ファッション写真の創始者ムンカッチ          2000-8-25 


■また土門拳の伝記からの引用(土門拳:阿部博行,法政大学出版会)で申し訳ないが、伝記の中で、今まで知らなかった写真家ムンカッチが妙に引っかかった。
「…名取がト゜イツで傾倒し、影響を受けたのはハンガリー生まれのユダヤ人ムンカッチであった。それまでスタジオの中で撮っていたモード写真を、街で自然光のもとに写した名カメラマン・ムンカッチは、名取にとって「巨大な目標」だった。……土門は当時創刊したばかりの「ライフ」の写真家バークホワイトに傾倒しており、ムンカッチの好きな亀倉とよく論争した。土門も次第にムンカッチの動的なカメラワークに魅せられるようになったが、やっぱりバークホワイトの厳しく絞ったピントのかたい映像が好きだった。」とある。

一体、どんな写真を撮った人なのか気になる。あまり話題にならない人だと思う。世界写真全集(別巻):平凡社をめくると何枚かの写真かあった。今までずっと見過ごしていた写真である。要するにあまりインパクトはない。それが下の写真である。

■ムンカッチが活躍したのは、1930年代。古臭い写真にしか見えないが、それ以前の女性ホートレートが室内で静的なポーズを取っていたのに対して、モデルを室外に出し、自然光で自然で動的な瞬間を捕らえている。それが当時の写真界では衝撃的であり、ムンカッチを一躍流行作家とするものである。要するに、今では当り前のファッション表現技術で、より洗練されてきているので、こういう歴史的背景を知らないと、ただのつまらない写真にしか見えない。ともかく、ひとり重要な写真家を知った。



【カメラの触感】