「ガリラヤのシンディアナ」訪問

通信前号でお知らせした通り11月27日にシンディアナやワーカーズ・アドバイス・センター(WACイスラエル内のパレスチナ人のための労働団体)の若者たちと一緒にオリーブ収穫イベントに参加する予定でしたが、どしゃぶりの雨で農地がゆるんだため、12月4日に延期になってしまい、参加することができませんでした。

パレスチナ地域は、10月から3月頃が雨季で時おり雨が降ります(乾季の間は一滴も降りません)。今回は例年より雨が多く、一日中強い雨が降っている日もありました。灌漑率が数%しかなく、天水に頼るだけのアラブ・パレスチナ人の農地には恵みの雨ですが、オリーブの収穫は遅れます。

11月末はオリーブ作業のピークで大忙し。農家やオリーブオイル工場、シンディアナの倉庫を行ったり来たり。シンディアナのマネージャーのハダスさんが一日中車で走り回るのにくっついて、ぶら下がり取材のようにあれこれ話を聞きました。

運搬する車(小型バン)は酷使しているためか、窓が壊れていたり、途中で冷却水が漏れてエンジンが熱くなったり、オンボロですが、シンディアナを支える大事な車です。いまは年間販売量が約20トンですが50トンになったら大きめの車に買い替えられるかな?と笑っていました。もう一つ手放せないのが携帯電話。あれこれアレンジするために電話が鳴りっぱなし。くるくる予定が変わる。予定は未定、、、いつ何をする、という約束があまり成り立たないアラブの文化と、約束を決めてもその通りできるかどうかわからないパレスチナ・イスラエル情勢の悪化があります。また、イスラエル国内で食品を販売するにはコシェル(ユダヤ教に適合した食物)の認定が必要で、そのためにはラビ(ユダヤ教の聖職者)がオリーブ工場を訪問して審査しなければならず、農家や工場に電話してそのアレンジが大変そうでした。

オリーブオイル圧搾工場

イクサール村のハデルさんのオリーブ工場を訪ねました。ハデルさんはもともと別の仕事をしていたそうですが、大好きな、大切なオリーブを仕事にしたくて3年前に工場を始めたそうです。イタリア製の大型機械で作業が進みます。

  1. オリーブの実に付着した葉や土を吸い込んで取り除きオリーブを水で洗う。
  2. 機械をぐるぐる回しながら40分間オリーブをつぶす。このとき、間接的に35℃以下の温水でまわりを暖める。(これより温度が高いと風味が飛んでしまう。)
  3. 遠心分離によって油と水を分離、オリーブオイルを採取。

農家の人がオリーブを運び順番に使います(機械は使用後1回ずつ洗浄します)。今年はラマダーン(断食月)が11月13日に終了。14-16日が断食明けのお祭り。その後いっせいに動き出した上に雨も多く収穫は晴れた日に集中するので、どこのオリーブオイル工場も大混雑でした。デイル・ハンナ村のアベッドさんもアラーベ村のオリーブオイル工場の順番待ちで、夜中の2時に圧搾したと言っていました。

農家

シンディアナの容器(60L入)必要数を農家に運び、オリーブオイルを入れてまた倉庫に運んでタンクに移します。オリーブオイルはまず味見をし、簡単な器具でエクストラ・ヴァージンの基準を満たしているかをチェックします。またサンプルを食品研究所に持っていき、品質や搾ったオリーブオイルだけで何も混ざっていないか等をチェックします。そのイスラエルの企業が使う研究所は広大な敷地、近代的な建物。別世界でした。

今回はアーラ村のナギールさんを訪問しました。ナギールさんは農業指導員です。ナギールさんのオリーブだけでなく、親族のオリーブ栽培に責任を持ち、オリーブオイルをシンディアナに納入しています。そのとき、ロハの話を聞きました。ロハの場所は、アーラ村にも近く、ウンム・ル・ファヘムと周辺の村の人々が私有している土地です。22,000ドナム(約20km)ありましたが、相次ぐイスラエル政府による没収で700ドナムしか残りませんでした。その土地が、1998年に「軍事立入禁止地域」に決定されました。それは、その後の没収を意味します。イスラエルでは、3年使用されていない土地は国家に没収されるという法律があるのです。この決定後、村の人々は海外の人々と一緒に強い反対キャンペーンを行ないました。この結果イスラエル政府と人々が土地を使用し続けてもいいという合意文書を交わし、土地は没収を免れました。政府がこのように一度決定したことをとりやめるのは異例です。

倉庫に保管、ボトル詰め

シンディアナの倉庫を訪問した初日はオリーブオイルのボトル詰めではなく石けんの出荷作業をしていました。一緒に石けんの包装をしながら、マリアムさん、マナールさん、サーミヤさんと話をしました。一番長く働いているマリアムさんの手つきは素早く正確で慣れたものでした。収入になって生活が助かるのはもちろん、働くのは家にずっといるよりいいと言っていました。

ところで、10月にオリーブオイルのボトルのふたを閉める新しい機械が入りました。いま皆さんにお届けしているボトルから使っています。シンディアナ設立当初は、ふたを手で締めていたため、オイルが漏れてしまうというトラブルもありました。海外からの注文が増えてきたのでそれに応えていくためにもふたの機械を買ったそうです。数年前には「検討したけれど高くて変えない」と言っていたのですが、シンディアナも少しずつ前進しています。

WAC閉鎖決定

イスラエルの非営利組織(NPO)登録局がWAC(イスラエル内のパレスチナ人のための労働団体)の閉鎖を決定しました。登録局は、WACが「労働者の権利を守る」とは違う、政治目的で活動していると非難しています。しかし、WACは2000年にNPOとして登録して以来、すべてのエネルギーと資源を注いで、組織化されていない労働者、とくにアラブ・パレスチナ人の労働者の利益を促進してきました。労働者を組織して、ワーキング・グループを作り建設会社の仕事を確保したり、役所との交渉に当たるなどしてきました。

現在WACは裁判所に訴えているほか、労働者を組織する権利は基本的かつ不可侵だ!と閉鎖反対キャンペーンを行なっています。私が訪問したときにも、ウンム・ル・ファヘムの事務所に労働者が集まって次々と発言して盛り上がっていました。詳しくはこちら

 

ミニ通信の目次に戻る