4月15日は左利きの日ではないが…     2002-4-15 


■この話題は今日書くしかない。今日はレオナルド・ダ・ヴィンチの誕生日である。1452年のこの日の夜10時、フィレンツェから42キロ、ピサに向かう街道からすこし外れたヴィンチ村という城邑に、公証人セル・ピエロとその素性がはっきりしないカテリーナとの間に、私生児として生を受けた。ダビンチと日本では記述するが、海外では一般的にはレオナルドと呼ぶ。たしかにビンチは村名だから、ダビンチといっても、何も本人を特定できない。この事実を知ったときは結構うれしくって、ヨーロッパ地図にその名を発見して悦にいっていた。下の地図がそれだ。


■ダビンチは左利きである。歴史上、最も才能豊かな全能の左利きとして、誰しもが認める。それに匹敵するかもしれないアインシュタインは、左利きであるという根拠があいまいであることを考えると、左利きが、このダビンチの誕生日に何らかの特別な祝意を表そうというのは自然な態度である。ところが、WEBの「今日は何の日」で調べると、何と「ヘリコプターの日」ときた。理由はダビンチがスケッチした例の螺旋翼のヘリコプターの原型といわれる図面である。ヘリコプターの元祖はダビンチだということらしい。ヘリコプターの元祖はシコルフスキーに決まっているのに、絶対に飛びっこないダビンチの図面が評価されるということが、ダビンチの偉大さの所以か。と言うことで、ダビンチの誕生日はヘリコプターの日に取られてしまって、「左利きの日」にする訳にはいかなかった。まあいいじゃないか。

■ところで、このようなどうでもよいことを調べているおかげで、4月15日はダビンチの誕生日であるだけでなく、奇人にして博物学の世界的巨人であった南方熊楠(みなかたくまぐす)も、1867年の同じ日に生まれたことを知った。南方が左利きなら、ここで話題にしてもいいのだが、手元の本をめくっても、同人が左利きであるという記述は発見できなかった。残念。

■すでに左利きの日はいくつかある。8月13日が「左利きの日」だということを知ったとき、しかも、その日が言い出した方のご自分の誕生日だというので、くだらないことを言い出すものだ、それだったら、ダビンチの誕生日の方がずっといいと思った。言い出した人間の顔を見たいものだという印象をもった。その後、たまに思い立っては、WEBで調べるのだが、なかなか分からない。今日は少ししつこく調べたおかげで、その方の顔は分からないが、名前だけは分かった。

■その名はDean R. Campbellであるらしい。
http://www.linkshaenderseite.de/ilhtag.html
に記述されていた。現在、8月13日を左利きの日として、アピールしたり何らかの活動を行っているサイトは決して多くないが、一様に【Lefthanders International】が1976年のこの日を【International Left Hander's Day】に決めたとある。上記のサイトは決めた当人の名前まで書いている。まあ、随分昔からやっている訳で、とても認知されたり、普及しているとはいいがたい状況である。おもしろいのは、上記のサイトには次のように書いてあったことだ。
  In Japan wird auch jedes Jahr ein linkshandiger Bowling-Wettkampf veranstaltet.
  (この日には日本では毎年、左利きのボーリング大会が開催される)
JSCの活動がこんな風に伝わっているらしい。

■次に【Lefthanders International】で調べると、
   Jancy Campbell, Executive Director
   Lefthanders International, Inc.
   3601 S. West 29th Street Topeka, KS 66614
という社名とDean R. Campbellの縁者と思われるJancy Campbellという社長名が見える。ご当人は引退した模様。ともかく米国のカンサス州トペカという町のキャンベルおじさんが、1976年に世界の左利きの日を作ったらしいということが分かった。
 同社は左利き向け雑誌の出版をしている(いた)らしいが、同社のWEBサイトを持っていないようで、発見できない。ともかく左利きの日の優先権主張の権利は、同氏らにあり、元祖としての敬意は表されなければならない。

■今年、JSCが主唱して、2月10日を【レ(0)フ(2)ト(10)の日】として、従来はともすれば左利き仲間の内向きな活動であったものを、左利きの立場から左右共生社会を目差して、外に向かっての情報発信を始めたと自分には理解された。だから、私もそのメンバーとして、特に左右共用品の普及を目差した活動メンバーに加わったという次第。【レ(0)フ(2)ト(10)の日】は、その日が何か特別な日であるとか、何かを祝おうという日ではなく、その日を契機にして、日常的で実体のある継続的な啓蒙活動をしていこうという「きっかけ」の日である。言うまでもなく、我々左利きにとっては「毎日が左利きの日」であるからだ。

■しかし、自分の誕生日を左利きの日にすることを私がくだらないというなら、語呂合わせはもっとくだらないと考える人もいる。そう考えた人が作ったのが「宇宙の左利きの日」(http://kao.popkmart.ne.jp/neko/)。
その対象を地球外生物にまで広げた気宇壮大なサイトで、本年の4月2日を第1回の記念日とした。ただし宇宙レベルでの左右問題は、「自然界における左と右」(ガードナー)が書いているオズマ問題を解決しておく必要がある。即ち、互いに遠く離れて、その姿を直接みることができない状態で通信するとして、何らかの通信プロトコルを確立したとして、それぞれが、上下左右の概念をどう伝達するかという課題である。重力があるところに居住していれば、上下の概念は理解しあえるだろう。しかし左右は難しい。お箸を持つ手の側を右ですと言っても通じない。体を南に向けたときに東側に向くのが左ですと言っても、東西とは、何を基準して言うのか説明ができなくなる。よって互いに左右がどちらかを伝えあうことができないので、おたくの惑星では左利きは何%いるのですかという質問が成立しないのだ。

■以上、ダビンチの誕生日である4月15日は、自分にとって個人的なレベルでの「左利きの日」でしかないのだが、既にある「左利きの日」について書いた。色々調べたので、4月15日にアップできなかった。



【左右の理屈】