『ぜいとぅーん』30号(2007.10.4発行)


イスラエルの兵役

イスラエルでは、男性3年、女性1年9ヶ月の兵役が義務づけられています。

シンディアナのユダヤ人スタッフ、ハダスさんの娘ケセムさんが今月17歳になります。まもなく、兵役に関する政府からの文書が届くそうです。ケセムさんから話を聞きました。


「兵役は拒否します。兵役について友達と話し合っていますが、友達は私が行かないということは理解してくれるけれど、自分たちは行くのが当たり前だと考えています。書類が来てから、兵役拒否を支援しているグループに相談に行きます。いまのところ、公的ボランティア活動(ナショナル・シビリアン・サービス)に参加しようと考えています。いい経験になると思うから。」

「友達とは、何か事件があったら政治の話をするけれど、普段はあまりしません。政治のことが生活の中心ではないから。政治的に意見が違っても友達は友達です。そもそも、政治的に同じ考えの人がいないのです。左派の友達とも意見が異なります。私は両親と同じように、普通の左派の人よりもっと左です。(註:シオニスト左派ではなく、ユダヤ人を特権的に優位に置くイスラエルの国家のあり方に反対する反シオニスト)」


ハダスさんはケセムさんに自分で考えて欲しいから兵役についてまだ話し合っていないと言っていました。ハダスさんは公的ボランティア活動にも疑問を持っているそうです。

2001年8月、イスラエルで兵役を控えた62人の高校生が連名で、抑圧・加害をする側には回らないという意思表示をし、当時のシャロン首相に書簡を出して以降、数年間は、兵役拒否の運動が盛り上がりました。ガザ・ヨルダン川西岸地区へのイスラエル軍の大規模な軍事行動が行なわれていた時期です。兵役拒否者は投獄されました。

しかし、政治的に兵役を拒否する人には、露骨な軍事行動を拒否する人から、イスラエルの軍隊そのものを拒否する人、イスラエル国家のあり方に異議を唱える人まで幅がありました。現在、兵役拒否は政治的な運動としては下火です。

一方、兵役に行く人は減っています。イスラエルは良心的兵役拒否を認めていませんが、ユダヤ宗教学校に行く人、身体的・精神的に困難がある人には兵役免除があります。(医者に証明書をもらう。→その後インドや日本に放浪!というパターンもあります) このため、とくにテルアビブなどの大都市に住む若者たちの「兵役逃れ」が増え、とくに女性の40%が兵役に就いていません。

8月、イスラエル内閣府の下にナショナル・シビリアン・サービス管理局ができました。これまでにも兵役を免除された人が病院、高齢者施設、学校、環境保護などの公的ボランティアに参加することがありましたが、今回それを制度化するということのようです。内閣府によれば、兵役に行かない人々も(国民統合のため)国家に貢献するする機会を整える。ただし、正式に兵役の代わりになるものではなく、兵役義務が優先されます。巧妙なやり方です、、、。

 

通信目次へ