本紹介&編集後記


演劇

アルカサバ・シアター『占領下の物語II−壁』

2005年3月10-15日、新宿パークタワー3F、パークタワーホール
主催:東京国際芸術祭(TIF)
昨年2月に『アライブ・フロム・パレスチナ―占領下の物語』では迫力のある舞台に圧倒されました(『ぜいとぅーんj』16号で紹介)。パレスチナの劇団による「占領下の物語」シリーズ第2弾。


映画

「リアル/アラブ映画祭」

2005年3月18−19日、アテネ・フランセ文化センター東京都千代田区駿河台2-11 アテネ・フランセ4階
アラブの映画がたっぷり見られる二日間。パレスチナ人の監督では、『D.I.』で話題になったエリア・スレイマン(イスラエル国籍のパレスチナ人)の初期短編集『論争の終わりのための序章』『殺人というオマージュ』『アラブの夢』『サイバー・パレスチナ』や、ミッシェル・クレイフィの『三つの宝石の物語』『許されざる結婚』が上映されます。


『ポリティサイド--アリエル・シャロンの対パレスチナ戦争』(バールフ・キマーリング著、脇浜義明訳、つげ書房新社、2004年)

2000年からの「第二次インティファーダ」は、シャロン(当時野党リクード党首)によるイスラームの聖地の蹂躙への抗議行動によって始まる。自ら作り出した「泥沼の紛争」に乗じて翌年に政権を奪取したシャロンは、次にパレスチナへの「大侵攻」を開始する。自らに都合よく紛争を生み出し利用するこの手法は、1948年の第一次中東戦争以来ずっと、軍人として狡猾さと残虐さで名をはせてきたシャロンが、そのまま政治の世界に持ち込んだものだった。いまや老獪な政治家となったシャロンの生涯を、「建国」以来のイスラエルの歴史に重ねて分析を加えた本書は、複雑で矛盾に満ちたイスラエルの政策を、一貫したひとつのパースペクティヴからていねいに説明をしてくれる。


編集後記

今回は12日間のギュウギュウの日程でした。シンディアナがオリーブオイルのアレンジに大忙しの上に、連携団体であるWACの閉鎖決定で他のスタッフもみんな走り回っていました。

ヨルダン川西岸地区訪問は、たまたまアラファト大統領のお葬式の1週間後というタイミングでした。友人たちは、晩年のアラファトには全く賛成できなかったけれど亡くなったら悲しかった、特にヘリコプターで遺体が運ばれてきたときには感極まった、と口を揃えていました。もうアラファトのような人は出てこないだろう、と。日本で聞くニュース報道は、アッバス大統領(アブー・マーゼン)で和平が進むような楽観的なものが多いですが、パレスチナではアッバスはアメリカやイスラエルの要求を何でも飲む人と見られ、人気がありません。友人の一人が、もう政府は無い(アラファトの個人的なものだったから)と言っていたのが印象的でした。ただ他にリーダーがいない。でもよく考えると、日本もアメリカも他の国も、まともなリーダーがいないよね、と意見が一致してしまったのでした。

一方、今回テルアビブの南部を歩いたときにぼーっとベンチに座っている老人を多く見かけました。建物も見るからに古くてぼろぼろです。テルアビブはイスラエルの首都ですが、北部に近代的な商業施設や高級住宅地が立ち並ぶのに対し、南部は貧しい地域で外国人労働者も多く住んでいます。いまイスラエルのユダヤ人の中でも貧困層の割合が増え問題となっています(パレスチナ人の貧困は問題にもされていない)。軍事費に莫大な予算をかけている反面、教育費や社会保障費が削られているのです。戦争から利益を得ているのは誰なのでしょうか。

短い通信ではお伝えできないパレスチナ、イスラエルの状況はパレスチナ・オリーブの「草の根ニュース」コーナーに掲載しています。