WIZARDRY RPG
− OutLaws Edition −
■データセクション■
アイテム解説 <日常品編>
□普段着 (Everyday clothes)
農村部の男性の普段着は、シュミーズ(シャツ)の上にコットやゴネルと呼ばれる膝丈のチュニック(上着)を着て、ブラカエと呼ばれる長ズボン、ショース(長靴下)に革の短靴といった服装が一般的である。都市の市民であれば、シュミーズの上にプールポアン(刺子胴着)を着て、オー・ド・ショース(短いズボン)とバ・ド・ショース(靴下)に革の短靴といった服装である。
農村部の女性の普段着は、シュミーズ(シャツ)の上にコット(丈長のチュニック、上着)にアンダースカートを合わせたものや、ジャクと呼ばれる腰丈の短い上着にロングスカートとエプロンを合わせた服装が一般的である。都市の市民であれば、詰襟で襟の部分に細かい刺繍をしたシュミーズにガウンを重ねた服装である。
□防寒着 (Winter clothes)
冬季に着る防寒着。麻屑や綿などの断熱素材を詰めて縫ったプールポアン(刺子胴着)で、冬季や悪天候時でも暖かい。高価なものは革製で毛皮の裏地が付いており、表に刺繍が施されている。また、厚手の布地のズボンまたはスカート、それに革の長靴を履いた。外出するときは、さらに上着として羊毛製のコートを羽織った。
□毛皮 (Furs)
最も基本的な防寒具である動物の毛皮は着用者の暖かさを保つのに役立つ。高級な毛皮は宝石などと同様、財宝として取り扱われた。貴族はキツネ、テン、イタチなど、庶民はヒツジ、イヌ、ネコなどの毛皮を使用していた。王国群東部地域は、クロテン、ビーバー、キツネといった毛皮の産地として知られている。
□礼服 (Formal clothes)
貴族や都市の富裕な商人や専門職などが着る。刺繍を施したシュミーズ(シャツ)の上にプールポアン(刺子胴着)を着て、オー・ド・ショース(短いズボン)とバ・ド・ショース(靴下)に革の短靴といった服装だった。上着として、ヒスパニア風のカペと呼ばれる腰に届かない短いマントや、セーあるいはシャウベと呼ばれる毛皮もしくは布の大きな襟がついた袖の短い毛織物かベルベット製のガウンを着た。
女性はスカートが膨らんだローブを着て、夏場はマルロット、ベルヌというやや簡素なものを着た(ローブと大きな違いはない)。タブリエというエプロンのようなものが流行し、スカートの前に下げた。これは汚れ避けの前掛けではあったが、刺繍を施したりダマスク織で仕立てられるなどしており、装飾的な意味合いが強かった。
□旅装 (Travel clothes)
巡礼や行商など長旅に適した服装。基本的には普段着と同じシュミーズ(シャツ)の上にコットやゴネルと呼ばれる膝丈のチュニック(上着)を着て、ブラカエと呼ばれる長ズボン、ショース(長靴下)といった服装だが、過酷な旅路に耐えられるよう丈夫な布地で、貴重品を失くさないように上着の内側に幾つか隠しポケットが用意されている服を選んだ。また、悪路から脚を守るためにゲートルを巻いたり、丈夫な革製の長靴を履くことが多い。また、女性も長旅するときは身を守るために、男性用の服を着て用心することが多いことだろう。
□砂漠装束 (Hot weather outfit)
中東地域や南方暗黒大陸などの砂漠地帯で着用されている服装。ゆったりとした麻のローブと、緩やかに頭部を覆うベールから構成される。その頭頂からつま先まで覆う白く軽い布地は、砂漠地域の強い日差しから肌を守ってくれる。
□かんじき (Snowshoes)
雪上を楽に歩くための歩行具。木枠に紐を張ったもので、靴に取り付けて用いる。履くと接地面積が増えて体重が分散されることから、雪に深くめり込まず、さらに斜面などで滑りづらくなる効果がある。
□底金 (Cleats)
氷上など滑りやすい悪路を踏破するため、靴底に取り付けるスパイク。ただし、底金を使用するとどのような種類の床にも傷跡を残すことになるので注意が必要だ。
□手袋 (Work gloves)
麻布製の軍手。屋外での野良仕事などから手を保護するために用いる。
□ベルトポーチ (Belt pouch)
ベルトの通し穴がついている小さな革製の小物入れ。貨幣300枚もしくは荷重3までの物品を収納できる。
□肩掛け鞄 (Shoulder bag)
革製の丈夫な肩掛け鞄。背負い袋よりはコンパクトでかさばらない。荷重30までの物品を収納できる。
□背負い袋 (Backpack)
革製の袋に肩掛け紐が二本付いており、背負うことで荷重を肩に乗せられる。間口を閉めるための引き紐と垂れ蓋が付いている。また風雨に耐えられるように防水加工されている。荷重40までの物品を収納できる。
□サック (Sack)
麻布製のずだ袋。荷重60までの物品を収納できる。
□トランク (Trunk)
木製の大きな箱で、携行するための取っ手が付いている。錠前が付いていて、旅する貴族が使用人に運ばせるのに用いる。大型は荷重120まで、小型は荷重60までの物品を収納できる。
□革筒 (Scroll case)
地図や巻物を入れる容れ物で、木製か真鍮製の蓋が付いている。革筒には地図か巻物を3枚まで収納できる。
□毛布 (Blanket)
一般的な毛布は手織りの羊毛布である。上質な物だと、二層になっていて間には断熱材として綿屑や毛屑が詰められている。荒野で野宿する際には、マントより暖かい。若干の防水性があり、夜露程度なら防げる。
□寝袋 (Sleeping bag)
毛布を二枚重ねて袋状にした寝具。質の良い物は野宿の寒さを忘れさせてくれるだろう。しかし、寝袋に包まっていると夜間の敵襲などの危機には即応できないことから、ある程度安全が確保されている場合でないと利用は難しい。若干の防水性があり、夜露程度なら防げる。
□天幕 (Tent)
組み立て式の天幕。展開すると2〜3人が横になれる大きさとなる。防水加工されているので、風雨から身を守ることができる。
□タープ (Tarp)
日除け布。一辺が3ヤード(約2.7m)の正方形の防水加工されたキャンパス布で、四隅に穴が開いていて紐で縛ることができる。野外において日陰をつくるのに用いる。
□火口箱 (Tinder box)
小さな箱に木屑などの可燃物が入っており、火打石と打ち金が付属している。6回分の火口が入っているが、中の可燃物はどこでも簡単に補充することができる。
□マッチ箱 (Matches)
黄燐マッチが10本入った油紙製の箱。ざらざらしたところで擦れば、摩擦で燐が燃えて発火する。錬金術協会で販売されている。
□松明 (Torch)
棒の先端に灯油を浸み込ませたボロ布を巻いてある。1本1時間程度は燃える。地面に落としてもしばらくは燃えているので、地下迷宮の探索中に敵に遭遇するなど、緊急時は地面に放って光源にすることが多い。
□ランタン (Lanthanum)
真鍮製の携行ランプ。窓にはシャッターが付けられており、灯りを遮断することができる。上部にはフックが付いており、背負い袋やベルトなどに引っ掛けることができる。
□ランプ (Lamp)
真鍮製の油壷。油に浸した灯芯に点火して使用する。
□灯油 (Lamp oil)
鯨油かオリーブ油を用いる。木製の小樽に入っている。1本の灯油で3時間程ランプを灯せる。
□蝋燭 (Candle)
獣脂製の蝋燭は灯すと刺激臭がする。蜜蝋製の蝋燭は獣脂製に比べて煙が少なく、匂いもしない。
□薪 (Firewood)
焚火に使用する。売り物の薪は充分に乾燥されているので良く燃える。屋外で薪を集めるには「探索」技能の判定に成功する必要がある。拾った薪はあまり乾燥していないので、良く燃えず火勢が強くなるのに時間が掛かる。
□木炭 (Charcoal)
冬季の暖房に用いる燃料。煙が出るのが欠点で、冬の王国群北部の街では、昼間でも木炭の煙で薄暗くなることがある。
□水袋 (Water bag)
牛の膀胱で作られた革袋に飲み口を付けた水の保管容器。3リットルの液体が入る。満タンにすると荷重5となる。
□水筒 (Water bottle)
木製の水筒。1リットルの液体が入る。満タンにすると荷重2となる。
□ロープ (Rope)
麻の繊維を撚って作った丈夫なロープ。10ヤード(約9m)。冒険者の必携品である。
□フック (Steel hook)
三又か四又の重く頑丈な鉤爪。ロープの先端に結んで登攀に用いる。
□小型ハンマー (Climbing hammer)
登山用の小型ハンマー。柄には落下防止の止め紐が付いており、手首に留めて使う。
□ハーケン (Harken)
登山に用いる環付きの鉄釘。10本セット。重くかさ張るため、熟練の登山家はなるべく使用したハーケンを回収しながら、必要最低限の数のハーケンで岩壁を登ろうとする。
□開錠セット (Picking tools)
