『ぜいとぅーん』26号(2006.9.13発行)


33日間でレバノン側の死者約1200人(約90%が市民)、イスラエル側の死者約160人(約25%が市民。ただし、市民の半分がパレスチナ人)を出した戦争の停戦から1ヶ月経ちました。しかし、何も終わっていません。レバノン政府ではなくヒズブッラー(ヒズボラ)が真っ先に被害者への支援を始めたという報道もありますが、レバノンで市民権さえないパレスチナ難民を誰が支援してくれるのか、心配です。また、停戦直前にイスラエル軍がレバノンに大量投下したクラスター爆弾の不発弾が地雷のように散乱し、停戦後も死傷者が出続けています。

イスラエルは、右から左までほとんどの政党が賛成する中で始まった戦争が「失敗」に終わったことで、政治的に混乱・分裂状態にあります。

この戦争が始まると、報道が一気に少なくなってしまいましたが、ガザ地区では6月末からのイスラエル軍の攻撃で数百人が殺され、発電所をはじめとする生活インフラが破壊されました。

ヨルダン川西岸地区での「暗殺作戦」も続き、分離壁の建設も続いています。

また、1月のハマース政権発足以来、欧米からのパレスチナ自治政府への援助が途絶えたため、公務員は何ヶ月もタダ働きするだけで、給料のない7ヶ月間というのは、生活を直撃しています(ガザ・西岸地区の就業者の3割近くが自治政府関連です)。

フェアトレードは、どちらかというと、構造的に平和で平等な社会を求める取り組みで、緊急行動的ではありませんが、パレスチナ人にとって、仕事が重要なことは変わりません。

日本政府とパレスチナ・イスラエル

日本政府は、これまでパレスチナへ500億円以上の無償資金協力を行なっています。しかし、これまで日本政府も資金を出した空港や道路などが破壊されています。イスラエル軍による6月末のガザ空爆でも、日本のODAで補償対象になっていた橋が破壊されていますが、政府はイスラエルへの抗議をしていません。

また、日本政府はヨルダン渓谷で開発援助計画を進めています。ここはヨルダン川西岸地区ですが、イスラエルの入植地やプランテーションが広がり、イスラエルが管理・占領し続けている地域です。イスラエルは、ここを将来的にも「緩衝地域」とし占領し続ける方針を打ち出しています。(詳しくはパレスチナ情報センターの特集「平和と繁栄の回廊」構想をご覧下さい)。


「ガリラヤのシンディアナ」ニュース

オリーブ商品を生産・販売している「ガリラヤのシンディアナ」は、ガリラヤ地方を中心に活動しています。パレスチナ人のための団体ですが、スタッフにはパレスチナ人もユダヤ人もいます。

7月13日、「ガリラヤのシンディアナ」および関連団体(女性フォーラム)で働くパレスチナ人スタッフ、サーミヤ・ナーセルさんの自宅(ガリラヤのマジダル・クルム村)を、なんとヒズブッラーのミサイルが直撃しました。サーミヤさんは女性フォーラムの仕事で外出中で無事、家族2人は軽傷ですんだものの、建物は大きな被害を受けています。サーミヤさんは2002年に来日したスタッフです。

コフル・カナ村の「ガリラヤのシンディアナ」の事務所、ナザレの「マアン」(パレスチナ労働者の団体)の事務所も一時的に閉鎖しました。これは、ヒズブッラーのミサイル攻撃が激化し、ナザレで7月19日に7歳と5歳のパレスチナ人の子どもが亡くなるなど、状況の悪化を受けてのことです。また、ハイファ港が閉鎖されていて、7月末にはオリーブオイル、ザータル、石けんが出荷できずに港で足留めを喰いました。

「ガリラヤのシンディアナ」や関連団体の人々は、抗議声明を出したり、他のイスラエル左派のグループとともにデモ等に参加したり、イスラエルに戦闘を止めるようアピールしました。同時に、ヒズブッラーのミサイル攻撃にも抗議しました。今回の戦争では、予備役兵の徴集等もありましたが、シンディアナのユダヤ人スタッフは、以前から軍務をいっさい拒否しています。イスラエル国籍のパレスチナ人は兵役がありません(イスラエルでは、原則18歳から男性は3年、女性は1年9ヶ月の兵役があります)。

ガリラヤのシンディアナ10周年記念!

限定100部 2007年カレンダー予約受付中(→売り切れました)

石けんセットのポストカードに続き、イスラエル内のパレスチナ人アーティストとのプロジェクトでカレンダーが完成しました!

12枚の絵があり、アラビア語と英語で、曜日や絵の題名が書かれています(題名の日本語訳一覧は別紙でつけます)。限定100部入荷、価格は1,260円(税込み)の予定です。17cm×23cm詳しくはこちら


ナーブルス石けん工場ニュース

9月初めに電話で石けん工場のマジュタバさんと話しました。

レバノン戦争が始まってから、ヨルダン川西岸地区でも、イスラエル軍による検問所の封鎖がさらに厳しくなりました。現在、35歳以下の若者は検問所の通過が禁止されています。自宅と石けん工場の間に検問所があるので、ナーブルス郊外の石けん工場に行くのも、毎日ひと苦労。マジュタバさんは35歳を超えていますが、レバノン戦争開始からこの1ヶ月半、車で検問所を通り抜けることはできず、歩いて通るにも毎日数時間かかります。「高齢である私の父も一緒だったけれど、今日の午後も2~3時間待たされたよ。」「イスラエル軍は、レバノンにはミサイルで、パレスチナには封鎖で攻撃していたんだよ」

通常なら、クリスマスのギフトシーズンに向けて注文が入る時期なのに、この2ヶ月間、ほとんど注文なし。「ガリラヤのシンディアナ」もこの1ヶ月半は、ハイファ港が閉鎖で出荷できませんでした(現在、再開)。いい石けんを作る技術を持つ職人さんたちがいるのに、仕事がありません。

この7ヶ月間、自治政府の公務員は給料をもらっていないので、9月の初めから2週間、公務員はストライキに突入中。役所も病院も裁判所も、みんな閉鎖中だということでした。公立学校も9月からの新学期が始まっていないそうです。

人々にお金がなくて何も買えないのでナーブルスの市場も空っぽ。主食であるパン屋さんまで、パンが売れないそうです。本来ならば、町が活気づき、人々がいろいろ贈りものを買う、ラマダーン(断食月)まであと2週間です。

いつも明るいマジュタバさんからひどいニュース続きなので、最後に「何かいいニュースある?」と聞くと、「厳しい状況には慣れっこというのが、いいニュースかな。家族は元気だし、状況以外は全てがいい。」という返事でした。以前は石けん工場で共に働いていたマジュタバさんの弟2人は、ドバイに出稼ぎに行って4年になります。

石けんキャンペーン中!!

12月31日まで。オリーブ石けん12個以上お買い上げの皆様にもれなくオリーブイラストカードなどをプレゼントします。まもなく、新しい工場で作った石けんに切り替わります。ますます良くなっていますので、ぜひお買い求めを! 新作の4種類の石けんセットも、まだあります(通常商品としてご注文できます)。

 

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