語彙の森DICTIONARY out of focus
更新日 2016-5-9 計30語
新着語
歴史の奴隷、レーガンの経済政策、歴史の中のキリスト、霊魂先在、レギーネ体験、霊動弁別、霊操、劣者受容、レンゾ・ピアノ、レンヌ・ル・シャトーの謎、レフ・テルミン、レディ、レツィーナ、レパントの海戦、レペシンスカヤ説、冷風研削、


例外(158)ファインマン
 例外は法則を破る。すなわち例外は法則の誤りを証明する。

霊魂先在(490)
 ソクラテスが『メノン』において「論争的命題」として注意を喚起している難問に出会う。すなわち、人は自分がすでに知っていることを求めることはありえない。それと同様に、自分がまだ知らないことを求めることもできないなせなら、自分が知っていることはもう知っているのだからそれを求めることはありえないし、また知っていないことは、そもそもなにを求めるべきかをも知らないはずだからそれを求めることはできない、という命題である。ソクラテスは、この難問を次のように考えることによって解決した。すなわち、学ぶことも、たずね求めることもすべて想起である、したがって、無知なる者は、彼が知っていることを自分自身で思い出すように想起しさえすればよいというのである。 したがって、真理は外から彼の中にもたらされるのではなくて、彼の中にはじめからあったのである。 この考え万は、霊魂不滅の証明となるからであるが、注意すべき点は、それが逆の方向をたどることであって、あるいは霊魂先在の証明となるからたというべきであろう。

霊操(437)
 『霊操』は、イグナティウス・デ・ロヨラが、自ら受けた神秘的経験を、あやまりなく自分の弟子たちにもうけさせようという目的意図を正確無比に実現するための心霊修業指導密である。…ロヨラの敵の表現をかりれば、前途洋々たる若者たちを霊操という魔術でたぶらかして、乞食に近い生活にさそいこみ、存在するかしないかわからない神の光栄への奉仕に集中し、キリストの頑強な兵士に鍛えなおす事業。…イニゴが霊操をさずけるということは、イニゴの生涯の総ての経験、総ての論理的思考、そしてなによりもイニゴの神との対話の総てが、対手方の魂の状況、知性に応じて、表現をかえ緩急の度合をかえて対手方にそそぎこまれるということである。丁度、人類が肉体を通じて種として継続してゆくように、その種族保存の本能を断ち切った若者たちは、霊魂の絶えることのない連続をイニゴからうけつぎ、未来に生きる新しい論理的行動的精神が誕生する。

霊動弁別(437)
 神と悪魔の存在を信じているイグナティウス・デ・ロヨラは、自分の霊魂の働きをひきおこすものが神であるか、悪魔であるかその都度精密に弁別せねばならぬと考えている。当然のこととしてその弁別は霊操を行う当初から丁寧に行わねばならない。その弁別の判断規準の一つとして、ある考えをやめた後に、その考えが自分を憂うつにすればその考えは悪魔からきたもの、ある考えをやめた後にもその考えが自分を愉快にするならば神からきたものと判断するのがよいのではないかと、後年「霊操」の中の「霊動弁別」の規則にかいている…

冷風研削(246)
 研削・切削作業においては加工時の部材の冷却と潤滑と切り屑の除去のために鉱物性の油を含んだものを使用している。これが、環境問題を引き起こしている。 明治大学理工学部教授だった横川和彦氏が提唱した冷風研削は−30℃程度に冷却した圧縮空気を加工点に供給する方法だから,従来の研削と違って油のミストが発生することはなく周囲を汚さない。また,切粉は不純物を含まないので,そのままリサイクルできるので、環境問題に大きく貢献できる。この冷風加工のよれば、条件により従来の加工法以上の仕上げ面と工具の摩耗の減少といった効果が得られることが実験で確かめられている。問題点は、−30℃の冷風を大量に加工点に吹き付けるため、騒音がかなり大きいことがあげられ、これの改善が求められている。

レイヨグラム(95)
 マン・レイが考案したカメラを使わずに、印画紙の前に物を置き光を当てて作画する技 法、モホリ・ナジのフォトグラムと同じ。

零戦(81)  
 れいせん。ゼロ戦ではない。昭和15年、皇紀2600年に海軍制式採用となった艦上 戦闘機。皇紀2597年には名機97式飛行艇が制式となっている。皇紀の末尾二桁を型式とするのが海軍の型名呼称の方法。陸軍は?  