小さな革袋の中に各種ピック、針金、油差しなど、錠前をこじ開けるための道具が一揃い入っている。「指先技」技能で開錠や罠の解除を行う際には、このセットを持っている必要がある。
□応急手当セット (Firstaid kit)
小さな革袋の中に消毒液、ガーゼ、包帯、縫合針、ピンセットなど医療処置を行うための道具が一揃い入っている。「医学」技能で応急手当を行う際には、このセットを持っている必要がある。
□髭剃り道具 (Shaving tools)
小さな革袋の中に剃刀と石鹸、革紐が入っている。身だしなみを整えるのに必要だろう。
□ヘアブラシ/櫛 (Hairbrush/Comb)
頭髪を整えるのに用いる道具。一般的には豚毛製のブラシ、もしくは木製の櫛が流通している。櫛は、素材によって高価な商品も存在する。
□歯木 (Miswak)
房楊枝。東方から伝わった木の枝の片端をほぐした歯磨きに使う道具。東方から東部教国経由で王国群に伝わった。主にピール(サルバドル・ペルシカ)の枝が使用された。
□石鹸 (Soap)
汚れ落としに使用される洗浄剤。王国群ではオリーブ油を原料とする固形のソーダ石鹸が広く使われている。質の良いものには香料が含まれている。
□香水 (Perfume)
油状や固形の香料をアルコールで溶解した溶液。身体や衣服に振りかけて香りを付ける。風呂は贅沢であるため、体臭を隠すのに用いられる。
□化粧道具 (Makeup kit)
女性や芸人用の安物。身だしなみを整えるのに使う。貴族や富裕な商人などは、男性も女性も化粧品を使っている。
□変装道具 (Disguise kit)
別の人間になりすますために使用するカツラや付け髭などの変装道具。芸人用だが盗賊や吟遊詩人もよく使うだろう。
□裁縫道具 (Portable sewing)
小さな布袋に糸切鋏、裁縫針、まち針、糸巻など一式が入っている。衣服の繕いに使用する。
□大工道具 (Carpentry tools)
頑丈な木箱に収められた携行用の大工道具。小型の鋸、金槌、釘、カンナなど一式が入っている。ドワーフ族の旅人がよく持っている。
□工具箱 (Toolbox)
頑丈な木箱に収められた携行用の工具。機械加工用の工具(レンチ、ネジ回し、プライヤーなど)一式が入っている。「機械学」技能で機械やガジェットを修理する際には、このセットを持っている必要がある。
□武具手入れ用品 (Arms care supplies)
小さな革袋の中に小型の砥石、磨き粉、油差し、予備のリベットなどが入っている。高級品ならば剣身を磨くのに適した鹿皮が入っていることもある。戦士ならば必携品である。
□野外炊事用品 (Canteen)
野外で炊事するために使う携行用の鍋、コンロ、食器類など一式。料理することも食事することも大好きなホビット族の旅人は、ほぼ必ず持っている。
□筆記用具 (Tools of Writing)
防水処理された筆箱入りの羽ペン数本と墨壷。
□封蝋 (Sealing Wax)
文書や封筒を封印する際に使う蜜蝋の棒。火で焙って溶かし、文書や封筒の封に蝋を落とし、素早く印璽や印章指輪で型を捺す。
□アバカス (Abacus)
算盤。主に四則計算を補助する計算器具。東方から伝わった算盤だが、今では王国群の商人たちも愛用している。
□天秤 (Scales)
卓上用の秤。貴重な薬や香辛料の量を量ったり、貴金属や宝石など重さによって価値の変わるものを量るのに用いる。
□羊皮紙 (Parchment)
動物の皮を延ばして加工して、記録の素材としたもの。東方からより軽く丈夫で長持ちする紙が伝わり、普及した現代でも写本や証書などの素材として利用され続けている。
□紙 (Paper)
植物の繊維を薄く平らに成型して記録の素材としたもの。東方から東部教国を経由して王国群に伝わった。東方では竹を原料としていたが、東部教国や王国群では麻や木綿のぼろを原料としている。
□カード一式 (Tarot Cards)
仔牛皮紙製のタロットカードで78枚組。布製か木製のケースが付いている。たいていは酒場の賭博で使用されているが、放浪の民ジプシーの占い師はこのカードで未来を予見する。
□ダイス (Dice)
六面体のサイコロ二個一組。王国群の兵士や肉体労働者たちは、たいていダイス賭博をして余暇を過ごしている。いかさまダイスは特定の出目が出やすいように重心が細工されている。
□チョーク (Chalk)
白墨。粉末にした焼石膏を水で練って棒状に固めたもの。地面や黒板などに文字や図を書くのに用いる。
□レンズ (Glass Lens)
硝子製のレンズ。拡大鏡として読書や精密作業にも使える。
□手鏡 (Hand Mirror)
金属製の表面を磨いて、樹脂で防錆処理をした手鏡。化粧をする女性だけでなく、辻の角から向こうの様子を覗ったり、光を反射させて合図するなど盗賊もよく使う。
□煙草入れ (Tobacco Pouch)
煙管に詰める刻み煙草を入れる小箱。高級品は意匠を凝らした装飾が施されている。
□煙管 (Pipe)
煙草を吸うための道具。ホビット族の御用達である。最近、喫煙習慣は人間族やドワーフ族でも流行り始めている。
□ぬいぐるみ (Stuffed Toy)
型紙に合わせて裁断したフェルトを縫い合わせて、綿屑を詰めて動物の形にした玩具。クマを模したものが人気である。最近、王国群の都市部ではビーグル犬のものが流行しているようだ。
□コンパス (Compass)
携帯用羅針盤。磁石を用いて方位を知るための道具。「航海術」技能で航路(海上だけでなく地上での移動時も含む)を設定する際に必要となる。
□アストロラーベ (Astrolabe)
主に陰陽師が用いる天体観測用の道具。用途は多岐にわたり、太陽、月、惑星、恒星の位置測定および予測、ある経度と現地時刻の変換や、測量、三角測量に使う。また天文学では、天宮図を作成するのに用いる。
□クアドラント (Quadrant)
象限儀。円の4分の1の扇形をした目盛りのついた定規に照準器がついた道具。天体観測の高度計、測量道具、航海道具、時計として使われる。「航海術」技能で航路(海上だけでなく地上での移動時も含む)を設定する際に必要となる。
□砂時計 (Hourglass)
30分計の砂時計。帆船での航海に際して、30分計の砂時計で常に時間を計り、砂時計をひっくり返すたびに船鐘を鳴らし、船員の担当を交代する合図とした。また、船尾から等間隔で結び目(ノット)をつくった綱を海に投げ込み、砂時計で時間を計り、流された綱の結び目から船の速度を計測する。
□プレイヤービーズ (Prayer Beads)
祈祷用の数珠。祈祷の際に唱えた聖句を数えるのに用いる。
□香料 (Incense)
固体状の香料。香炉で焚いて、香気を発散させるために用いる。礼拝の道具としては一般的で、香の放つ芳香は悪の影響を除く効果があると信じられていた。
□香炉 (Censer)
金属製か陶器製の香炉で、炭や火種を入れて香を焚く。教会では紐や鎖で天上に吊るし、左右に揺らすことによって、香の芳香が礼拝堂に集まった信徒たちに届くように散布する。
□水晶球 (Crystal Ball)
無色透明な水晶を磨いて球状に加工したもの。占い師はこれを覗き込むことによって未来を予知する。
□聖遺物箱 (Reliquary)
古代の聖者の遺品や遺骸の一部を箱に納めたもの。日々の願掛けや礼拝の対象として崇敬される。小さなものであれば鎖や紐で首からぶら下げている信徒もいる。
□聖典(印刷本) (Printbook Bible)
司教府の定めた標準古典語訳の聖典。活版印刷されたもの。活版印刷は最近に発明されたが、本を安価に出版することができるようになり、またたくまに普及した。
□聖典(装飾写本) (Manuscipt Bible)
司教府の定めた標準古典語訳の聖典。僧侶が修行の一貫として写本したもので、厳かに彩飾されている。
□馬具一式 (Harness)
馬を含めた騎乗動物を御するために必要なはみや手綱、ハーネスなど一式。騎乗動物に搭乗する際、鞍とともに使用する。
□鞍 (Saddle)
騎乗動物に搭乗する際に用いる鞍。馬など騎乗動物の背中に載せ、紐などで固定して使う硬い革製の座席である。騎乗動物に搭乗する際、馬具とともに使用する。
□サドルバッグ (Saddle Bag)
鞍に結びつけて使う革製の鞄。複数の物品を整理するための仕切りと垂れ蓋がついている。小型は荷重70まで、大型は荷重120まで物品を収納できる。
□サドルブランケット (Saddle Blanket)
鞍の下に敷く羊毛製の毛布。馬の汗を吸収したり、背中を守るクッションとして機能する。野営の際、敷物としても利用することもある。
□遺体運搬用ソリ (Portable Sledge)
折り畳み式のソリ。地下迷宮の探索中に戦死者が出た際、その遺体を回収するときに使用する。
□チェーン (Chain)
鉄鎖。鉄製の輪を繋ぎ合わせた丈夫な鎖。3ヤード(約2.7m)。
