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「米百俵」「大臣心得」「三方一両損」
…過去どのような国もそうであった。偉人の美談は、政権担当者にとって増幅され、国家意識の涵養に利用される。「祖国の偉大な歴史に学び、国民としての自覚を高めよう!」という声は、しばしば、公僕としての自覚を持たない権力者やその属僚たちの口から発せられる。こういう連中は、「現実に目を向けよう」とは、なかなか言わないものだ。彼らに必要なものは、自分たちにとってつごうのよい教訓話だけであって、事実でも学問的真実でもない。
(銀河英雄伝説 外伝4巻第2章より) |
−失業率5.4%に目を向けよう。
「イチローに国民栄誉賞を」「感動した!」
先代の最高評議会議長であったヨブ・トリューニヒトは、反対派からは「巧言令色の徒」として徹底的に嫌われたが、支持者や浮動層の情緒を操作する点においては名人であった。
(中略)国防委員長から議長への昇格をはたしたとき、彼は就任の式典に一〇代の少年少女を四人、招待したのである。
ひとりは家族ともども亡命してきた少年で、脱出のとき両親を殺され、その後、苦労して士官学校に入学したクリストフ・ディッケル。ひとりは大学に合格しながら従軍看護婦に志願し、戦場で三人の兵士の生命を救った少女。ひとりは傷病兵を救済する募金活動のリーダーになった少女。ひとりは麻薬中毒から立ちなおって父親の農場で働き、乳牛のコンクールと弁論大会でともに一位をしめた少年であった。
トリューニヒトはこの四人を「若き共和国民」として紹介し、壇上にあげてひとりひとりと握手して、彼の考案になる「青少年栄誉賞」のメダルを与えた。その後の演説は、羞恥心や客観性とはまったく無縁のものであった。それは美辞麗句の洪水であり、無限につづく自画自賛の嵐であった。その飛沫をあびた者は、一瞬ごとに拡大する陶酔の波紋にまきこまれた。(中略)
超高速通信の画像でこの光景を見て、
「なるほど、あの四人はそれぞれにりっぱさ。だけど、あの四人のやったことと、トリューニヒト氏の政策や識見との間に、どういう関係があるんだ?」
そう疑問を投げかけたのは、当時イゼルローン要塞司令官であったヤン・ウェンリー提督だが、首都から四〇〇〇光年も離れた場所にいたので、その声は有力者たちの耳にとどかなかった。(後略)
(銀河英雄伝説 7巻第2章より) |
−トリューニヒトと比較されるとは、小泉純一郎も光栄なことだね。
彼はタダの「衆愚政治家」なのだろうか?
いや、実はそうとも言い切れないのだ。正確には、彼の背後にいる勢力が問題であって、彼はスピーカーに過ぎないのだが。
それについては、おいおい書いていくことにしよう。(つづく)
管理人の「教養小説」である銀河英雄伝説(田中芳樹氏・著)は、いろいろなことを教えてくれました。
この小説に出逢ってなかったら、管理人は今頃は小泉のシンパだったに違いありません(爆)
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