GUNDAM SENTINEL RPG −OutLaws Edition−
サンプルシナリオ
ここでは当サークルOutLawsで実際に使用したシナリオを参考までに公開します。
本シナリオは、7レベルPCが2人、4レベルPCが1人でプレイしましたが、もう少しキャラクターレベルが低くても大丈夫だと思います。合計レベルが15〜16(5レベル3人、または4レベル4人)位が最適ではないでしょうか。
舞台は一年戦争末期のア・バオ・クー攻略作戦直前のサイド5です。PCたちは地球連邦軍に所属しています。
『サイド5の衝撃』
0.状況設定
U.C.0079 12月24日、地球連邦軍は「星一号作戦」を実施、ジオン公国軍の本国防衛ラインの最前線、宇宙要塞ソロモンに対して大攻勢を仕掛けた。ジオン公国軍の必死の抵抗もむなしく、新兵器「ソーラーシステム」の投入などにより、同日中にソロモンは陥落した。
来るべき第二の宇宙要塞ア・バオア・クー攻略のため、制圧したソロモンの港湾部では、艦隊の再編と補給、修繕が急ピッチで行われ、再編が終了した艦隊は先遣隊として、サイド5領海に侵攻した。
時おりしも、ジオン公国軍はサイド5にて、サイド6フラナガン機関から送られた「サイコミュ」搭載実験機の稼動試験を行っていた。
期せずして、連邦軍との交戦状態に突入する。
1.ミッション
サイド5宙域の1コロニー内に存在すると思われるニュータイプ研究所の発見、そして持ち込まれた「ニュータイプ専用機」の資料、資材の確保、あるいは破壊。
2.ミッションレベル
ミッションレベルは基本として「4」です。もし、参加キャラクターが全員4レベル以下の場合には「3」に落として下さい。逆に7レベル以上の場合は「5」に上げます。
制圧レベルは「11」です。
3.プレイヤー用シナリオマップの情報
やみくもに真っ白なマップ上をさ迷っても、プレイ時間が長くなるだけなので、はじめに目標地を記入しておきます。次ページのシナリオマップのナンバー4〜7のコロニーは、白地図にも記入して、プレイヤーに情報として与えて下さい。また、左上と右下の宙域が、濃ミノフスキー粒子の状態であることを伝えて下さい。
3−1.シナリオマップ
4.敵部隊及び敵艦隊配備状態
シナリオマップ上で「未確認」と記入されたヘックスに、未確認部隊マーカーをそれぞれ配置します。以下に未確認部隊マーカーに隣接した場合に遭遇する敵部隊のチャートを掲載します。
ダイス(1D6) | MS部隊編成 |
1〜2 | MS−06F ザクII×6 (PL2×4、PL3×2) |
3 | MS−06F ザクII×4 (PL2×4) MS−09R リック・ドム×2 (PL3×2) |
4 | MS−09R リック・ドム×4 (PL3×2、PL4×2) |
5 | MS−09R リック・ドム×4 (PL2×2、PL3×2) MS−14A ゲルググ×2 (PL3×2) |
6 | MS−09R リック・ドム×3 (PL3×2、PL4×1) MS−14A ゲルググ×3 (PL×3、PL4×1) |
また、シナリオマップ上で記載したナンバーについて解説します。
(1)チベ級1隻
護衛機として、MS−06F ザクII(PL2)が6機、出撃してきます。
このチベを撃沈すると、ナンバー4及び右側のナンバー5のコロニーには研究所が無いらしいと情報が、艦隊より打電されます。また、味方艦が移動を開始します。
(2)遊撃隊
以下の編成による遊撃MS部隊と遭遇します。
遊撃部隊編成
MS−06F ザクII×4 (PL2×3、PL3×1)
MS−09R リック・ドム×4 (PL2×2、PL3×2)
(3)待ち伏せA
待ち伏せしている以下の部隊が突然攻撃してきます。敵MSをPCの背面に配置し、1ラウンド敵MSは一方的に攻撃を仕掛けます。
ただし、隣接したヘックスにPCたちが侵入した時点で、「知覚力」修正値による能力値判定を行い、成功した場合は、待ち伏せを事前に察知したとして、通常の戦闘を行います。
待ち伏せ部隊編成
MS−06F ザクII×4 (PL2×3、PL3×1)
MS−14A ゲルググ×3 (PL2×2、PL3×1)