□竿 (Pole)
木製の棒。10フィート(約3m)。竿は汎用性が高いため、多くの冒険者が持っている。地下迷宮や洞窟の探索では、床や天井に仕掛けが無いか探ったり、堀や水溜まりの深さを測ったりするのに使う。野外では、洗濯物を干したり、旗を吊るして合図や目印に使ったり、様々な活用方法がある。
□錠前 (Lock)
頑丈な南京錠。大きくてかさ張る代物である。上質なものは、精巧に作られており、開錠しづらい。
□ラダー (Ladder)
木製の梯子。3ヤード(約2.7m)で10段のものが一般的である。1ヤード(約0.9m)延びるごとに価格が5割増しとなる。
□縄梯子 (Rope Ladder)
縄梯子。3ヤード(約2.7m)。携行に便利であるため、冒険者に人気である。
□金床 (Anvil)
鍛冶屋の仕事道具。重い鉄塊で、金属製品を成型するのに用いる。
□ふいご (Bellows)
火に空気を送り込む道具。かまどや暖炉に置かれている。焚火を熾す時にも重宝するだろう。
□坩堝 (Crucible)
金属を溶融する際に用いる耐熱容器。
□やすり/金やすり (File/Metal file)
研磨に用いる道具。革袋の中に粗い目から細かい目まで数種類のやすりが収められている。
□砥石 (Whetstone)
刃物を研ぐのに使用する。戦士ならば、ひとつは常備しておいた方が良いだろう。
□車砥石 (Grindstone)
円盤状の砥石をペダルとクランク機構で回し、長剣や戦斧など大きな刃物を研ぐのに使用する。
□工房 (Workshop)
鍛冶屋の仕事場。新規に購入した場合、建築することになる。鍛冶屋が金属製品を作るのに必要な道具や設備がすべて揃っている。
□貨幣の鋳型 (Coin mold)
贋金を鋳造するための鋳型。もちろん非合法な代物であり、闇市場でしか流通していない。しかも、それが造幣所から流れてきた本物である保証はどこにもない。
□蒸留器 (Distiller)
液体を沸騰させ、その後冷却して蒸留するための器具。魔法薬の精製に用いる。
□天秤 (Scales)
卓上用の秤。薬の量を量ったりするのに用いる。魔法薬の精製に用いる。
□ビーカー (Beaker)
実験で少量の薬品を扱うための口の広いガラス容器。魔法薬の精製に用いる。
□フラスコ (Flask)
実験で少量の薬品を扱うための口の小さいガラス容器。魔法薬の精製に用いる。
□ガラス管 (Test tube)
試験管。実験で少量の薬品を扱うための細長いガラス容器。魔法薬の精製に用いる。
□乳鉢と乳棒 (Mortar/Pestle)
陶器製。少量の粉を挽いたり、ペーストを作るのに用いる。魔法薬の精製に用いる。
□大釜 (Cauldron)
大量の薬品を加熱するための鉄製の釜。魔法薬の精製に用いる。
□火鉢 (Brazier)
陶器製の火鉢。五徳を置けばヤカンなどを湯煎できる。
□砂時計 (Hourglass)
5分計の砂時計。薬の調合時間を計測する。
□実験室 (Laboratory)
錬金術師の仕事場。新規に購入した場合、建築することになる。錬金術師が魔法薬を精製するのに必要な道具や設備がすべて揃っている。
□釣り針と釣り糸 (Fishing hook&line)
魚釣りの道具。3ヤード(約2.7m)の丈夫な糸の先にJ字型の鋭い鉤がついている。これを持っていれば、河川や海辺で魚を獲ることができる。
□漁網 (Fishing net)
漁師の仕事道具。魚を獲るのに用いる。
□犂 (Plow)
馬や牛に牽かせて土を掘り起こす重たい鉄製の犂。
□手押し車 (Wheelbarrow)
農夫や鉱夫がよく使う運搬道具。車輪の付いたフレームに平坦な板を乗せたもの。
□手枷 (Shackles)
犯罪者や奴隷の手首を拘束する重い鉄製の手枷。
□狩猟用罠 (Steel trap)
トラバサミ。圧力感知板を踏み抜くとギザギザの顎形がガチンと閉じる。中型は狐や狼など中型の獣用、大型は熊や猪など大型の獣用である。王国群全域で罠猟師が使用しているため、街には片足を失った者も少なくない。
□ハンマー (Hammer)
金槌。釘や楔を打つために使われる金槌。大工や石工、鉱夫などの仕事道具。
□スレッジハンマー (Sledge hammer)
大金槌。杭や楔を打ち込むために使われる柄の長い重い金槌。大工や石工、鉱夫などの仕事道具。
□クロウバー (Crowbar)
かなてこ。大型の釘抜き。扉や櫃など施錠されたものをこじ開けるのにも使う。大工道具のひとつ。
□ピックアックス (Pickaxe)
つるはし。固い地面や岩肌などを砕くために使われる。鉱夫の仕事道具。
□スコップ/スペード (Shovel/Spade)
鍬。地面を掘るために使われる。農夫や墓荒らしの仕事道具。
□ソー (Saw)
鋸。木材を切断するために使われる。樵や大工の仕事道具。
□ハックソー (Hacksaw)
金鋸。金属を切断するために使われる。鍛冶屋の仕事道具。
□ハチェット (Hatchet)
鉈。枝打ち、木を削る、雑草を切り払う、動物を解体するなど多目的に使用される。樵や猟師の仕事道具。
□ピンサー (Pincer)
やっとこ。熱した鉄や火つぼをはさむ道具。鍛冶屋の仕事道具。
□サイズ (Scythe)
大鎌。草刈りや小麦など穀物の収穫に用いる。農夫の仕事道具。
□シックル (Sickle)
手鎌。草刈りに用いる。農夫の仕事道具。
□フォーク (Fork)
鋤。牧草を放るのに用いる。農夫の仕事道具。
□チズル (Chisel)
たがね/のみ。たがねは金属や岩石を削るため、のみは木材などを削るためにハンマーで柄を叩いて用いる。鉱夫や石工の仕事道具。
□ネイル (Nail)
釘。100本。大工の仕事道具。
□ホイッスル (Whistle)
呼子笛。甲高い音がする。衛兵が捕り物の際に使用する。
□ベル (Bell)
鈴。振ると音が鳴る。扉などに吊るして警報代わりに使われる。
□コーチホーン (Coach horn)
馬車喇叭。駅馬車の到着や緊急時の合図に使われる喇叭。
□馬小屋 (Stable)
所持金が乏しい駆け出しの冒険者の生活の知恵として、宿代を浮かせるため勝手に馬小屋に忍び込み、藁を被って寝るという方法がある。臭く、蚤に悩まされることになるが、少なくても雨風は凌げる。運悪く厩舎番に見つかると、叩き出されることもある。
□簡易寝台 (Dosshouse)
旅人や日雇い労働者の泊まる木賃宿。建付けの悪い小屋に幾つかの木箱が並べられており、その上にボロボロの毛布が敷かれている。その木箱を寝台代わりにして寝る。宿泊者は男女の区別なく、雑魚寝することとなる。そのため、持ち物を盗まれたり、寝込みを襲われないよう用心する必要がある。
□安宿 (Hostel)
宿場町の外れに置かれた宿屋。最下層の宿屋で街の旅籠組合には属していない。だいたい6人の相部屋となっており、冒険者一行で一室を借り切ることができる。薄いマットレスの敷かれた固いベッドに汚い毛布が置かれている。
□旅籠 (Inn)
街道筋に置かれた旅行者向けの宿屋。街の旅籠組合に属しており品質管理されているので、安心して宿泊できる。宿泊者毎の個室となっており、扉も内側から施錠できる。定期的に洗濯したシーツの敷かれた清潔に整えられたベッドが置かれている。
□上宿 (Hotel)
貴族や大商人が宿泊する大規模な宿屋。宿泊対象者はだいたい供回りを連れて宿泊することから、召使い部屋と主人の居間、寝室といった三部屋以上の間取りとなっている。部屋付きの女中が控えており、ベルを鳴らせば呼び出せて、ルームサービスを頼むこともできる。
□アパート (Apartment)
城塞都市で独立した店舗を持てない商人や職人などが借家暮らししている裏町の長屋。だいたい、かまどの置かれた土間と居間兼寝間の二部屋からなる。週極めで大家に家賃を支払う。
□銭湯 (Hammam)
王国群では、闘争期の戦乱によって古代の水道設備が破壊されたこともあり、長らく入浴文化が途絶していたが、東部教国から公衆浴場の文化が流入し、都市部を中心に公衆浴場が再興されつつある。しかし、水と燃料を大量に必要とするため、入浴は贅沢なものであり、庶民が頻繁に利用することはない。
□質素な食事 (Frugal meal)
健康を保つために食べなければならない最低限の調理済み食事である。味付けのために鶏がらを煮た、豆かキャベツの入ったスープに安く固いパンかカラス麦の粥(オートミール)からなる。
□通常の食事 (Normal meal)
健康を維持しつつ、満足を得る分の量がある食事。パンとチーズもしくはパイと、野菜と豚肉か魚の濃いシチューなどからなる。
□上等な食事 (Fine meal)
贅沢な満腹感が得られ、毎日食べると確実に体重が増える量と質がある食事。牛肉、新鮮な野菜、チーズ、パイ、ケーキか果物からなる。
□携行食 (Portable food)
