「時は流れて  詩 中島みゆき



あんたには もう 逢えないと思ったから
あたしはすっかり やけを起こして
いくつもの恋を 渡り歩いた
その度に 心は 惨めになったけれど
あんたの行方を 探したりすれば
もっと惨めに なりそうな気がして

あんたの恋のうわさも いくつか 聞いた
その度に 心は 安心していた
あたし一人が 変わってしまって
あんたが何ひとつ変わらずにいたら
時はなんにも 理由のない
淋しい月日に なりそうな気がして

あんたよりずっと いいと思う相手と
恋をし直して きたつもりだった
人がなんと言おうと おかまいなしに
なんとか今日だけ 楽しくなれよと
明日などないと 酒をあおれば
なお褪めて 今日も まだ生きていた
人生は そんなもの

時は流れて 町は変わった
知ってる顔も 少なくなった
小石のように 転がりながら
そうして あたしは あんたを待ちすぎた
たとえ もういちど まぐれ逢えても
顔も見分けてもらえはしないだろう程に

あんたには もう 逢えないと思ったから
あたしはすっかり やけを起こして
いくつもの恋を 渡り歩いた
その度に 心は 惨めになったけれど

そして あたしは 変わってしまった
泳ごうとして 泳げなかった 流れの中で
今はただ 祈るほかはない
あんたがあたしを みつけやしないように

時は流れて 時は流れて
そして あたしは 変わってしまった
流れの中で 今はただ祈るほかはない
あんたが あたしを
こんなに変わった あたしを
二度と みつけや しないように

時は流れて 時は流れて
そして あたしは 変わってしまった
時は流れて 時は流れて
そしてあたしは
あんたに 逢えない



http://www.youtube.com/watch?v=aY9H347q3XY&feature=related



*この詩はなかなか難しい。唯の未練と捉えれば簡単だが考え様によっては深く人生の
問題を示唆しているとも言えるだろう。そもそも愛とはなんだろう。これが終われば次にと
様に使い捨て出来るものではない。しかしながら諦めもなければ辛すぎてやりきれないだろう。
詩の最後は「あなたには逢えない」と結ばれている。結局、どんなに逢いたくとも逢うことは出来
ないという現実は人の力ではどうにも出来ぬものだ。何か余程の運命があれば再会することも
あるかも知れぬが人は運命には関与出来ないのだ。
それは道理であると同時に不条理でもある。歌の題材として失恋或いは愛の喪失が多く使われ
るのは意味があることで歌うこと、聴くことにより人は暫し慰めを得る。
魂はこの世では様々な苦しみを負う宿命にあるが肉体から解放された時には自由となるでしょう。
もはやそこには泥沼のような愛憎もなく、全ての魂が分け隔てなく愛し合える世界が必ず在ると
信じる。


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