(4)廃コロニー
一週間戦争によって大破して、空気もなく、ぼこぼこに穴の空いたコロニー。もちろん研究所もなく、特に価値もありません。もし、敵部隊とこのヘックスで戦闘になった場合にはコロニー内戦闘マップを使用することもできます(地上戦扱い)。ただし、このコロニーは穴だらけなのでGMは適当に穴を開けておいて下さい。その穴からは宇宙に出ることができ、そうした場合は戦闘離脱とみなします。
(5)無関係なコロニー(敵部隊有り)
研究所の無い普通のコロニーです。ただし、敵部隊が駐屯しています。PCたちはコロニーの宇宙港か、作業用ハッチから内部に侵入することになります。駐屯部隊はコロニーマップで、ナンバー6から7にかかる橋の下に潜伏しています。PCたちが接近し、射程内に入った場合に出現して、攻撃を開始します。
駐屯部隊
MS−06FZ ザクII×5 (PL2×5)
MS−09R−2 リック・ドムII×3 (PL2×2、PL3×1)
(6)無関係なコロニー(敵部隊無し)
研究所の無い、普通のコロニーです。もし、敵部隊とこのヘックスで戦闘になった場合にはコロニー内戦闘マップを使用することもできます(地上戦扱い)。
(7)研究所のあるコロニー
ここが研究所のあるコロニーです。詳しくは「5.シナリオイベント」を参照して下さい。
(8)ムサイ級1隻
護衛機として、MS−09R リック・ドム(PL2)が3機、出撃してきます。このムサイを撃沈するとナンバー6のコロニーには研究所が無いらしいという情報が、艦隊より打電されます。
(9)待ち伏せB
待ち伏せAと基本的に同じです。ただし、MSの編成が異なります。
待ち伏せ部隊
MS−09R リック・ドム×3 (PL2×2、PL3×1)
MS−14A ゲルググ×3 (PL3×2、PL4×1)
※その他の情報
(a)小隕石群
この場所での戦闘で、「遮蔽物の利用」の行動パターンを選択した場合、通常の効果に加えてさらに+3の特典を受けます。
(b)残骸(艦艇)
この場所での戦闘で、「遮蔽物の利用」の行動パターンを選択した場合、通常の効果に加えてさらに+4の特典を受けます。
(c)残骸(MS)
この場所での戦闘で、「遮蔽物の利用」の行動パターンを選択した場合、通常の効果に加えてさらに+1の特典を受けます。また、知覚力判定に成功した場合、ザクII用のマシンガンを発見します(弾は50発)。
(d)濃ミノフスキー粒子
中距離以遠の射撃に対して命中修正に−3の修正が掛ります。「サイコミュ」兵器に関してはこの修正を受けません。
5.シナリオイベント
5−1.コロニー内戦闘マップ
コロニー内では戦闘が起きていなくても、特殊な戦闘マップを使用します。PCのMS用マーカーを侵入口(宇宙港か作業用ハッチ)に配置して下さい。
マップは通常の開放型コロニーです。コロニーは円筒状の形をしているため、マップの左右端はそれぞれ繋がっている(ループしている)として扱ってください。また、コロニー内は空気と重力がありますので、地上の機動力を適応します。
上記に掲載しているマップには、ナンバーが振られていますが、それらはシナリオマップ上のナンバー7のコロニーでのみ起きるイベントの番号となります。他のコロニーでは無視して下さい。
5−2.コロニー内イベント
(1)作業用ハッチ
PCたちのこの戦闘マップへの侵入口ヘックスです。大型シャトルが出入りできるだけの広さがあります。
(2)待ち伏せ
ザクが岩陰に潜み、不意を撃って攻撃を仕掛けてきます。
MS−06F ザクII×3 (PL3×3)
(3)廃村
無人の住居が10〜15世帯程あります。研究所らしい建物は見当たりません。
(4)無人の牧場
大きなサイロ(干し草の倉庫)があり、何百頭もの家畜用の施設があります。家畜は1頭もいません。
(5)廃村
(3)とまったく同じです。
(6)焼け落ちた村
ここが後述のユアン(NPC)の村です。焼け野原になっています。また連邦軍のMSが3機分残骸となっています。残骸は同部隊内の友軍機で、数分前に銃撃戦を行っていたようです。ジムのビームライフルは使用可能で、残弾数は10発あります。
(7)廃村