栄養豊富で日持ちするため、旅行者向けに長旅に必要なエネルギーを提供する。乾パン(ビスケット)、塩漬け肉、ピクルスかナッツ、ドライフルーツなどが、携行しやすいように油紙に包まれている。
□バカラオ (Bacalao)
塩漬けタラの干物。タラは王国群北部の近海でよく獲れるため、特産品となっている。日持ちするため、航海などの長旅に向いている。塩蔵されたタラの干物には大量に塩が用いられているため、そのままで食べることはできない。そのため、真水で丸一日かけて塩抜きしてから調理する。
□生魚 (Raw fish)
生魚は基本的に沿岸部か湖や川の周辺地域でしか手に入らない。王国群の近海では冬にタラやニシンが、湖や川では春にマスやサケが、よく獲れた。いずれも漁期が短く腐りやすいので、塩漬けや酢漬け、燻製にして保存された。
漁師は朝獲れたての魚を午前中までしか商品とみなさないため、それ以降の鮮度の落ちた魚は安くなり小作農くらいしか購入しない。さらに数日が経過した腐りかけの魚は貧しい者たちの住む下町や城外市の外れに投げ棄てられた。
□バゲット (Baguette)
王国群で定番の食べ物であるパンには、細長いフランスパン(バゲット)や丸いパン(ブール)、ナン、蜂蜜で味付けした甘いデザートパンまで様々な種類がある。食事の際には、大きな丸パンやフランスパンを薄く切ったものをトランショワールと呼んで、皿の代わりにして取り分けた料理を載せて食べていた。
庶民の食卓に上るのは、全粒粉にライ麦粉を混ぜて焼いたパンであることがほとんどだ。また王国群北部では、寒冷に強いライ麦のパンが主流である。ふすまや胚芽を除いて製粉された小麦粉で作られる白パンを日常的に食べることができるのは、貴族や富裕な商人だけであった。
□お値打ちパイ (Value pie)
パイはあらゆる社会階級の日常食である。持ち運びやすく、美味しいので庶民に人気だが、素材の品質や鮮度をごまかしやすい。街角で売られているパイの中には怪しげな材料で作られたものも多く、パイ選びを間違えるとトイレに駆け込むハメになる。
□骨付き肉 (Short rib)
火の上でジュウジュウと音を立てて焼ける肉の匂いには、どんな熟練の戦士であっても敵わない。焼肉に大胆にかぶり付くことで、疲労した戦士は生き返る。
骨付き肉は王国群のどこの露店でも売っているが、高価な牛肉がこの値段で提供されるかは怪しい。犬やネズミはいつでも黙って身代わりになってくれるのだ。
□チーズ (Cheese)
王国群には様々にチーズがある。主に牛や羊、山羊の乳から作られる。フレッシュチーズ、白カビチーズ、ウォッシュチーズ、シェーブルチーズ(山羊乳チーズ)、ブルーチーズなどがある。
□バター (Butter)
王国群の庶民はバターを自作している。食べるため、蝶番に差す油として、寒冷地では革製品やポーチの撥水加工と様々な用途に使える。しかし、腐ったバターの匂いはひどいので、使い方にも注意が必要である。
□鶏卵 (Chicken egg)
王国群では定番の食べ物で、料理することも食事することも大好きなホビット族は卵料理のレパートリーが豊富なことが有名である。
□ビール (Beer)
主に大麦を発芽させた麦芽をビール酵母によって醸造して造られる酒。上面発酵するものがエール、下面発酵するものがラガーと分類される。王国群では定番の飲み物で、各地で様々なビールが醸造され、飲まれている。
エールの種類は、主に3種類ある。ペールエール(Pale ale)はブリストル島で醸造されており、ダークゴールドから銅色で、ホップの香りと苦味が特徴である。ブラウンエール(Brown ale)はフランドル地方で醸造されており、樽や瓶の中で二次発酵するのが特徴で、赤褐色で穏やかな麦芽の風味を持ち、ホップの苦みはない。スタウト(Stout)はブリストル島西部で醸造されており、黒くなるまでローストした大麦を使用することから黒く、味は濃厚で、苦み、酸味とも強くアルコール度数が高い。
ラガーはアルマーニュのバヴァリア地方で、寒冷な洞窟で貯蔵する特殊な製法が発明されて広まった。ボヘミア地方発祥のピルスナー(Pilsner)が、最も主流で明るく輝かしい黄金色の色味とともにホップが生む爽やかな苦味を特長とする。バヴァリア地方発祥のメルツェン(Marzenbier)は、赤みがかった琥珀色でモルトの甘みがホップの苦みにやや勝っている。3月(Marz)に醸造することから“3月ビール”と呼ばれる。アルコール度数がやや高く、夏を越して熟成させ秋の収穫祭の時期に飲まれる。アルマーニュ地方南部発祥のデュンケル(Dunkel)は、褐色で、麦の甘味、ホップの苦味、軽い口当たりのバランスが取れているのが特徴である。
□サイダー (Cider)
林檎酒。林檎を発酵させて造った酒。同様に梨を発酵させたペアサイダー(Pear cider)もある。アルコール度数が低く、口当たりがよいことから、王国群では駆け出しの10代の労働者や冒険者が飲む最初の酒として人気がある。また、飲料として適した清浄な水が入手しづらい地方では、水代わりに盛んに飲まれている。代表的な産地としては、フランクではブルターニュ地方とノルマンディー地方が、ヒスパニアではカンタブリア山脈一帯が知られている。
□ミード (Mead)
蜂蜜を発酵させて作る蜂蜜酒は、古くから王国群北部を中心に広まっている。王国群東部辺境でも盛んに造られており、特にポルスカ王国産の蜂蜜酒ミュート・ミトニィ(Miod Pitny)は名高い。
□安酒 (Hooch)
安酒とはことさら質の悪い蒸留酒のこと。安酒を飲む理由はたったひとつで、泥酔するためである。王国群のどこででも安酒は蒸留されていて手に入りやすいが、蒸留という工程は技術的に難しいため、しばしば不良品が流通し、飲んだ者が昏倒したり失明する騒ぎが起きる。
□ワイン (Wine)
葡萄を発酵させて作るワインは王国群全域で人気の飲み物だ。ワインは生で飲むには高価すぎるため、庶民は水で薄めて飲む。ポートワインやシェリー酒のように甘いデザートワインから、赤や白、ライトボディ、フルボディなど色や口当たり、甘さなど様々な種類がある。
王国群の主要な産地としては、フランク北部のブルゴーニュ地方、アキテーヌのボルドー地方が双璧である。アルマーニュ地方では、レイノス川流域の白ワイン。アペニン半島では、アルペース山脈南側のピエモンテ地方、半島中部のトスカーナ地方で高品質なワインが造られている。ヒスパニアでは、北部カタルーニャ地方の赤ワインや南部アンダルシア地方のシェリー酒が有名である。またポルトゥカーレ王国北部では、酒精強化ワインであるポートワインが生産されている。
□ブランデー (Brandy)
ブランデーは最も愛されている蒸留酒のひとつである。ワインから作られたブランデーは風味が素晴らしいばかりか、身体が暖まるため、旅人にとって優れた強壮剤となる。近年では、ブラックベリー、チェリー、リンゴなどをブレンドして風味に変化をつけているものもある。フランク南西部のガスコーニュ地方アルマニャックやアキテーヌ地方コニャックが名産地であるが、フランク王家によって販売が独占されており、市場には滅多に流通することがなく、闇市場で高く取り引きされている。
□ミルク (Milk)
牛乳もしくは山羊乳。都市では近場の農場から朝市に卸され、そのまま飲み物として消費されるだけではなく、日保ちしないことから、バターやチーズなど乳製品に加工されたり、料理の材料として利用される。
□コーヒー (Coffee)
挽いたコーヒー豆を煮出して上澄みを飲んだ。中東全域で広く飲まれており、東部教国と国境を接している王国群の東部辺境を経由して伝わった。王国群でも最近では大都市でコーヒーハウスが開業し、飲用の習慣が広がり始めている。
□茶 (Tea)
東方発祥の飲料で、交易を通じて王国群に伝わった茶葉を湯で煮出して煎じる煎茶。当初は薬屋で量り売りされる高価なもので、眠気覚ましの薬として用いられていたが、現代では都市の貴族や富裕な商人を中心に嗜好品として広まりつつある。
□タバコ (Tobacco)
王国群においては、主にホビット族によって栽培されている。タバコの葉を乾燥、発酵などの工程を経て加工したものを刻んで煙管に詰め、火をつけて、くすぶるように燃焼させて発生する煙を吸引する。
生産、加工されたタバコは広く流通しており、ホビット族以外では人間族やドワーフ族を中心に消費されている。なおホビット族は、自らが喫煙習慣を発明したと主張している。
□傭兵 (Mercenary)
王国群の領主が擁する軍隊は主に傭兵から構成されている。この混迷期の時代において、自分の生命や財産を守るために富裕な商人や聖職者たちも私兵を抱えており、常にどこでも傭兵の需要はある。
ほとんどの傭兵は長槍で方陣を成す歩兵だが、高価な装備と訓練を要する長弓兵や騎兵、マスケット銃兵などには高い日当が支払われている。だが同じ歩兵であっても、単身で敵兵の構えた槍衾に斬り込む役割を担う先陣を務める剣技に優れた精鋭の兵士には、通常の二倍の日当が支払われた。
