『ぜいとぅーん』14号(2004年4月)

シンディアナ・ニュース

前号の『ぜいとぅーん』にも簡単に報告しましたが、今回入荷したオリーブオイルは、2002年12月収穫、カッフィーン村の契約農家からのエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルです。

1.オリーブオイルの品質について

今までパレスチナ・オリーブでは、の中で、デイル・ハンナ村のアベッドさん一家のオリーブ畑から採れたオリーブオイルを扱っていました。ところが、今シーズンは、エクストラ・ヴァージンのよいオイルを得ることができませんでした。(2003年12月)

理由の一つは、オリーブバエ発生による被害です。ハエを防ぐためには蝿取りカゴを吊り下げますが、完全に防ぐことは難しい、そして、2002年のように収穫が少ない年には、少ない実にハエが集中するために、被害が出やすいのです。(オリーブは2年周期で量的に豊作と不作を繰り返します)

もう一つの理由は、収穫、オイル圧搾のタイミングを誤ってしまったことです。アベッドさん一家のオリーブ林といっても、この樹はおじいさんが所有、この樹はおじさんが所有などと分かれています。いいオイルを採るには、きちんと相談をして一斉に収穫、すぐにオリーブオイル工場に持っていく必要があります。しかし、昨年は、ラマダーン(断食月)とオリーブの収穫期が重なってしまったこともあり、それぞれが収穫をするのに任せてしまったそうです。このことについてアベッドさんは反省し、「今年は気をつけます」と言っています。

アベッドさんは丁寧にオリーブを栽培・収穫していますが、伝統的、歴史的にずっと栽培されてきているためか、一般のパレスチナ人たちは、酸化濃度などオリーブオイルの品質にそれほどこだわっていない面があります。誰もが「俺のオリーブオイルが一番だ」と言うのですが。いままで、高品質なオリーブオイルを作ってもそれを評価し、買ってくれるところがなかったということも影響しているでしょう。このため、シンディアナが高品質なオイルの技術指導をし、買い入れのパートナーになっていることは重要です。

シンディアナスタッフも、高品質のオイルをつくっていくためにさらに勉強を続けています。3月には、イタリアのオリーブオイル会社の専門家が、ガリラヤの生産者向けに開いたオリーブオイルの質に関するセミナーに、シンディアナのハダスさんが参加しました。すでに知っていることも多かったが、初めて知ったこともあり得るところがあったとのこと。単に酸化濃度などの数値の問題だけでなく、味や風味のコントロールについても具体的なアドバイスがあったそうです。

また、4月の初めには、ガリラヤのオリーブオイル協会が開く、4日間のオリーブオイル・テイスティングの講習会がありました。ハダスさんは、そのセミナーがとてもおもしろかっただけでなく、セミナーの参加者(生産者)とよい出会いがあった、と言っていました。ヨルダン川西岸地区から、農業団体や自治政府の農業省を通じて来た生産者もいたそうです。

2.今回入荷のオリーブオイルについて

今回は、契約農家のうちヨルダン川西岸地区カッフィーン村から2002年収穫分のオリーブオイルを輸入しました。地元のオリーブの樹、スーリ種のおいしいオリーブオイルです。

しかし、『ぜいとぅーん』9号でお知らせした通り、カッフィーン村のすぐ西側に分離壁が建設されました。2002 年の収穫期には壁が建設途中で、検問やバリケードを避け山道を抜けてオリーブを工場に運ぶことができました。(素早くオリーブを運ぶために、「シンディアナ」は抜け道から運び込む人を余分に雇いました) そしてオリーブオイルをガリラヤに運ぶことができました。ところが、2003年には壁が完成してしまったため、シンディアナはカッフィーン村のオリーブオイルを買えませんでした。今後どういう方法があるのか、難しい問題です。

ところで、前号にも書きました通り、オリーブオイルの賞味期限は通常、オリーブを収穫しオイルにしてから約2年間で、2002年収穫分のオイルは2005年1月までとなりますが、今回のオイルは改めて保存状態を検査機関で調べてもらいました。保存状態が良いため賞味期限は2005年10月31日です。

3.有機認定について

これまで、シンディアナの契約農家の一部は、EUの有機認定に準じるイスラエル有機農業協会の有機認定を取っていました。ところが、認定にともなう手数料が急に値上がりし、「シンディアナ」は認定マークのために高額の費用を払うのは無理だ、という結論に達しました。(これまで認定費用は「シンディアナ」が負担していました) そもそもパレスチナ人農家が認定を取るのは困難です。

今まで通り、すべてのシンディアナの契約農家は、有機肥料を使い、オイルの圧搾後も一切の混ぜ物をしていません。オリーブオイルは、化学的な薬品等が使われていないかを第三者機関に検査に出しています。なお、認定マーク付きのラベルの在庫が大量にあるため、マークの上に緑のシールを貼っています。

4.ガリラヤのシンディアナの活動状況

「ガリラヤのシンディアナ」は1996年に発足、農家がオリーブ栽培を発展させること、生産意欲と収入を高めることを支援しています。また、ガリラヤの村の女性たちが運営し、ボトル詰めを行なうだけでなく、ミーティングを持ってオイルや仕事の質、シンディアナの計画、問題点、達成点などを話し合い、生産プロセスにかかわっていることは、女性に安定的な職を作りだすだけでなく、結婚後もアラブ・パレスチナ女性が働く事ができるんだ、ということを示す点でも意味があります。

一方で、市場の開拓も重要です。設立時には、イスラエル企業に独占されている市場に、パレスチナ農民のオリーブオイルを販売する道を開きました。「ガリラヤのシンディアナ」は20トン弱のオリーブオイルを供給・販売してきましたが、その半分以上を国内市場で販売し、海外にはドイツと日本(パレスチナ・オリーブ)にのみ継続的に販売していました。

ところが、イスラエル市場では、もっと安い輸入物がヨーロッパなどから入ってきたこと、パレスチナとの「和平」も崩壊し、経済も破綻してきている(株価の下落、GNPのマイナス成長)ことからイスラエル市場で販売していくことは難しくなってきました。2001年には、ヤーファ(イスラエル内のパレスチナ人の町)のレストランが「シンディアナ」に負債を抱えたまま倒産というできごともありました。

このような事情の中で「シンディアナ」は昨年、IFAT(国際オルタナティブ・トレード組織連盟)へ加盟しました。IFATは、途上国における社会・経済的弱者の労働環境と暮らしの改善と、現在の不公正な貿易の構造を変え、公正な交易を実践することを目指す組織の国際的な連合体です。そして、各国のフェアトレード団体に積極的に売り込み、カナダ、オランダ、イタリアの団体や教会に販売することになりました。

困難な状況が続く中で、シンディアナの役割はますます重要になってきています。私たちも、今まで以上に積極的に取り組んでいきたいと思います。