WIZARDRY RPG

- OutLaws Edition -

■ルールセクション■


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◇オートマターの導入◇

 オートマターとは精巧な機械仕掛けによって稼動する自動人形のことを指します。オートマターは擬似的な知性を備えており、限定的ではありますが、与えられた命令を認識して自ら行動することができます。また、少ない語彙ながら会話する能力も備えています。
 オートマターは外観的には人間に近い造形をしている場合がほとんどです。ただし、材質は鈍い光沢を放つ特殊な金属であり、一見しただけで人工物であることが分かります。もっとも特徴的なのは、感情を宿さないまるで水晶のような無機質な瞳です。それもそのはず、被造物であるオートマターは自らの意志を持つことはなく、与えられた命令を忠実に実行するだけの存在です。ただ、かつてその機械仕掛けの胸に心が芽生えたものが存在していたといわれますが……真偽は不明です。
 なお、オートマターの技術は現在では失われており、一から新たに製造することはできません。ごく稀に古代遺跡や地下迷宮などで発見されることがありますが、多くの場合、すでに壊れており、正常に稼動しているオートマターを見ることはさらに稀です。そのことから、オートマターは遥か古代の優れた技術によって作られたという説が有力ですが、古い記録を継承しているエルフやノームもその起源を良く知らないことから、外の世界から持ち込まれた異端の技術であるとする説もあります。
 ごく最近ではありますが、錬金術師たちによって壊れたオートマターを修理し、再稼動させる技術が復興されました。オートマターは、その構造上とても頑丈で、毒や麻痺などの状態異常に耐性があるため、護衛としてはとても有能です。そのため、探索などの旅をする錬金術師たちの間で、オートマターを同行させることが流行しつつあります。ただし、教会に属す聖職者たちは、この人に似た被造物を“神に対する冒涜”として認めておらず、公然と糾弾しているようです。

1.オートマターの扱い

 オートマターはPCが所有し、指示を行うことができるNPCとして扱います。オートマターは基本的にPCに従属し、自らの意志で行動することはありません。GMは機械的な対応を心掛けてください。

2.オートマターの作成

 オートマターは、思考や行動を司る中枢部「オートマターヘッド」、動力源となる「リアクター」、骨組となる「フレーム」、外装である「スキン」から構成されます。
 これらの部品を組み上げることによってオートマターを作成することが可能です。

2−1.オートマターヘッドの初期化とマスターの登録

 オートマターは基本的に自律的な判断を行わないため、能動的な行動をさせるには、その都度命令を行う必要があります。そのため、オートマターに命令を行う指示者を“主人(マスター)”として設定します。
 オートマターの頭脳部ともいえる「オートマターヘッド」の構造は解明されておらず、現在の技術で再生産することは不可能です。新たなオートマターを作るには、地下迷宮などでまだ稼働している、あるいは壊れたオートマターを発見して「オートマターヘッド」を回収して入手するしか方法がありません。
 地下迷宮で発見される「オートマターヘッド」にはかつての“主人”の情報が書き込まれているため、まずこれを初期化する必要があります。
 「オートマターヘッド」を初期化し、新たな“主人”の登録を行うには「機械学」技能判定で成功する必要があります。初期化され、新たな“主人”の登録を行ったオートマターは1レベルとなります。

2−2.リアクターの搭載

 動力源となるリアクターを搭載します。リアクターの構造もまた現在の技術では解明されておらず、再生産することは不可能です。地下迷宮などでまだ稼働している、あるいは壊れたオートマターを発見して「リアクター」を回収して入手するしか方法がありません。
 一般的に入手できるものはパラジウムを触媒としている「パラジウムリアクター」でしょう。発電に際して、副産物として人体に有害なプラズマ廃液が生成されてしまいますが、機械であるオートマターには影響がありません。

2−3.フレームの選定

 かつては幾つかの種類の素体(フレーム)が存在していたようですが、現在の技術で再製できたのは標準的な人間型素体のみです。現在、雄型のメイルフレームと雌型のフィーメイルフレームの二種類が錬金術協会から入手することができます。選択した素体によって若干性能が異なります。メイルフレームは耐久性に優れ(HPと生命力に+1補正)、フィーメイルフレームは敏捷性と耐性に優れます(敏捷と抵抗に+1補正)。

2−4.スキンの装備

 骨組みであるフレームに外殻であるスキンを装備させます。スキンはいわば装甲でもあり、オートマターのACに影響します。

 オートマターの構成品リスト

2−5.武器の装備

 最後にオートマター専用の武器を装備させます。

 オートマターの武装リスト

3.オートマターのデータ作成

 オートマターも、本来はプレイヤーキャラクターと同等の特性値や能力を持っています。しかし、GMがいちいち作成するのには手間が掛かります。そこで、ここでは敵NPCと同様に簡易的な作成ルールを説明します。