□水夫 (Sailor)
帆船やガレー船を運行するのには多くの船乗りを必要とするため、港町では常に水夫の募集が掛けられている。
□航海士 (Mate)
航海術を修めた操舵手や水先案内人など熟練した船乗りは、遠洋航海をする上で必須であり、航海の経験が豊富な航海士には高い日当が支払われた。
□荷役人夫 (Stevedore)
港町ではひっきりなしに到着する船から貨物を荷揚げする荷役人夫の需要がある。重い貨物を運ぶきつい仕事であるが、日雇い労働者の重要な稼ぎ場のひとつである。
□職人 (Craftsman)
大工や鍛冶屋などに仕事を頼んだ際の日当。都市では職工組合(ツンフト)によって報酬額が決まっている。
□彫師 (Tattooist)
刺青は船乗りや兵士、盗賊などが好んで身体に施すボディアートである。彫師に刺青を頼んだ際の料金は、範囲や意匠の出来によって価格が変わる。腕の良い彫師の手によるものは芸術品の域に達している。
□街娼 (Streetwalker)
街角で客待ちしている私娼。歳を取って娼館で客を取れなくなった年嵩の娼婦が多いが、本業だけで生活するのに困窮した素人の女性が手っ取り早く稼ぐために街角に立つ場合もある。交渉がまとまると、近傍の人目につかない街頭や自身の家に客を引き入れて相手をすることが多い。
□公娼 (Prostitute)
都市の領主もしくは市参事会が許可した娼館に属す娼婦。都市であれば娼館が軒を連ねる花街は幾つかあり、その立地に応じてランク付けされることが多い。若くて見栄えの良い娼婦を揃えた繁華街に在る娼館は揚げ代も高く、貴族や富裕な商人などしか利用することができない。一方で下町に在る娼館はとうの立った年増の娼婦が多いが、手頃な揚げ代で遊ぶことができる。しかし、揚げ代以外にも娼館の利用料として部屋代も請求されるため、娼館通いができるのは、よほど金回りの良い者に限られた。
□湯女 (Natir)
銭湯で垢すり、洗髪をする私娼。垢すりをした客と交渉がまとまると、入浴後に銭湯の客間寝台で相手をした。
□三助 (Tellak)
銭湯で働く下男に手間賃を払うと、洗い場で垢すりや洗髪を行ってくれる。
□酌婦 (Barmaid)
酒場で配膳や酌取をする私娼。酌取りをした客と交渉がまとまると、酒食の後に酒場の客間寝台で相手をした。
□酒姫 (Saqi)
東部教国で流行している酒場の酒宴に侍る酌小姓。女装した少年男娼である。主にハイモス半島やエウクセイノス海沿岸出身の少年奴隷が多い。10代半ばから20歳くらいが盛りで、その期間が短いこともあり揚げ代はやや高めであった。本来、男色は教会の禁忌に触れるが、粋と珍奇を求める貴族や富裕な商人、聖職者、芸術家を中心に秘かな愛好者が多かった。成長して盛りを過ぎた男娼の揚げ代は半減し、宮廷の女官や後家、商家の人妻などを相手にした。
□芸妓 (Whoer)
酒場や宿屋の宴席に呼ばれ歌舞音曲を行う芸妓。宴席が引けた後に、交渉がまとまった客の相手をした。美貌に優れ、美声であったり舞踊に長けた芸妓であれば、人気が高まり予約を取るのも難しい名妓もいた。
□高級娼婦 (Courtesan)
貴族や廷臣、高位の聖職者御用達の高級娼婦。紹介制のサロンに属しており、一見客は断っていた。サロンに属す高級娼婦はいずれも美貌に優れた若い娘であり、また政治や芸術、文学など様々な教養にも通じていた。そのため、貴族などの上流階級ではサロンの会員となり高級娼婦を相手とすることが一種のステータスとなっていた。高級娼婦はその顧客層の階級に準じて、貴婦人として扱われた。狩りや馬上槍試合、晩餐会、舞踏会などの催しに際して、賓客をもてなす相手として呼ばれることもあった。
□ドッグ (Dog)
王国群において、野良の雑種犬から、貴族や富裕な商人などの飼う愛玩犬まで様々な犬種が存在する。ある程度の訓練で躾けることができるので、庭や農場の番犬であったり、下水道のネズミを追い出したり、野営の見張りとしても活用されている。
□スレッドドッグ (Sled dog)
犬ぞりを牽くために訓練された大型犬。そり犬は寒さに強く、持久力に優れ、粗食に耐えるため、王国群の北部や標高の高い山岳地域など馬が耐えきれない寒冷な土地で犬ぞりを牽いて荷役用に利用されている。
□ハンティングドッグ (Hunting dog)
狩人に随伴し、獲物の場所を報せたり、獲物を狩り出す、あるいは仕留めた獲物を回収するための訓練を積んだ中型から大型犬。狩猟を好む貴族や、特定の怪物を追跡し狩るために退魔騎士が伴っていることがある。
□ガードドッグ (Guard dog)
対人戦闘用に訓練された大型犬。戦場での斥候や拠点の哨戒などの任務に使用される。
□キャット (Cat)
猫は王国群全域の都市や港町、農場をうろついている。すごい早さで繁殖する厄介者でもあるが、家や農場にいるさらに厄介なネズミなどの小動物を駆除してくれるため、だいたいの庶民はわざわざ飼うことはないが、猫の存在を黙認している。
□ピジョン (Pigeon)
鳩は食用や伝書鳩に使用される。伝書鳩は手紙を長距離輸送するために調教された鳩である。放たれた伝書鳩はだいたい八割の確率で自分の巣に帰還することができる。
□ソングバード (Songbird)
観賞用の小鳥。貴族や富裕な商人などが道楽で飼っている。よくさえずり、良い声で鳴くクロウタドリ、ナイチンゲール、コマドリなどが好まれる。
□チキン (Chicken)
ニワトリ。王国群では、ごく一般的に食用や卵を採取するために飼われている。
□ダック (Duck)
アヒル/カモ。アヒルは王国群において、ごく一般的に食用や卵、あるいは羽毛を採取するために飼われている。その一方で、野生のカモは食用の肉として狩られている。
□ファルコン (Falcon)
鷹狩りに使用される隼。鷹狩りは貴族に人気のスポーツである。よく調教された猛禽でおとなしくさせるために頭に頭巾を被せられている。狩猟の際、鷹匠は厚手の革手袋で自分の手を防護する。
□ホーク (Hawk)
鷹狩りに使用される鷹。鷹狩りは貴族に人気のスポーツである。よく調教された猛禽でおとなしくさせるために頭に頭巾を被せられている。狩猟の際、鷹匠は厚手の革手袋で自分の手を防護する。
□ゴート (Goat)
山羊。食用や搾乳用、あるいは毛を採取するために飼われる。雑草を片付けるてくれる上にミルクを提供してくれる。王国群では豚よりも山羊の方が一般的な家畜である。
□シープ (Sheep)
羊。食用や羊毛を採取するために飼われる。羊毛は衣類の材料として最も一般的なため、王国群全域に広く分布しているが、ブリストル島とヒスパニア地方は羊毛の産地として特に有名である。
□ピッグ (Pig)
豚。食用に飼われている。生ゴミを片付けてくれる上に肥料を提供してくれる。そして最後には食用になる。
□オックス (Ox)
牡牛。農耕や食用に飼われている。牡牛は荷物運搬用の動物として優れているので、主に荷車や犂を牽引するのに使用される。若い牡牛は食用としても利用されるが、大部分の小作農にとって牛肉は贅沢品だ。
□カウ (Cow)
牝牛。食用や搾乳用に飼われている。牝牛は肉よりも牛乳の方が重要だとして扱われる。
□ドンキー (Donkey)
ロバ。主に荷駄用に用いられる。この御しにくい獣は頑健だが、わがままでおおむね不機嫌だ。それでも馬より安いため、荷車牽きや荷物運搬の仕事に使われる。
□ミュール (Mule)
騾馬。ロバと馬の合いの子が騾馬である。荷駄、農耕用の頑丈な騎獣として用いられる。荷車を牽いたり、荷物を運搬するのに適している。
□ラウンシー (Rounsey)
主に乗用に使用される雑種馬。価格も手ごろであり、旅行者の足として、また下級兵士の移動用として広く利用されている。荷駄や馬車牽きにも用いられる。
□ジェニット (Jennet)
やや体格が小さく穏健な性質の馬。主に女性の乗用馬として利用される。また体格の小さなノームやホビットなどの騎乗にも適す。
□ハックニー (Hackney)
もっとも標準的であり、広く使役されている乗用馬。軍馬として調教を受けたものも多い。
□ポールフリー (Palfrey)
快足を誇る乗用馬。性質は穏やかで御しやすく、式典などに適す。主に狩猟や急使の早馬などに使用される。
□チャージャー (Charger)
“突撃者”の名で呼ばれる乗用馬。頑健で速力に優れるため、主に軍用馬として使役される。
□コーサー (Courser)
中級軍馬。名称は“駿馬”を意味する。筋肉質で力も強く、主に軍用馬として使役される。
□アラブ (Arab)
中東域産の馬。小格だが速力と持久力に長ける。軽快で軍馬に適すことから、王国群にも多く輸入されている。
□デストリア (Destrier)
