『ぜいとぅーん』30号(2007.10.4発行)


編集後記

ファタハ対ハマス??

ヨルダン川西岸地区の知人たちは、イスラエルの制限によって、電気やガス、生活物資が不足しているガザの人々の生活を心配していました。現在、西岸地区からがザへは食糧しか送ることができません。イスラエル軍の侵攻も絶え間なく続いています。

ガザに親戚が多いAさんは、(祖父母が1948年に難民となった)、以前は、よくガザに行っていました(現在は許可が出ないので行けません)。「ファタハとハマスの対立ではない。イスラエルとアメリカが武器を送り、パレスチナ政府が弱った。ファタハとハマス政権の対立に、(武装勢力ではない)みんなは戸惑った。ガザの人はとてもいい人たちで、タフなんだ。だから、イスラエルとアメリカはガザをつぶしたかったんだ」

Bさんは言いました。「ガザは西岸よりましだよ。セキュリティーがあるし法がある。政府がきちっと全体をコントロールしている。西岸には法がない! ファタハの新政権は、あれこれ変えた。いま、西岸のハマス支持者は何にも参加できない。政治活動はやめて普通の人になっている」(Bさんはどちらの支持者でもありません)

子どもたちへの影響

知人宅でテレビを見ていたとき、あるCM(公共広告?)に ショックを受けました。アニメーションで描かれています。


リュックを背負った学校帰りの小学生の男の子が歩いている。→たまたま、イスラエル兵に殺害されたパレスチナ人のお葬式の行進が通った(お葬式はしばしば抗議デモの意味合いも持つ)→男の子はデモの参加者に手を振って挨拶をする→男の子は行進に背を向け歩き始める。→イスラエル軍の流れ弾が当たって男の子が死ぬ。


「なに、これ? 子どもに気をつけなさいって伝えるCM??」と聞くと、何でもなさそうに「そう」との返事。他の友人にもこのCMの話をしたら「事実あった話でしょ」。

家の中で子どもが闘いごっこやお葬式ごっこをしているのも見かけました。4歳の子を持つ友人に「将来、子どもが武装組織に入らないか心配にならない?」と尋ねると「自分は子どもたちを止めるから大丈夫」と言っていました。いったん武装組織に登録し、武器・訓練・お金を与えられてからは組織を抜けることができないそうです。だから、登録前に親が止めればいい、と。

新学年とラマダーン

9月1日から学校の新学年が始まり、13日からラマダーン(断食月)が始まる直前という時期でしたので、町はにぎやかでした。あちこちの家庭で、子どもが文房具や服を親に頼んでいました。さらに、ラマダーン明けには新年で新しい洋服などプレゼントをあげる習慣なので、お金がかかる時期でもあります。「ラマダーン中はみんなが日が沈む前に早く家に帰りたいことを知っていて、イスラエル兵がわざと検問所で時間をかけるんだ」などと言うことも聞きます。

パレスチナの全体的な状況に良い変化は何も見られず、購買力も落ちていますが、グローバリゼーションの影響で、お店にはモノがあふれ車や携帯電話も増えています。子どもたちは日本のTVアニメに夢中です。

パレスチナに行くと、一見して普通の日常生活と占領のギャップ(あるいは日常化した占領)にいつも戸惑います。

 

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