ブストロフェドン                  2000-7-6 


■我々左利きは、横書きの文章を書くと、書いたそばから文字を擦ってしまって、万年筆では致命的だし、鉛筆でも手の腹が真っ黒になってしまっていやなものです。似たような問題は右利きが縦書き文章を書くときに起こる。日本古来の縦書きは実は左利きに都合よくできているのであるが、このことで右利きの人達がクレームをつけることはない。

■ なぜ右利きの人達はクレームをつけないのでしょうか。たとえば小学校の作文で使う原稿用紙など、右利きがもし少数者であれば、かれらは大ブーイングをするでしょう。あの原稿用紙は横書きに変えたほうが合理的であるように感じます。しかし、それが多数者の余裕です。文句をつけるのは、常に少数者です。左利きの人間が指摘するような問題は、実はたいした問題ではないということの査証ではないのかと思ってしまう訳です。

■ こう書いてしまうと、それまでなのだが、そこは理屈をこねないと先に進めない。右利きにも左利きにとっても、合理的な筆記方法はないだろうか。それは横書きで、最初はまず左側から書き初めて右はじにきたら、今度は逆に右側から左向きに書いていけばよいのです。キャリッジ移動式のプリンターがやっている往復印字方式です。書きにくいし、読みにくいというけれど、実はユニバーサル・デザインにはこういう側面があるということです。

■ このように書き方は荒唐無稽ではありません。古代エジプトの神聖象形文字はこのように書いていました。それがブストロフェドンです。ブストロフェドンというのはギリシャ語で、「牛のしろかき」を意味するそうです。田んぼでトラクターがしろかきするときも、同じように右から左に移動した後、端にくると左から右に移動していきます。



【左右の理屈】