“グレートホース”とも呼ばれる極上の軍馬。強健な体躯をもち、抜群の持久性と走破性を兼ね備える。ただし、非常に気性が荒く、乗り手を選ぶ。
□ディアトリマ (Diatryma)
南方暗黒大陸に生息する巨大な陸上鳥。かなりの俊足を誇るが、持久性は乏しく長距離移動には適さない。性質は穏やかだが、騎乗は難しく熟練を要する。
□ジオケロン・アトラス (Geochelone Atlas)
甲長2mを越える大型陸亀。丈夫な脚をもっており、速度はともかくとしても踏破力は高い。性質は穏和で御しやすく、かなりの荷重にも耐えることから、河口付近や沼沢地などで主に荷役用に用いられている。
□ヤックル (Yakkuru)
山岳地帯に生息する大型の羚羊。中央山岳ではこれを家畜化して騎獣として利用している。非常に軽快であり、起伏に富んだ山岳地帯では特に有用である。
□アハ・イシュカ (Each Uisce)
大型のアシカ。脚が発達しており陸上での歩行にも適している。浅い河川や沼沢地帯などで騎獣として用いられている。
□レインディア (Reindeer)
寒冷地に生息するトナカイ。鹿の仲間だが、雄雌ともに角をもつ。蹄は大きく平らで、雪上や沼地を歩くのに適している。王国群北部から東方の寒冷地にかけて棲息し、古くから家畜化して騎獣としても利用されている。
□ドロメダリー (Dromedary Camel)
砂漠地帯に生息するラクダ。過酷な砂漠の環境に適した騎獣である。乗用や荷役用に利用され、特に訓練を受けたものは軍用にも利用される。
□アーケオプテリクス (Archaeopteryx)
竜鳥。羽毛の生えた飛翔竜。飛翔能力はさほど高くなく、長距離の飛行や戦闘には向いていない。性質が穏和なことから御しやすく、山岳部での移動などに多用されている。
□グレートイーグル (Great Eagle)
古の神の使いである伝説の幻獣の名を冠す巨大な鷲。性質が獰猛で御しにくいが、強靭な翼を備えており、幼い頃から馴らして軍用の騎獣として用いられる。
□カート (Cart)
一頭立ての二輪馬車。農民用の素朴な運搬手段である。荷台に車輪が二つ付いていて、牡牛や使役用の馬一頭が牽く。速度は遅く、揺れがひどく、乗り心地も悪い。御者、乗客2人乗りで、荷重500まで積載できる。
□バックボード (Buckboard)
一頭立ての軽四輪馬車。簡単な構造の四輪馬車。荷台に車輪が四つ付いていて、牡牛や使役用の馬一頭が牽く。速度は遅く、揺れがひどく、乗り心地も悪い。御者、乗客4人乗りで、荷重800まで積載できる。
□ワゴン (Wagon)
二頭立ての荷馬車。サスペンションや屋根などはなく、乗客は道の全てのでこぼこを感じることができる。雨よけに粗布の幌を常備している荷馬車は最高の荷馬車だ。御者、乗客2人乗り。荷重1,500まで積載できる。
□コーチ (Coach)
二頭立ての四輪馬車。王国群を旅する陸上の交通手段としては最高の乗り物である。高価だが、乗り心地も良く、守りも堅い。屋根が付いていて、サスペンションが効いている。四輪馬車の内装は品質によって異なるが、粗悪なものでさえ、クッション付きの座席が備えられている。御者、乗客8人乗りで、荷重1,000まで積載できる。
□ドッグスレッド (Dog sled)
犬ぞり。雪上もしくは氷上を訓練されたそり犬の一団が牽くようになっている。そり犬1頭が牽ける荷重はそり犬自身の荷重と同じである。10頭牽きの犬ぞりは御者と、荷重300まで積載できる。
□スレッジ (Sleigh)
雪上そり。雪上または氷上での移動に使うための台車である。二頭の使役用の馬もしくはトナカイで牽くことが多い。御者、乗客2人乗り。荷重1,500まで積載できる。
□ラフト (Raft)
筏。もっとも原始的な種類の舟。丸太や竹などをロープで縛って作った平底の舟である。大工道具と材料があれば、半日ほどで作成することができる。棹や櫂で漕ぐ。漕ぎ手を含む定員は6名だが、荷物などの荷重のある物を積むには人数をその分減らす必要がある。乗員を含めて、荷重1,000まで積載できる。
□スモールバージ (Small barge)
伝馬舟。船員1名で漕ぐ。旅人が川を渡るのに主に使われる。漕ぎ手を含む定員は6名だが、荷物などの荷重のある物を積むには人数をその分減らす必要がある。乗員を含めて、荷重1,000まで積載できる。
□スモールボート (Small boat)
小型舟。要船員2名(漕ぎ手)。荷重2,000まで積載できる。
□ラージボート (Large boat)
大型舟。全長は12ヤード(約11m)程度。舟を動かすためには6人の船員(漕ぎ手)が必要で、定員は30人である。馬を載せる場合、1頭の馬は人間3人分として換算する。荷重5,000まで積載できる。
□キールボート (Keel boat)
平底船。大型の輸送船で、主に大河における大量の物資の輸送に利用されている。帆柱を立てて四角帆を張ることもあるが、基本的に川の流れに委ねることが多い。また川底を棹で押す、川岸から馬や牛にロープで牽引して推進することもある。一般的な平底船は全長24ヤード(約22m)以上ある。7〜15名程度(内漕ぎ手が8名)の船員を要する。乗客100名。荷重20,000まで積載できる。
□コグ (Cogs)
スエビクム海沿岸地方で豊富に採れるオーク材で造られた平底船。一本の帆柱に一枚の横帆を備えていた。そのため風上に向かって帆走することはできなかったが、船員が少なくても操船でき、運航費用を抑えることができる。主にスエビクム海での海上貿易に用いられた。要船員10名。乗客100名。荷重45,000まで積載できる。
□ダウ (Dhow)
エリトュラー海からシャンバラ洋にかけて運用されている帆船。外板を固定するための釘を使わず紐で縫合し、タールを塗って組み立てることが特徴である。帆柱は1本ないし2本で、前方に傾斜しており、大三角帆が一枚ずつ張られる。要船員10名。乗客120名。荷重50,000まで積載できる。
□ロングシップ (Longship)
スカンジナヴィア地方のヴァイキングが建造し使用している船。長く細い船体形状で、速度を優先して喫水が浅く水深1mほどの浅海や河川でも航海することができ、海浜に乗り上げる速度も速く、また軽いことから陸路輸送のために担いでいくことも可能である。1本の帆柱に四角帆を張るが、基本的な推進力は櫂の漕ぎ手に依存した。要船員50名(内漕ぎ手40名)。乗客100名(戦闘員)。荷重50,000まで積載できる。
□ギャリオット (Galliot)
軽ガレー船。地形が複雑で風向きの安定しない内海やスエビクム海でよく運行されている。順風時には1本の帆柱に四角帆を張るが、基本的に櫂を漕いで推進する。喫水が浅く舷側も低いことから、穏やかで水深の浅い海では高い機動性を得たが、荒天時には航行力が急激に低下する。積載容量が少なく、漕ぎ手を含めた船員が多く必要なことから頻繁に補給のための寄港を要することもあり、少量でも高価な香辛料などの貿易、あるいは軍用に用いられている。要船員80名(内漕ぎ手60名)。乗客100名。荷重60,000まで積載できる。
□キャラベル (Caravel)
中型帆船。ヒスパニア地方で開発された2本の帆柱をもつ帆船。前部の帆柱に四角帆、後部に三角帆を張る。航行速度に重点を置いた四角帆と小回りを重視した三角帆を備えているため、高い操舵性を有しており、また大洋だけでなく浅海や沿岸などの航行も可能であることから、冒険商人や探検家に好まれた。要船員20名。乗客50名。荷重80,000まで積載できる。
□ジャンク (Junk)
戎克。東方で広く使用されている帆船。2本から3本の帆柱をもち、割り竹を挿入された四角帆を張る。船体中央を支える構造材である竜骨が無く、船体が多数の梁と呼ばれる水密隔壁で区切られており、喫水の浅い海での航行に便利で対波性に優れ、速度が出る。要船員20名。乗客100名。荷重100,000まで積載できる。
□ジーベック (Xebec)
帆船と漕走船の中間的な中型船。2本から3本の帆柱をもち、大三角帆を張る。南方暗黒大陸の内海で活動しているバルバリア海賊がよく用いている。要船員110名(内漕ぎ手80名)。乗員100名(戦闘員)。荷重80,000まで積載できる。
□キャラック (Carrack)
大型帆船。遠洋航海を前提に開発された帆船で、大洋の高波でも船体が安定するように巨大な船体と大量輸送に適した広い船倉をもつ。3から4本の帆柱を備え、前部と中央に四角帆、後部に三角帆を張る。特徴的な船首楼と船尾楼を備える。要船員30名。乗客100名。荷重130,000まで積載できる。
□ガレアス (Galleass)
交易用ガレー船から軍用転換された帆船と漕走船の中間的な大型船。3本の帆柱をもち、船首楼と船尾楼をもつ。要船員200名(内漕ぎ手140名)。乗客160名(戦闘員)。荷重100,000まで積載できる。
□ガレオン (Galleon)