レーガンの経済政策(492)
 レーガンの経済政策がまず取り上げた供給の経済学について見よう。南カルフォルニア大学ラッファー教授は、税率ゼロなら税額ゼロ、税率100パーセントなら税額ゼロ、なぜならば得た所得をことごとく税金にとられるならば、喜んで働く人はいないから、所得はゼロであるがゆえに税額ゼロであると考えた。おそらくこれは真理だろう。するとこの税率ゼロと一OOの点を結ぶ山形の線が描かれるに違いないと彼は考えた。
つぎに彼は、アメリカはこの山形の頂点より右のところに現実はあると考えた。この推論の上に立って、税率を引き下げるならば、税額が増えると言い出したのである。レーガン陣営はこれを選挙に利用した。なぜアメリカは財政が赤字なのか。それはあまりにも税率が高いため人々が喜んで働こうとしなくなったためである、税率を下げれば、人々は喜んで働くようになり、税額は増えるのだ。…
レーガン政権は83年の予算は、実に2077億ドルの赤字になるであろうという、史上最大の財政赤字を認めるに至ったのである。かくてレーガン政権は、減税による増収というラッファー的な政策を事実上修正せざるをえなくなり、増税への転換をはからざるをえなかったのである。

レギオン(24)  
 ローマの重装歩兵軍団。百人隊(ケントゥリア)をベースとする。アレキサンダーの重 装歩兵団はファランクス。レギオンとファランクスはアレキサンダーの血統を継ぐエピロ スの勇将ピュロスがターラントに雇われてイタリアに進出した時にあいまみえる。

歴史的現在(124)  
 人間にとって現在とは何か。ドイツの歴史学者ハインペルの問いである。そこから歴史的現在とは一体何か、歴史的現在はいつはじまるのかという問いが生まれる。それを画す るものは破局とそれを感受するものの歴史意識の構造や革命などである。よってロシア人 の現在は1917年に始まり、中国人の現在は1947年に始まる。

歴史の奴隷(520)
 あらゆる人は自分のために生活し、自分の個人的目的を達するに必要な自由を享有している。そして自分はかくかくの行為をすることもできれば、あるいはしないこともできると、自己の全存在によって直感している。しかし彼がその行為を実行し終るやいなや、時間のなかのある瞬間に行なわれたこの行為は、もはやとりかえすことのできない歴史の領有となる。歴史のなかではいかなる行為も自由でなくなり先天的な意義を持つようになるのである。
 人間は社会的階段の高みに昇れば昇るだけ、また多くの人に結び合わされればされるだけ、ますます他人に対して権力を持ち、その行為の決定性と必然性とがますます明瞭になる。
「王者の心は神の掌中にあり。」王は歴史の奴隷である。歴史、すなわち人類の無意識的、社会的、集団的生活は、王の生活のあらゆる瞬間を自分のため、自分の目的を達するための道具として用いるものである。

歴史の中のキリスト(490)キルケゴール
 キリストについて歴史からなにかを学ぶことができるか。否、なにも学ぶことはできない。なぜできないのか。
それは、人は「キリスト」について、まったくなにも(たんに知的に)「知る」ことはできないからである。彼は逆説であり、信仰の対象である。彼はただ信仰に対してのみ存在する。しかしすべての歴史的伝達は「知識」の伝達である。したがって、キリストについて知るためには、歴史からはなんのたすけをえることもできないのである。というのはもし彼について(歴史から)なにかを多少なりとも知ることがあるとしても、それはほんとうの彼ではないからである。そのようにして人は、ありのままの彼とは異なったものについての知識を得る。したがって人は、彼についてなにも知らないことになる。