(3)とまったく同じです。ですが、不注意にPCがMSから降りた場合、野犬化した大型犬が襲い掛かってきます。反応力判定を行い、失敗した場合は軽傷(1D3)のダメージを受けます。なお、狂犬病にはかかりません。
(8)無人の街
(3)とほとんど同じですが、宇宙港に近いこともあり、世帯数が遥かに多く、100世帯以上の建物があります。また、大きく、研究所のような外観の建物も多く、ここをくまなく探索するには6ターン消費します。
(9)廃村
(3)とほとんど同じですが、1機のザクIIの残骸が転がっています。武装のバズーカはまだ使用可能で、弾は3発装填されています。
(10)廃村
(3)とほとんど同じですが、ここからシャトルが発進します。詳しくは(15)を参照して下さい。
(11)宇宙港
ここより宇宙に出ることができます。
(12)待ち伏せ
ゲルググ高機動型が潜伏しています。セリア(NPC)がもし一撃でも攻撃命中を受けた場合、出現し、援護のために攻撃を開始します。
MS−14B ゲルググ×3 (PL3×3)
(13)研究所跡
既に引き上げた後で、無人です。もちろん、NT専用機の資料もありません。くまなく探すためには、MSから降りる必要があります。3ターンを捜索に費やした場合、サイド6へ向かう定期便の時刻表が捨てられているのを発見します。
(14)ユアンの襲撃 (選択イベント)
このイベントは選択イベントです。必ずしも実施する必要はありません。特に「ロールプレイ」が苦手なプレイヤーが多い場合、またGMが「TRPG(『GUNDAM SENTINEL RPG OE』に限らず)」に慣れていない場合も行わない方が良いでしょう。
戦闘中以外に、このヘックスにPCたちが侵入した場合、MSから降りていればパイロットに、そうでなければMSの顔面にむかって歩兵用ライフルによる射撃を受けます。パイロットへの射撃は自動的に失敗しますが、サイコロを振る必要があります。
ライフルを撃ったのは「ユアン」という16歳の少女であり、彼女は家族を失って逆上しています。彼女は戦災孤児であり、保護する必要がある事をGMはPCにそれとなく伝えて下さい。彼女は、真剣に彼女の身を案じ、忌まわしい戦争について悔やむPCに対してのみ心を開き、説得に応じます。武力を持って取り押さえる場合には自殺的な行為すら行います。
彼女のライフルの腕前は良くなく、2D6で11以上が出た場合のみ、目標に命中します。命中した場合、目標に中傷(2D6)の結果と同じダメージを与えます。
(15)セリアの待ち伏せ
橋の下に、セリアのMS−18E ケンプファーが隠れ潜み、PCたちが射程内に入った時点で、1ラウンドの間、一方的な先制攻撃を行います。もしくは、ナンバー7の村にPCが入った時点で出現します。この場合、先制攻撃はありません。
セリア・イグレーン中尉 (NPC)
レベル6 功績ポイント 650
命中修正 射撃+9/格闘(突き)+12
回避修正 +12
技能
・反応機動 6レベル (反応力修正値6)
・予想行動 6レベル
・機動防御 4レベル
・移動 4レベル
彼女が攻撃を開始し、PCのうち1人でも損害を与えるか、彼女のMSが損傷するか、撃墜された場合に(もちろん彼女は脱出するものとし、シャトルに収容されます)、先のナンバー10のヘックスから、シャトルが3機、護衛にMS−14B ゲルググ高機動型×3(PL4×3)とともに出発します。シャトルは最短コースで、PCのMSのいないヘックスを選び、作業用ハッチを目指して1ラウンドに2ヘックス移動します。シャトルは3機とも小型で、コロニーを脱出された時点で追跡は不能になります。
セリアについては、GMはPC同様にイニシアチブを振って、行動ポイントを決定して戦闘を行って下さい。彼女の行動は、できる限りシャトルを守るように行動し、遮蔽物の利用を好んで行います。
(※)コロニー内の地形効果
1.平地 (移動コスト:1/地形効果:+1)
平地といっても、家屋や立ち木などが各所に存在します。そのため、「遮蔽物の利用」を行う場合、さらに+1の特典を受けます。
2.ミラー (移動コスト:1/地形効果:0)