大型帆船。3または4本の帆柱をもち、船首楼と船尾楼をもつ。キャラックから発展した船型で、全長が長くより多くの貨物が積め、スマートで吃水が浅いので速度が出る。遠洋航海に用いられた。要船員30名。乗客120名。荷重150,000まで積載できる。
□ジョッキ (Tankard)
主にビールの飲用に使われる取っ手付きの容器。酒場の喧嘩では唯一、武器として使用することが認められているため、酒場の真鍮製ジョッキはたいていボコボコである。
□グラス (Glass)
ガラス製のコップ。一般的なグラスは気泡が入っていたり、縁が欠けていたり、厚さが均一でないものが多い。上等なものであれば、透明度が高く、色ガラスであったり、エッチングが施されていたりする。王国群では、アペニン半島北部のヴェネツィアが上質なガラス器の産地として有名である。
□ゴブレット (Goblet)
真鍮製の脚と台が付いた酒杯。貴族や富裕な商人、高位の聖職者などは銀製のものを愛用している。
□ピッチャー (Pitcher)
耳型の取っ手と注ぎ口をもつ陶器製の水差し。王国群全域の酒場でよく見かける。喧嘩で武器として使用された場合、一撃で砕け散る。
□瓶 (Glass bottle)
酒などの飲料を入れるためのガラス製の瓶。一般的な形としてはワイン瓶のような形で、コルク栓が付いている。路地裏での喧嘩では、よく武器として使用される。
□薬瓶 (Medicine bottle)
魔法薬を入れるためのガラス製の小瓶。
□食器 (Tableware)
切り分けられた肉を載せる肉切り平皿(タイヨワール)と、スープやピュレを入れる深皿(エキュニル)が一揃いとなっている。タイヨワールは円形か四角形をした平皿で、その上にトランショワールと呼ばれる固くなった厚切りのパンが置かれ、そのトランショワールの上に、大皿に盛られた煮たり焼いたりした肉や魚が切り分けられて配られる。肉や魚を食べ終わって、まだ肉汁や脂が染み込んだままのトランショワールは、施し物として貧しい人に与えられたり、飼い犬に投げ与えられた。庶民たちの食卓では、タイヨワールは用意されず、直接トランショワールを使い、またそのまま最後に食べられた。
□鍋 (Pot)
調理や保存に用いる大きな容器。主に鉄製か陶器製で円形で、かまどに吊るすための取っ手が付いている。
□ケトル (Kettle)
鉄製のヤカン。水を沸騰させるのに使用する。上部には取っ手が付いており、掛け鉤でかまどや火鉢の上に掛けられるようになっている。
□茶碗 (Tea cup)
陶器製の茶碗。輸入された東方の茶を飲むためのコップ。
□急須 (Tea pod)
陶器製の茶を淹れるポット。輸入された東方の茶葉を入れて茶を抽出するのに使用する容器。
□テーブル (Table)
平らな天板を4本ないし3本の脚で支え、食事や作業に使う木製の台。材質や装飾の有無によって価格が変動する。
□デスク (Desk)
書斎や仕事場にて、その上で本を読んだり、ペンなどの筆記用具で原稿を執筆したりするための机。多くの場合、筆記用具などを収納するための引き出しが付いている。質の良いものは樫材でできている。
□ベッド (Bed)
寝るための寝台でマットレスを載せて完成する。もしくはドアを内側から押さえるためにも使われる。
□フットレスト (Footrest)
足載せ台。木製の小さな台で、質の良いものはクッションが付いている。
□チェア (Chair)
腰かけるための椅子。3本か4本の脚と背もたれが付いている。質の良いものはクッションが付いている。
□スツール (Stool)
背もたれやひじ掛けのない椅子。座面が円形のものが多い。
□ソファー/カウチ (Sofa/Couch)
2〜3人が並んで座れるような長椅子。ソファーは主に来客用で、背もたれと左右に肘掛けが付けられている。カウチは簡易的な寝台として、肘掛けを枕にして寝そべることができる。
□カーペット (Carpet)
絨毯。中東地域から伝わった敷物。東部教国のペルシス地方が原産地として有名で、コム、エスファハーン、タブリス、マシュハドなどが主要な産地として知られる。
□カーテン (Curtain)
窓帷。元は天蓋付きベッドやアルコーブと呼ばれる横穴式ベッドの間仕切りとして使われていた。窓ガラスが普及すると窓からの冷気の遮断や、遮光用として、また室内装飾のひとつとして利用されるようになった。
□タペストリー (Tapestry)
装飾壁掛け。石壁に掛けることによって、室内装飾となるだけでなく、壁からの隙間風を防ぎ、断熱材としての効果がある。王国群においては、聖典や古代の神話、英雄の伝記などの情景の絵柄が好まれた。主要な産地としてはフランドル地方が有名である。
□クッション (Cushion)
布製の袋に羊毛や木綿屑など軟らかい素材を詰めたもの。主に椅子や寝台の上に置き、座ったり寝たりするときに用いる。
□マットレス (Mattress)
ベッドの上に敷いて用いる寝具。大きな袋に羊毛や木綿屑などを詰めたもの。羽毛を用いたものは高価である。
□ピロー (Pillow)
寝るときに頭に敷く枕。布製の袋の中に綿屑などを詰めたもの。羽毛を用いたものは高価である。
□ビュッフェ (Buffet)
食器を収納するための棚。松材は安く、桜材、紫檀材、樫材のものは高い。
□キャビネット (Cabinet)
開閉式の扉の付いた戸棚。松材は安く、桜材、紫檀材、樫材のものは高い。
□ブックケース (Bookcase)
扉の付いていない棚。本を並べて収納することができる。
□ワードローブ (Wardrobe)
衣装箪笥。開閉式の扉の付いた箪笥。衣類を収納するための家具。
□ドロワーズチェスト (Drawers chest)
衣類収納棚。衣類などを収納する為の引き出し式の家具。
□ミラー (Mirror)
ガラス鏡。板ガラスの裏面に錫アマルガムを付着させて作成する。ヴェネツィアのガラス工がこの技法を発明して以来、反射に優れたガラス鏡が王国群に広まった。
□ハンドミラー (Hand mirror)
ガラス鏡の手鏡。高価な代物で、貴族や富裕な商人などが化粧をする際に愛用している。
□シャンデリア (Chandelier)
大量の蝋燭を灯すことができる装飾的な照明器具。城館や教会などの大広間を効果的に照らすために用いられる。
□スコンス (Sconce)
壁付け燭台。壁に取り付けられた装飾的な照明器具。城館や教会などの回廊に一定の間隔で設置され、周囲を照らすために用いられる。
□キャンドルスティック (Candle stick)
卓上燭台。蝋燭を立てるための台で、持ち運びできるように根元に取っ手が付いている。
□キャンデラブラ (Candelabra)
枝付き燭台。複数の蝋燭を立てるため複数の枝が設けられた装飾的な燭台。
□チェスト (Chest)
木櫃。蓋付きの木製の箱、四隅などの各所を鉄の帯で補強されており、蓋には錠前が施されている。大型は荷重300まで、小型は荷重100までの物品を収納できる。
□バレル (Barrel)
木樽。25ガロン(約92.5リットル)の分量の液体を入れることができる。満タンにすると荷重250となる。
□キャスク (Cask)
中型の木樽。10ガロン(約37リットル)の分量の液体を入れることができる。満載すると重量100となる。
□ケグ (Keg)
小型の木樽。4ガロン(約14.8リットル)の分量の液体を入れることができる。満載すると重量40となる。
□パイル (Pail)
手桶。取っ手の付いた小型の木桶。
□バケツ (Bucket)
鉄製の手桶。鉄製の取っ手が付いている。
□ケージ (Cage)
木製の天板と床板、鉄製の格子で作られている檻。大型の檻にはオーガ程度の大きさの生物を1体収容することができる。小型の檻にはホビット程度の大きさの生物を1体収容することができる。
□ハープシコード (Harpsichord)
チェンバロ。グランドピアノのような翼型の鍵盤楽器である。オルガンに比べて軽快な旋律が奏でることができる。そのため、流行に敏感な都市部の貴族や富裕な商人などに人気の楽器である。大きく重いため、据え置きで使用される。
□オルガネット (Organet)
可搬式の小型オルガン。加圧した空気を鍵盤で選択したパイプに送ることで発音する鍵盤楽器。歴史が旧く、荘厳な旋律を奏でることができる。伝統を重んじる貴族や富裕な商人、高位の聖職者などに好まれた。
□パイプオルガン (Organ)
据え置き式の大オルガン。主に教会などに設置されている。礼拝賛美などの伴奏に用いられ、教会内での典礼にはなくてはならない楽器である。
□土地 (Demesne)
地方の領主は自身の城の周囲の土地を何エーカーも所有し、そこに住む者たちに貸し与えている。小作農はそのような土地に住んで、収穫の一部を領主に支払っている。もっとも、土地の購入代金を完済するまで長生きできる小作農はほとんどいない。
