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銀河英雄伝説外伝「名誉と自尊心」 2007年5月29日 のほほ |
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松岡利勝は無人の空間を凝視していた。天井の下、床の上、壁の手前。そこでは絶望が黒い衣をまとって陰気に破滅の歌をうたっている。彼がすわりこんでいるのは、議員宿舎内の自室だった。豪華と批判を浴びないような質素な内装は、農水省の豪華な大臣執務室もすべてむなしくはかなく感じる。 もう終わりだ、と、汚名を背負った農林水産大臣は思った。ここにいたってすべてがわかった。彼が大臣の椅子をかけて飲んでいた還元水に効果がないばかりか、不名誉な官製談合の責任を彼に押しつけようとする人々によって、検察に売られたのだ。 何の面目があって選挙民にまみえることがかなうだろうか。安倍首相は、光熱水費に関する彼の疑惑を庇い、大臣に留任せしめた。彼はその寛大さと信任にこたえなければならなかった。憲法改正と再軍備をを目指す安倍内閣の目標のために、障害物を除き、米国が撤退した後のアジアでの主導権を保つ為の道路を切りひらかなくてはならなかった。それが現実はどうか。先日までは、還元水で逃れきる可能性を計算していた。だが、出身官庁での談合事件のみならず、摘発企業からの多額の献金が暴露されたのを見て、自分がピエロでしかなかったことをさとったのだ。松岡利勝は、彼を追い落とそうとする人物の正体を確認する気力を失ってしまっていた。野党と国民の嘲笑をさけるには、もはやただひとつの方法しかない……。 もともと狭い視野は、さらに狭くなっていた。正気を失い、ゆがんだ名誉欲だけが肥大した目で、松岡利勝はドアを見つめた……。 室内に入ってきた秘書と警護の警察官が、松岡利勝の縊死体を見出したのは、その直後である。 与党内では、松岡利勝の自縊についての議論が交わされた。 「松岡大臣は、数々の疑惑を解明できないまま死を選んだ。このような無責任さを看過することはできん」 「死んだ松岡君に対して、いささか酷な発言のようだ」 「言うのは心苦しいが、事務所費をごまかしていたことをさっさと認めていればよかったものを、詭弁を弄して認めなかった松岡利勝の自ら求めたところだろう。威信をたもつ道は、事実を隠匿することにはなく、事実を明らかにし、非があればそれを質すことにこそあるのではないか」 そこで反駁した者がいる。政府筋の人間だ。 「松岡大臣を任用なさったのは、安倍総理であられます。あなたが松岡大臣を批判なさることは、安倍総理の声望に傷をつけることになりますぞ。そのあたりをどうかご考慮いただきたいものですな」 「だまれ下ry 書かずにおれませんでした。 ネタとしては全くおもしろくないのですが、彼奴は事実解明を永遠に不可能にしたという汚名が永遠について回ります。 あえて死人を鞭うつ、うち続けることが必要でしょう。 それが「総理の声望」に傷をつけることになるのです(笑) まあ、春秋の筆法をもってすれば、松岡の死が東京公害訴訟を解決の方向に導いたということになるかも知れませぬ。 ところで、「現職大臣の自殺は戦後初」と言うけど、戦前にもいたか? 阿南惟幾陸相の自殺が現役大臣と言えるかどうか…(1945.8.15、鈴木内閣が総辞職を奏上する前なので、現職?) |
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