1998年〜2007年(50歳代撮影) | 自作アルバムの歴史 |
Rollei 35 Tessar 3.5/40mm (MADE BY Rollei SINGAPORE) 6009934 |
モワサックのエレミア |
2001-12-29撮影 モワサックにて
( トライX )
■サンテミリオンで冬枯れのワイン畑を散歩した翌日、ボルドーからトゥールーズ行きのローカル線に乗った。1時間30分ほどでモワサックの駅につく。サンチャゴ・デ・コンポステラ巡礼のル・ピュイ道の要所であるサンピエール僧院がある。駅から15分ほど歩くだけで、大変手軽に巡礼ムードを味わうことのできる観光地である。
ここでは裏にある矩形回廊と上の写真のエレミア像が有名なのだが、このエレミア像を探すのが大変。これを見たいという意志がないとまず見逃してしまう。正面タンバンを支える中央のごちゃごちゃした彫刻がされた柱の側面にあった。
■ロマネスク彫刻というと、稚拙・古雅とくくられてしまうことが多いが、とんでもない。これは男性彫像の歴史でも屈指の傑作であると思う。まず柱の全長に合わせて身長を十数等身に引き伸ばして、さらにこれをねじる。隣の4匹の獅子も引き伸ばされてほとんど爬虫類化している。これはエロンゲーションだ。エロンゲーションはマニエリスムの発明ではないということが分かった。
■作者は知られていない。ルネッサンス彫刻のようなドラマチックさを狙わない静謐でおだやかな表情と、全身のねじれによる緊張というアンバランスが、不可知な世界への上昇感を与える。ローライ35はもっとシャープに写るらしいのだが、私が撮るとこんなものになってしまう。
(2005-1-16追記) 男性彫像の歴史でも屈指の傑作と上に書いたが、私の写真からは、そうは思えないという手厳しい指摘をいただいた。今年の正月、イタリアでミケランジェロの彫刻をいっぱい見たけれど、やはり私の意見は変わらない。証拠写真として、モワサックで買ったガイドブックの表紙写真を引用する。 |
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