なぜ右左でなく左右? 2000-6-24
| ■右と左のことを右左(うさ)と言わず左右(さゆう)というのは不思議ではある。なんとなく左上位に感じられるからである。英語でも、通常はright
and left とならべるようだ。右も左も現代中国語でも右と左と書くが、やはり右上位である。日本人の左右観は、基本的には中国から移植されたが、受容の過程で、若干の混乱が生じてしまった。 ■ 漢字の象形文字では、右は右手で「のりと」(口)を持つ形、左は左手でのりとをのせる「台」(工)を持つ形であり、のりとの方が台よりも上位である。この右と左の両手を重ねると「尋」(たずねる)となり、のりとによって神意を尋ねるとなる。さらに両手を広げた一ヒロという「尋」にも転意していく。 ■ このような右と左は、中国では白文で「左右」、すなわち返り点を打って、「右を左(たすく)」と読まれるが、熟語としては、左右のままで、日本語化したという。だから左右という言葉の意味は、左手は右手を助けるものであるということで、最初に書いたように、左優位を意味しないとが分かった訳である。 ■ もっと面白いのは、「左」と「右」の書き順である。部首索引で漢和辞典を引くと、左は「工」部、右は「口」部で、上の横線と縦の払いを、何と呼ぶが分からない。問題は、「左」では横線を引いてから、縦を払うのに、「右」では縦を払ってから、横線を引く。息子によれば、そんなことは常識で、国語の先生から「左」の縦の払いの長さは長く、「右」の縦の払いの長さは短いとも教わったという。 ■ 象形文字では、これらは左右の掌と腕の形からきている。書き順は、掌を先に書いて、次に腕を書く。だから「左」では横棒が掌で、長い縦線が腕を表現している。右では縦の短い払いが掌で、横線が腕になる。自分から見た、左右の手腕を象形化している。 以上、「美術における右と左」:中森義宗,他,中央大学出版会(4120円),1992年増補1刷 より話題を拾いましたが、わかりにくければ漢和辞典で確認してください。 |
(2002-11-28追捕) 上記を説明する良い絵が見つかった。 杉浦康平:かたち誕生,NHK出版,(1997)より イラスト:佐藤篤司 金文 |