ヴェルディを支えた台本作者達
(2005-12-3)
■ヴェルディの作品の傾向は、ヴェルディ自身の芸術的葛藤に最も強く依存しているのだろう。ヴェルディは自らの強い自負と信念によって、一般には最も強い意向を示す注文主や、劇場支配人の直接的影響を受けたような作品は作っていないようだ。そんな中では、共同作業者である台本作者による作品の毛色というか、ドラマの質が異なるように思える。そこで、以下のように、ベルディの作品を台本作者別にまとめてみて、確認してみたい。
ロマーニ ソレーラ ピアーヴェ カンマラーノ ボイト

台本作者 番号 作品 原作など
アントーニオ・ピアッツァ ミラノのジャーナリスト。 1 オベルト ソレーラ補筆
フェリーチェ・ロマーニ
(1788--1865)
ドニゼッティ「アンナ・ボレーナ」「愛の妙薬」、ベッリーニ「夢遊病の女」「ノルマ」など名作の脚本を残した当代きって売れっ子作家。 2 一日だけの王様 「偽のスタニスラス」改題
テミストークレ・ソレーラ
(1815--1878)
父が愛国運動で投獄され、ウイーンの寄宿舎で育った作家。後にナポレオン三世とカブールの密使や、エジプトのカリフ、イザベル女王に仕えるなど波乱万丈の冒険人生を送り、困窮の中死す。 3 ナブッコ
4 第一回十字軍のロンバルディーア人
7 ジョヴァンナ・ダルコ シラー「オルレアンの乙女」
8 アッティラ
フランチェスコ・マリア・
ピアーヴェ

(1810--1876)
ムラーノ島のガラス職人の子、42年からフェニーチェ座付き詩人になったばかりの新人台本家としてヴェルディに出会い、堅い信頼と友情で結びつき、最も多くの作品を共同制作した。1859年ミラノに移り、スカラ座の演出でも活躍。後年、卒中で倒れ、ヴェルディはこれを献身的に助けた。 5 エルナーニ ユーゴー「エルナーニ」
6 二人のフォスカリ バイロン「二人のフォスカリ」
10-a マクベス(初演版) シェイクスピア「マクベス」
10-b マクベス(改定版) バレエ等を追加したフランス語版
11 海賊 バイロン「海賊」
16 スティッフェーリオ 「牧師」
17 リゴレット ユーゴー「王は楽しむ」
18 トラヴィアータ デュマ・フィス「椿をもつ女」
21-a シモン・ボッカネグラ(初演版) ガルシア・グテイエレス「シモン・ボッカネグラ」
22 アロルド スティッフェーリオの改作
24-a 運命の力(初演版)
サルヴァトーレ・
カンマラーノ

(1801--1852)
ナポリの芸術家一家に生まれる。ドニゼッティに「ランメルモールのルチア」を提供。トロヴァトーレの完成前に死去。 8 アルツィーラ ヴォルテール「アルツィール」
14 レニャーノの戦い メリ「トゥールーズの戦い」
15 ルイザ・ミラー シラー「たくらみと恋」
18 トロヴァトーレ バルダーレ補筆。
アンドーレア・マッフェイ ミラノの文芸サロン主宰者クラーラ・マッフォイ夫人の夫。離婚後、群盗を提供。 11 群盗 シラー「群盗」
アルフフォンソ・ロワイエ
ギュスターブ・ヴァエズ
12 イエルサレム 「ロンバルディア」改作
ウージェーヌ・スクリープ
シャルル・デュヴェイリエ
20 シチーリアの晩鐘 スクリーブ「アルバ公爵」
アントーニオ・ソンマ 23 仮面舞踏会 スクリーブ「キュスターヴ三世、または仮面舞踏会」
ジョゼフ・メリ
カミーユ・デュ・ロクル
25-a ドン・カルロス(初演版)5幕 シラー「ドン・カルロス」
25-b ドン・カルロス(改定版)4幕 改定にメリは参加せず。イタリア語化。
アントーニオ・ギズランツォーニ 24-b 運命の力(改定版)
26 アイーダ
アリーゴ・ボイト
(1842--1918)
ミラノ音楽院出身で、若い頃はワグナーの影響を受けて、ヴェルディを批判。オペラ「メフィーストーヒェレ」などを書くが、後年ヴェルディを理解し、台本を提供し、晩年のヴェルディの創作意欲を触発した。 21-b シモン・ボッカネグラ(改定版)
27 オテロ シェークスピア「オセロー」
28 ファルスタッフ シェークスピア「ウインザーの陽気な女房たち」「ヘンリー四世」



【いまさらオペラ入門】