近刊!!
徐京植『秤にかけてはならない』影書房

『ぜいとぅーん』7号で紹介した、パレスチナ・オリーブ、パラムせんだいと徐京植さんとの対話集会の記録「パレスチナと朝鮮」、パラム仙台との対話集会の記録「断絶を見据えて」のほか、「秤にかけてはならない」(『現代思想臨時増刊(日朝関係)』掲載論文)、もうひとつ講演録が入って、本になりました。

映画

エリア・スレイマン監督『D.I.』
2002年カンヌ映画祭審査員賞、国際比評価賞受賞 配給:フランス映画社 

先日東京へ行った際に渋谷ユーロスペースで(7月11日まで上映)『D.I.』を観ました。監督はイスラエル国籍のパレスチナ人。イスラエル内のパレスチナ人の町ナザレ、イスラエル占領下の東エルサレム、パレスチナ自治区のラーマッラーの日常がパロディを交えて描かれています。「笑いの爆弾が誕生!」などと宣伝されていますが、笑うというよりはとてもせつなくていい映画だと思いました。非日常が日常となっている現実のせつなさと、パロディが何かパレスチナ人の願望をストレートに描いているような(例えば、こんな風に検問所を突破できたらいいのになあ、というような)せつなさと。

一方で、分かりにくい、独りよがりっぽい、という感想をくれた友人もいるので、人によって評価のわかれる映画かもしれません。皆さんはどうご覧になりましたか? よろしければ感想をお寄せ下さい。(皆川)

パレスチナ・オリーブの早尾の友人であるパレスチナ人から、映画『D.I.』の感想をもらいました。彼は、イスラエル国内に住むパレスチナ人で、早尾とはエルサレムのヘブライ大学で知りあいました。ちなみに『ジェニーン・ジェニーン』は、イスラエル国籍のパレスチナ人俳優・監督であるムハンマド・バクリーの作品で、2002年3月にイスラエル軍がヨルダン川西岸地区の都市ジェニーンで行なった虐殺の証言を集めた貴重な映画です。


例の映画『D.I.』だけれど、僕は観て、なかなかスゴイと思った。真にアイロニックで、それに商業映画からもかけ離れている。(ここじゃあ、オリーブ・オイル以外は商売にならないけどね。)

監督のエリア・スレイマンが映画のことを尋ねられたときに、彼はこう答えた。「この映画は、ある人びとにとってはつまらないかもしれない。だけれども、あれは私的な映像で、自分と自分の感情について語っているのだから、つまらないと言われてもそんなことは気にしない。」と。

僕が思うに、あの映画で彼が物事を表現するのに用いている手法はラディカルなものだ。人びとが悪態をつくところや、ニンジャ(忍者に扮した女性が闘うシーン)、プラムの種の爆弾、恋人とのプラトニックな愛撫のシーン(彼女はマジでホットだと思わないか?)、その他、その他。だけれども、僕の見方はこうだ。彼は、僕らが物を考えるための手掛かりを与えてくれている。真面目な、あるいはセンチメンタルなアラブ映画(例えば『ジェニーン・ジェニーン』を思い出してくれ)から僕らの身を引きはがしてくれるんだ。

ともあれ、僕は『D.I.』が面白いと思った。もちろん、あれはクズだと言う人もいたよ。日本の批評家らはなんて言ってる?