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ひげよ、さらば

2003年1月22日 のほほ


貴乃花が「ようやく」引退するそうだ。
ファンの方には申し訳ないが、筆者はこの人が大嫌いだったので喜んでいる。
まあ、事ここに至ると、いままでさぞ窮屈だっただろうなと同情の念を抱いてしまうのだが。
いままで無口だった彼が、引退会見では饒舌だったのも、肩の荷が下りて気楽になったことの証左であろう。
なにやら、偉大な義父に負けないよう、威厳を保つために無口を通した上杉景勝を思い浮かべてしまった。

さて、これからの話は、好悪の情を抜きにした話である。

まず問題にすべきは、相撲協会の姿勢である。
相撲に限らず、昨今のスポーツ界全体に言えることだが、無理矢理ヒーローを作って人気を保とうという姿勢が、多くの関取たちの悲劇を招いた。
何とか「ポスト貴乃花」を作ろうと、なりふり構わず大関を粗乱製造している昨今の相撲協会には、失笑を禁じ得ない。
ついでに言えば、やけくそ状態の相撲協会に対し、どこ吹く風な横綱審議委員会にも困ったものだ。
貴乃花を横綱にするかもめたときに「そんなことより巨人の優勝が大切だ」なんて言っていた人物が、今や委員長というていたらくである。
きっと今回の引退騒ぎの最中も「そんなことより松井がいなくなるほうが大変だ」と思っていたのではなかろうか。

第二の「戦犯」は、マスメディア。特にワイドショーを中心としたテレビ局である。
「若貴兄弟」を小学校の頃から追っかけ回し、幕下時代から大騒ぎ。
貴・りえ騒動やら若乃花夫人(名前失念)の話もかまびつしかった。
夫人も芸能人、そもそも母親からして芸能人という家庭環境がいけないのかもしれないが、あいかわらずの「のぞき趣味」には嫌気がさす。
若乃花を日テレが拾ったのは、ある意味、テレビ局としての贖罪なのかもしれない。

そして最大の責任者は、一般の民衆である。
どうしようもない相撲協会やマスメディアに苦言を呈するわけでもなく、普通の人間をヒーローに祭り上げる。おそらく小泉を支持してる連中とイコールなのだろう。
祭り上げられた人間は、ある意味悲劇だ。
貴乃花の場合は、それを受け止めるだけの器量があったからこそ、ここまで踏ん張れたのかもしれない。
若乃花にはその器量がなかった。だが、それは非難されることではない。人にはそれぞれ分相応な生き方があるはずだから。
若乃花が横綱になったとき、筆者の上司が言っていたことを思い出す。
「大関のまま、気ままに相撲取った方が幸福だろうに。横綱になったら、ちょっと負けただけですぐ引退させられるんだから」


早速、貴乃花に国民栄誉賞を、なんて話が出てるらしい。
角界も、政界も、いい加減「人気頼み」から脱却してほしいものである。

最後にやっぱり書いておこう。
「平成の大横綱」?
奴がそれほどの大物か?



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