ワープロ:左利きから感謝を込めて                2000-7-12 


■日本語ワープロを発明・製品化した東芝がワープロ事業からついに撤退するという。最初に始めて、最初にやめるというのはそれなりに格好がいい。ワープロが出来たとき、これこそ左利きのための道具だと快哉を上げたことを思い起こしながら、ワープロが左利きの人間にどれだけ貢献したか感謝を伝えたい。

■左利きの日本人に対して最大の喜びをもたらした発明はワープロである。左利きは字がヘタである。というより文字の形態は左手で書くことを前提にしていない。多くの左利きが子供時代にどれだけあの「お習字」で苦労したことか。ワープロのおかげで、資料の質が字のきれいさとは別次元で評価されるようになったのである。

■ タイプライターという道具を早くから持っていた欧米は、そのおかげで左利きでも他人が読める文章を書くことができた。むしろタイプライターが存在するために、あのように欧米人は字がヘタなのではないだろうか。このことは、欧米においては右手への矯正が、比較的無理強いされなかった要因の一つではなかったと思われる。

■今、ワープロはパソコンに飲み込まれてしまったが、 そのパソコンのおかげで、元々ひどい自分の手書き文字が一層ひどいものになってきたことも言っておかなければならない。そもそも、もう会社では字を書かないのだから、こんなことは大した問題ではない。カナ漢字変換というワープロの基本コンセプトはパソコンの中に生きている。もっと言えば、もし日本語ワープロが発明される以前に、パソコンが発明されていたら、日本人はパソコンを使うことが出来なかったことを考えると、左利きのみならず、日本人みながワープロの発明者にお礼を言わなければならない。その人が森健一である。



【左右の理屈】