『ぜいとぅーん』25号(2006.6.15発行)


編集後記

先日、渋谷アップリンクで『ガーダ〜パレスチナの詩』を見ました(6月末まで上映中)。

この映画の主人公ガーダは、ガザ地区の難民キャンプで生まれ育ちました。そこで通訳を探していた古居みずえさんに出会います。その後、古居さんはガーダの23歳から35歳まで、結婚・出産を含む暮らしを14年にわたって取材しています。そのような中でガーダは1948年にパレスチナ人が故郷を追われた話の聞き書きを始めました。

歌ったり踊ったりするのが大好き、占領の中でもたくましく暮らしを続ける女性たちの姿。映画では、私には見慣れた、でも言葉では伝えるのが難しかったパレスチナの生き生きとした日常が描かれています。ガーダはイスラエルの占領にもパレスチナの古い慣習にも立ち向かって行く女性です。こういうと何か堅苦しく思われるかもしれませんが、映像で見れば、特別ではなく「普通の」女性であることが伝わってきます。

勉強して、働いて、家事・育児をして、家族を支えながら、自分の意見をはっきり言い、古い慣習にはあらがう活発な女性。実は、ガーダだけではありません。

『ガーダ』を見ながら、何人かの友人たちを思い出しました。毎年、パレスチナを訪問する際には、生産者団体の他に、98-99年にパレスチナに短期留学で住んでいたときの友人も訪ねています。そのとき学生だった友人たちは、いま、母親、父親になっています。その一人は、ガーダと同じように、夫の立ち会いで出産しました。「立ち会い出産は少ないけれど、家族が認めればOK」と言っていました。さらに、子どもたちのための活動や、人権のための活動など社会活動に参加している若い女性もめずらしくありません。

本も発売されました。古居みずえ『ガーダ』岩波書店、2006年

 

ハマス政権成立以来、アメリカとEUがパレスチナ自治政府への支援を停止し、3ヶ月間公務員の給与が未払いになっています。土地・水が奪われ、検問所や分離壁で流通が分断され、産業が破壊され、イスラエルへの出稼ぎもできなくなったいま、ガザ・ヨルダン川西岸地区での就業者の3分の1近くが自治政府から給与を得ています。援助がなければ政府が立ち行かない、というのは健全な姿ではありませんが、占領が続く中で、どうやって自立できるでしょうか。

フェアトレードは、仕事を生み出すと同時に、草の根のネットワークも作っています。

パレスチナの時事状況に関しては「パレスチナ情報センター」をご覧下さい。

(文:皆川万葉/イラスト:あだち)

 

通信目次へ