都市はさらにひどい。王国群の都市は城壁で囲まれているため、更地は希少なのである。そのためあらゆる更地が法外な値段で売られている。昔、皮なめし屋や染物屋が住んでいた土地は有毒な物質が沁み込んでいるため、少しばかり安くはなっている。
□田舎のあばら家 (Hovel)
木の枝を編んだ骨組みに粘土や泥を塗りこんで作った土壁の粗末な掘っ立て小屋。屋根は藁葺きで、内部は土間一間しかない。かまどの煙は天井の一部を開口した煙出しから排出する。
□田舎の家 (Cottage)
木造住宅で、内部は台所兼居間、夫妻の寝室、子供の部屋、貯蔵庫など2〜4部屋が設けられている。壁は木材で、屋根は藁葺きである。居間には石造りの暖炉と煙突が設置されている。
□農家 (Farm)
王国群全域の平原には小規模な農家が点在している。それぞれ孤立し、独立して在るため、砦のような雰囲気すらある。大抵は主要な街道から遠く離れており、森を通る危険な獣道などで農家同士が結ばれている。
一般的な農家は土塀に囲まれており、塀の内側は開けた広い庭になっている。庭の中心には一家が暮らす母屋があり、その周囲には納屋や作業場、家畜を飼う厩舎、物見櫓などが設置されている。
母屋は二階建てで、1階には厨房、家族の過ごす居間、当主夫妻の寝室、食糧の貯蔵庫や貴重な農具を収める倉庫など。2階には子供たちの部屋、作男や女中など使用人の部屋が設けられていた。
□田舎の邸宅 (Manor house)
石造りの豪華な家。事実上、小規模な城砦である。貴族や大商人などの富裕層が別荘として所有し、管理している。一般的な邸宅は主人の住まう城砦を中心に、奉公人の住まいや家畜を飼う厩舎など数軒の小さな建物からなっている。
多くの場合、邸宅は農家や家、あばら家で囲まれており、その周囲では小作農が借り物の土地で汗水流して働いている。
□都市の家 (Town house)
都市の家は田舎の家とあまり変わらないが、屋根は板葺きで防火のためタールが塗られている。ほとんどの都市は城壁で囲まれているため土地が希少で、多くの家は2階建てないしは3階建てで作られる。1階が仕事場で、2階から3階が住居となっている。住居部には厨房、家族の過ごす居間、当主夫妻の寝室、子供たちの部屋、女中など使用人や徒弟の部屋、食糧の貯蔵庫など、最低でも3〜4部屋はあるが、規模に応じて部屋数は異なる。
□庭付きの豪邸 (Mansion)
美しい石造りまたはレンガ造りの家はとても広く、手入れの行き届いた庭がついている。床には石のタイルが貼られ、壁は漆喰か壁紙で覆われており、窓にはガラスがはめ込まれている。天井には息を呑むような照明器具もあり、小作農には夢に見ることすらできない程の家である。
□中庭付きの大豪邸 (Great house)
豪華な石造りの大豪邸。回廊の中には美しい中庭が設けられている。この建物は富の象徴で、想像する限りのあらゆる設備が整っている。このような家を所有できるのは、王国群でも有数の貴族や大商人くらいなものだ。大豪邸を所有するということは、頂点を極めたという意味合いもある。
□小宮殿 (Palace)
使い切れないほどの財産があるなら、大豪邸の代わりに小宮殿を所有して、街のひと区画ごと自分の物にしてしまうのも一興だ。小宮殿は、複数の物見塔を備えた城壁に囲われている。城壁の内側には複数の建物からなり、幾つかの尖塔を備えた宮殿が建っている。都市でも田舎でも金さえあればどこにでも建てられる。
□要塞 (Citadel)
防衛に適した石造りの軍事的な防衛拠点としての要塞。複数の物見塔を備えた城壁に囲われている。内部には城主とその家族の住む本館と、家臣とその家族が住む幾棟かの別館、兵士や奉公人たちの暮らす長屋、軍馬や家畜を収容する厩舎、兵糧の貯蔵庫や兵器を備蓄する倉庫などが備えられている。
□城塞 (Castle)
支配者の住む城館。防衛機能より居住性や豪華さを重視した造りとなっている。複数の物見塔を備えた城壁に囲われている。内部には城主とその家族の住む天守塔を備えた本館、家臣とその家族が住む幾棟かの別館、兵士や奉公人たちの暮らす長屋、軍馬や家畜を収容する厩舎、兵糧の貯蔵庫や兵器を備蓄する倉庫などが備えられている。
□礼拝堂 (Chapel)
領主や高位聖職者など、特定の個人のため私的に建設された小規模な礼拝堂。礼拝などの儀式を行う聖職者の住居が併設されていることがある。
□教会/寺院 (Church/Abbey)
神を祀る場所としての教会堂。聖職者の修行、信徒への布教の場でもある。礼拝のための聖堂以外に信徒たちの集会所、聖職者たちの居住施設も設けられている。さらに巡礼者を宿泊させる宿坊や傷病者を看護する病院が設けられていることもあった。庭には自給自足のために野菜や穀物を育てる農園が作られ、祭儀に用いるワインを作るためのブドウ畑まで所有することもあった。
□大聖堂 (Cathedral)
司教座の置かれた聖堂。祭壇の内陣中央に設けられる司教が座るための椅子すなわち司教座をもつ教会堂のことであり、司教が長を務める聖堂である。王国群では古来より、都市の中心にある広場に面して建てられるのが慣例であった。
■兵器■
□ウォーワゴン (War wagon)
戦争で使われた装甲した馬車。装甲された荷台に身を隠しつつ、装甲板に設けられた銃眼から弩や銃などで攻撃を行った。また馬を外した数台の装甲馬車で野営陣地を囲うことによって、機動的な要塞としても運用した。
□バリスタ (Ballista)
据え置き式の大型弩砲。梃子を用いて弦を引き、石弾や大型の矢を射出した。野戦での敵陣突破の支援、攻城戦における攻城兵器、あるいは防衛側でも使われ、軍船にも搭載されることもあった。
□マンゴネル (Mangonel)
攻城戦において、城壁を破壊するために石弾を投射する投石機のひとつ。動物の腱などを利用したロープの弾力を利用して、たわめた支持腕の終端に付けられたバケットに載せた石弾を投射した。石弾以外にも、可燃物を充填した焼夷弾や、城内に疫病を蔓延させるために腐敗した動物の死体を投射することもあった。
□トレビュシェット (Trebuchet)
平衡錘投石機。攻城戦において、城壁を破壊するために石弾を投射する投石機のひとつ。カウンターウェイトの重量を利用するため、大きく造ればそれだけ威力が増すことが特徴である。カウンターウェイトの重量を変更することによって射程距離を自由に調整できることから、マンゴネルより着弾精度も高く、射程も長い。
□バタリングラム (Battering ram)
破城鎚。城門や城壁を破壊するための攻城兵器。丸太の先端を装鉄した衝角を移動式の荷台に鎖やロープで繋ぎ、数人の兵士で幾度も衝くことによって城門を破壊する。当然のように城門の上からは弓矢や落石によって攻撃を受けるため、上部に防御用の屋根(Gallery ram)を付けることもあった。
□グロンド (Grond)
かつて闘争期の時代、難攻不落で知られていた城塞都市ミナス・ティリス攻城戦に用いられた巨大な破城鎚。名前は古代の冥王の用いていた大鎚に因んでいる。巨大な台車に搭載されており、トロールたちによって幾度も叩きつけられ、真銀ミスリルで装甲されていたミナス・ティリスの城門を破壊したとされる。
□ベルフリー (Belfry)
攻城櫓。攻城戦において、城壁を越えるために使用される木造の移動式櫓で、城壁に渡り橋を渡して兵士を城内に乗り込ませ、また櫓の上に配置した射手によって城壁上の敵兵を制圧するのが目的である。木製のため火矢に弱いため、外壁を装鉄したり動物の生皮で覆ったりして対策することも多い。
□エスカレード (Escalade)
攻城用梯子。雲梯。攻城戦において、城壁を越えるために使用される木造の長い梯子。城壁の上部に引っ掛けて固定するために、先端に鉄鉤を取り付けている。
□セーカー (Saker)
5ポンド弾を使用する小口径砲。小型船にも搭載できるように小型化された砲で、弾丸重量が小さいが装薬量を増やし砲身長を長くすることで長射程だった。
□カルバリン (Culverin)
18ポンド弾を使用する中口径砲。カノン砲より威力は低いが長射程を有するため、艦載砲として海戦で多用された。
□ペリエ (Perrier)
24ポンド弾を使用する大口径砲。威力と射程のバランスが良いことから中級戦艦の艦載砲として搭載された。
□カノン (Cannon)
32ポンド弾を使用する大口径砲。最大の威力を誇る大砲であり、戦列艦の主砲として搭載された。また攻城戦においても城壁や城門を破壊するために用いられた。
□砲車 (Gun carriage)
大砲を運搬するために砲架に二輪ないし四輪の車輪を取り付けた台車。初期の大砲は基本的に攻城砲であり、現地で鋳造して据え置きで使用されたが、やがて野戦でも利用されるようになり、運搬しやすいように砲架に車輪を取り付けて移動させることができるようなった。