瀝青の丘(129)  
 バグダットの南東ユーフラテスの右岸の遺丘(テル)をテル・アル・ムカイヤルすなわ ち「瀝青の丘」と呼ぶ。シュメール人らが築いたウルである。その聖塔(ジッグラト)の 彩色煉瓦は瀝青で固められていた。

レギーネ体験(490)
 キルケゴールの父とならんで、彼の生涯を決定する役割を果たしたもう一人の人、レギーネ・オルセン
と彼がはじめて出会ったのは、1837年5月8日から16日の間のある日だった。レギーネ14歳、キルケゴール
24歳であった。…「私がもし痛悔者でなかったら、私が私の前歴をもっていなかったら、私が憂鬱でなかったら
、彼女との結びつきは、そうなることをこれまで夢みたこともなかったほど私を幸福にしてくれたことだろう」。
…そのような幸福に対しては、「神からの抗議があったのだ。それを私はそのように理解した。結婚。
私は非常に多くのことについて、彼女の前で沈黙を守り、全体を欺瞞の上に構築しなければならなかったであろう」。


レジデンツ(180)  
 住居であるが大司教館をそう呼ぶ事が多い。ヴュルツブルグのレジデンツはバロックの 巨匠バルタザール・ノイマンの作品。階段の間には世界最大のフレスコ画が天井に描かれている。

レセップスの失敗(223)p.242
 スエズで成功を収めたフランスの英雄レセップスは技術者でも、行政官でも、金融家でもなかった。彼はフィクサーということになろうか。パナマにフランスの運河を建設をしようという国民的熱狂は、1881年から8年間で2万人の死者と12億フランの損失を残して、失敗に終わる。最大の要因はレセップスがスエズと同じ海面運河を目指し、現実的なロック式への転換が遅れたためであった。残ったのは果てることのないスキャンダルの暴露と、レセップス親子や函門を請け負ったエッフェルらへの有罪判決で幕を閉じる。スエズでもイギリスの帝国主義的野心によって管理権を奪われ、パナマでもレセップスの工事の後を継いだ米国にその権利を持っていかれることになる。

レチナ(94)
 ドイツ語で網膜を意味する。コダックがドイツに進出して、ナーゲルの工場を買収して 製造したカメラ。

レツィーナ(316)
 ギリシャ料理に欠かせない酒といえば、それは松脂を混入したレツィーナであろう。レツィーナは、数あるギリシャ・ワインの中でも特殊な風味をもつ、ギリシャ人だけの酒といってもよい。しかもその製法を古代そのままに受け継いでおり、これが喉を通らなくてはワインを飲んだ気がしないと彼らは言う。
 古代、松脂をワインに仕込んだのは、防腐のためだったとも、発酵容器の山羊の皮袋の口の栓を松脂で封じたところ、中の酒に松脂の匂いが移ったことから始まったとも言われる。


劣者受容(436)
 イエスの死後、教団が成立した際、その主たる成員は中小市民であった。…Q教団の成員はその中に「劣者」を受容することによって「劣者尊重」の精神を貫こうとした。しかし彼ら自身は「劣者」と同じ位置に立ってはいないために、「劣者」尊重は「劣者」受容へとよじれていくのである。…ここでは、「劣者」が劣者のままで評価されているのではなく、彼らの宗教的倫理的資質が評価の対象とされていた。…他方Q資料には、多くの「優者是認の譬」が属している。…もっとも、この種の譬では例外なく「中間時の倫理」が問題にされていた。これは、イエスにあって終末が実現されつつあるという熱狂主義が止んで、イエスの高挙からその再臨に至るまでのキリスト者における生のあり方を問題にするものである。

レディ(335)
 ヴェルディがレディーに邪悪な声と表現を望んだことは疑いの余地がない。1848年にナポリでエウジェーニ・タドリーニが歌うことになったとき、「ダドリーニは容姿端麗でずか、マクベス婦人には醜く邪悪であってほしいのです。タドリーニは完璧に歌いますが、レディーには歌ってほしくないのです。私がレディーに望むのは、不快なくぐもった声なのです。」と書いた。反発を買っても敢えてベル・カントを否定しようとしたのは、シェークスピアのドラマを表現するにはそれしか方法がなかった。

