明している。北半球の日時計は右まわりで、南半球の日時計は左回りとなる。だから、もし機械式時計が最初に南半球で発明されていたら、現代の時計き左まわりになったはずだと、誰かが言い出したことを、検証することもなく引用に引用が重ねられる中で定説化してしまったようである。

■もちろん、私もその定説の影響化にあり、この写真をどう説明していいか判らずにいた。我々が多く見る日時計は、公園の花時計である。この花時計は地平面から南向きわずかに傾けて、影を作る棒はその斜面に鉛直に立っている。その影は北半球では右まわりをする。しかし、もしその棒を水平に立て、垂直面にできる影を考えると、その影は左まわりをするではないか。北半球では日時計は右まわりするというのは事実ではない。それをこの写真は証明している。

■キリスト教のカテドラルは上から見て、十字架の形になっている。そしてその十字架の頂点を東側に向ける。よって十字架の横木は南北に向き、ファサードと呼ばれる正面入口は西側に設けられる。写真の日時計はこの西正面に取り付けられている。

■ともかく、この左まわり、右まわり問題は結構おもしろい。昨日のNHKテレビで、世界中からイスラムの聖地メッカに集まった何千人も巡礼はのカーバ石のまわりを、左まわりにまわっていた。そもそも現代の時計の回る向きを何故「右まわり」と呼ぶのか。この質問をして、答えられない人は結構多い。実は、というより左右認識力の欠如した私だから当然の話であるが、この右周りと左まわりの定義を納得したのは、最近の話なのである。



【左右の理屈】