<凡例>

・レベル : オートマターのレベルです。

・HP補正 : オートマターのHPです。

・基本AC : オートマターの基本ACです。この値から装備しているスキンのACが適用されます。

・敏捷 : オートマターの行動順番です。

・生命力 : 状態変化などの回復や、抵抗に使用します。

・命中補正 : 直接攻撃時の命中補正です。装備している武器によっても変動します。

・攻撃回数 : 直接攻撃の攻撃回数です。装備している武器によっても変動します。

・ダメージ補正 : 直接攻撃の1回で与えるダメージ補正です。装備している武器のダメージに足してください。

・移動力 : 移動できる範囲です。移動攻撃を行う場合は、移動力の1/3(端数切捨て)しか移動できません。

・抵抗値 : 魔法などの抵抗時に、【知性】【敬虔】【幸運】の代わりにこの値を代入して使用します。

・士気 : 『戦闘』ルールを参照願います。

◇基本値◇

外観 レベル HP補正 基本AC 敏捷 生命力 命中補正 攻撃回数 ダメージ補正 移動力 抵抗値 士気 特殊能力 備考
1D10+5 10 +10% +3 100   機械属、精神ダメージ半減、睡眠・恐怖・混乱・魅了無効化
2D10+10 +15% +3 100   機械属、精神ダメージ半減、睡眠・恐怖・混乱・魅了無効化
3D10+15 10 10 +20% +4 100   機械属、精神ダメージ半減、睡眠・恐怖・混乱・魅了無効化
4D10+20 11 11 +25% +4 100   機械属、精神ダメージ半減、睡眠・恐怖・混乱・魅了無効化
5D10+30 12 12 +30% +4 10 100   機械属、精神ダメージ半減、睡眠・恐怖・混乱・魅了無効化
6D10+36 13 13 +35% +5 11 100   機械属、精神ダメージ半減、睡眠・恐怖・混乱・魅了無効化
7D10+42 −2 14 14 +40% +5 12 100   機械属、精神ダメージ半減、睡眠・恐怖・混乱・魅了無効化
8D10+56 −4 15 15 +45% +5 13 100   機械属、精神ダメージ半減、睡眠・恐怖・混乱・魅了無効化
9D10+64 −6 16 16 +50% +6 14 100   機械属、精神ダメージ半減、睡眠・恐怖・混乱・魅了無効化
10 10D10+80 −8 17 17 +55% +6 15 100   機械属、精神ダメージ半減、睡眠・恐怖・混乱・魅了無効化
11 11D10+88 −10 18 18 +60% +7 16 100   機械属、精神ダメージ半減、睡眠・恐怖・混乱・魅了無効化
12 12D10+96 −12 18 18 +65% +7 16 100   機械属、精神ダメージ半減、睡眠・恐怖・混乱・魅了無効化
13 13D10+104 −14 18 18 +70% +7 16 100   機械属、精神ダメージ半減、睡眠・恐怖・混乱・魅了無効化
14 14D10+112 −16 18 18 +75% +7 16 100   機械属、精神ダメージ半減、睡眠・恐怖・混乱・魅了無効化
15 15D10+135 −18 20 20 +80% +10 18 100   機械属、精神ダメージ半減、睡眠・恐怖・混乱・魅了無効化

4.オートマターの成長

 初期化されたオートマターはややぎこちない挙動しか行えませんが、より多くの動作パターンを入力することによって行動が最適化されていき、徐々に滑らかで洗練された動きとなっていきます。
 オートマターの成長には「アップデートデバイス」が必要となります。「アップデートデバイス」を入手してオートマターに使用するとレベルが上がります。なお、オートマターのレベル上限は15レベルとなります。

5.オートマターの維持

 機械であるオートマターの維持には日常的なメンテナンスが欠かせません。整備を欠いたまま稼働しているオートマターはやがて動作不良を起こす可能性があります。
 地下迷宮などで発見される動力源である「パラジウムリアクター」からは、発電の副産物として人体に有害なプラズマ廃液が生成されます。定期的にこれを除去する必要があるのです。なお、かつて無害かつクリーンなエネルギーを生成できる理想的な触媒が存在したとも云われますが、現在の知識ではそれが何であったか判明していません。
 オートマターの整備は1回の冒険(シナリオ終了時)毎に必要で、レベル*100GPの費用が掛かります。

6.特殊なオートマター

 ここでは存在の確認されている特殊な仕様の自動人形を紹介します。いずれも伝説的な存在であり、遭遇することはごく稀でしょう。

6−1.シャインカーズドーター <Sheinker’s Daughter>

 希代の機巧師にして迷宮製作者ダイダロスの制作した自動人形です。男だけの戦士集団“シャインカー”を率いる女戦士パイドラを模って造られたとされます。牛頭戦士の神女が身にまとう特殊な装備の模造品を装備することが可能です。

6−2.アウローラ <Aurora>

 闘争期の時代、城塞都市ドゥーハンにおいて数百年に亘る出現が確認されている魔女です。一説に拠るとその正体は、黄金期の時代に制作された自動人形ともされます。高度な知性を有し、魔法を操る機能を備えています。
 かつて黄金期と呼ばれた時代、強力な魔法の力を多用したことによって、別の次元――魔界との境界が曖昧となり、太古の時代に神々によって異次元に追放された強力な魔神王が出現しました。それに伴い各地に出現した魔神の眷属を滅ぼすために、アウローラは制作されたとも云われています。そのため、現代においてもなおアウローラには魔神属を滅ぼそうとする強い意志が宿っています。