何も無い、それこそ平地です。コロニーの明かり取りの「窓」に相当します。視界を遮るものが何も無いため「遮蔽物の利用」を行えません。
3.都市部 (移動コスト:2/地形効果:+3)
宇宙港に近い大きな建築物が密集している地域です。そのため、「遮蔽物の利用」を行う場合、さらに+3の特典を受けます。
4.橋 (移動コスト:1/地形効果:+3)
ミラー部を横断する「橋」です。この橋を利用して「遮蔽物の利用」を行う場合、さらに+3の特典を受けます。
5−3.味方艦隊の移動
PCたちの出発したスタートヘックスには、PCたちの母艦が存在します。通常、こういった母艦はマップ上には出現せず、移動もしませんが、このシナリオでは特別に移動を行います。
ナンバー1にいるチベ級と艦砲射撃戦を行っているため、シナリオ開始後1D6+1ターン後に移動を開始します。もし、PCたちがチベ級を撃沈した場合は、その2ターン後に移動を開始します。味方艦の移動は、未確認部隊の移動と同じときに行います。移動はランダムではなく、シナリオマップ上のナンバー6のコロニーを目指して、1ターンに1ヘックス移動します。ただし、PCたちが研究所を発見したり、艦に連絡を行った場合は、PCたちのいるヘックスに向かいます。
5−4.敵部隊の攻撃に伴う命令変更
シナリオマップ上で味方艦に敵部隊が隣接した場合、味方艦はその部隊の敵MS1機に対して毎ターン1D3のダメージを受けます。未確認部隊だった場合は、1D6ダメージを受けます。
こうした場合、PC部隊に対して必ず命令変更の連絡が入り、艦の直掩に呼び戻されます。
艦を攻撃している敵MSを駆逐した場合、一旦艦に戻り、補給を受けることができます。通常の功績ポイントを支払い、武器弾薬の補給と推進剤の再充填が行えます。また、応急修理として1D6分の耐久力の回復も行えます。
6.ランダムイベント (1D6)
PCたちが何も指定の無いヘックスに侵入する度に、2D6を行い10以上の目が出た場合、以下のイベントが発生します。
GMは、ゲーム進行上、不必要と思った場合は、このイベントは無視しても構いません。
出目 | イベント |
1 | 偵察機と遭遇 : MS−06F ザクII(PL2×1) |
2〜4 | 未確認部隊の増加 : 濃ミノフスキー粒子宙域のどこかに新たに未確認部隊マーカーを配置する |
5 | 敵との遭遇 : 敵部隊と遭遇する、未確認部隊編成表で敵を決定する |
6 | 敵に友軍を発見される : 味方艦に最も近い未確認部隊がランダム移動から、味方艦を目指して移動を始める |
7.シナリオによる経験点及び功績ポイント
基本として、ミッションの成功失敗に関わらず 経験点600/功績ポイント850
ただし、ボーナスポイントがあります。以下のケースの場合、それぞれの経験点/功績ポイントを得ます。
(1)セリア機撃墜 +650
(2)シャトル撃墜 +400(1機につき)
(3)ユアンを怪我なく、武力以外で保護した場合(説得を行ったキャラクターに対して) +300
GMからのコメント
高いレベルになって、敵機(経験値と功績値)を追い回す“ジェノサイド”系になりかけているプレイヤーに向けたメッセージを含んだシナリオです。
導入部分で言及される「ニュータイプ研究施設」及び「ニュータイプ専用機」とは、PCの興味を惹くための“引きのネタ”であり、実際には本シナリオには登場しません。当然、本シナリオの目玉はNPCの「ユアン」となります。
ゲームとはいえ「戦争」をやっている訳ですので、あんまり「殺戮」に走るのもどうかと思うので、ちょっと『0080』っぽくしてみました。やっぱり、戦争は軍人としての目線だけでなく、被害者である民間人を関連付けるだけで、ぐっと「リアル」になると思うのです。
注意して欲しいのが、NPCの「ユアン」は戦争を本心から憎んでいます。決して、アニメ作品の『ガンダム』劇中でよくあるような展開にはなりません(シュミレーターで訓練して志願兵になるとか)。彼女はもうひとりの「(0080の)アル」である、ということです。
本シナリオは、ぜひそこに注目してプレイしていただければ幸いです。