レパートリ(23)
 判例法。

レパントの海戦(312)
 地中海からは遠いイギリス人まで熱狂させたといわれるレパントの海戦は、ガレー船同士で戦われた最大で最後の海戦となったが、十字架を先頭にして戦われた最後の戦闘にもなった。これ以後、西欧では誰も、十字軍を唱えなくなる。西ヨーロッパのほうが世界の中心になり、反対に地中海世界は歴史の主人公の座を降りたからでもあった。歴史を分ける海戦の舞台も、地中海から離れ、大西洋に移る。ガレー船に代わって、帆船の時代への移行でもあった。

レビレート婚(6)
 早くして死んだ男の兄弟は残された妻をめとって子を産ませる義務があるという古代 の結婚風習で、イスラエル民族にもこの風習がある。イスラエルの男と結婚し死別した異教徒ルツがレビレート婚で生んだのがダビデの祖父となる。

レフ・テルミン(375)
 オプティミズムと研究者としての探求心こそテルミンを支え、これまでの波乱の道のりを乗り越えさせてきたのだろう。救いようのない状況下におかれても、いま起こつていることはまるで自分とは関わりがないかのように飄々とやり過ごし、どんな絶望的な状況でも己の知識や才能を眠らせることはなかった。…彼をよく知る人たちが口を揃えて言うのが、一度としてテルミンが激昂しているところを見たことがない、ということだ。また、数多いテルミンのインタビューのなかで、彼が自由″という言葉を用いることが驚くほど少ないのにも気付く。これほど長きにわたって自由とは対極的な状況に置かれながら、拍子抜けするほど自由を希求する言動がみられないのだ。

レペシンスカヤ説(278)
 ルィセンコはライムギ、コムギ、オオムギ、などが相互に転化するという大胆な見解を発表した。A属の生殖細胞の受精によってB族の体細胞ができるなどということは、常識では考えにくい。…レペシンスカヤの研究は1949年度スターリン賞を獲得した細胞新生説であり、卵黄球から細胞が生じることを実験で示したが、ルィセンコはこの説を自説の根拠として利用した。とんでもない実験ミスであろう。

レム睡眠(  )  
 REMとはrapid eye movements。非常に活動的な睡眠状態。

レムリア圧縮(216)  P.170
 マダガスカルの横にあったインドがアジアに衝突したことによる巨大な圧縮力によって、地殻が前頭のヒマラヤを始めパミールなど多くの褶曲を作ったこと。インドとアフリカの間にはレムリア大陸があって、これが沈降したとする説を否定するウェゲナーの考え。

檸檬

レンゾ・ピアノ(426)
 イタリア人建築家。ポンピドーセンター、関西空港旅客ターミナルなどを設計した人物。

レンヌ・ル・シャトーの謎(390)
 秘密文書をめぐる論争の目玉となっているのは、史実とはちがってメロヴィソグ朝の血筋は絶えておらず、シオン修道会が今日までずっとその子孫を保護してきたとしている点です。…まったく愚にもつかない話ですね。…『レンヌ・ル・シャトーの謎 − イエスの血脈と聖杯伝説』 の核心をなしているのは、メロヴィソグ王家の祖先がイエスとマグダラのマリアであるという説です。ダン・プラウンはここから着想を得たのでしょうが、これはペイジェントらによる単なる仮説にすぎないと、もう一度言っておきましょう。そんなことは秘密文書のどこにも、シオン修道会に関するどんな文書にも善かれておらず、ピエール・プランタールもはっきりと否定しているのですから。…聖杯とはイエスの血脈と子種のはいった器であり、マグダラのマリアの子宮を表す隠語だと論じています。おもしろい仮説ですがはなはだ疑わしくもあり、特に聖杯を器″とする考え方は、その本来の形から逸脱しています。




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