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夫の独り言

「ねぎを刻む」と京王線

 はじめて江國香織さんの作品を読んだのは私がまだ学生で東京に住んでいた頃です。最初に「つめたいよるに」(新潮文庫)を読みました。この本は短編小説を集めたものなのですがその中でとくに好きになったのは「ねぎを刻む」でした。始まりの駅のホームのシーンから最後にちょっとだけ孤独から立ち直るシーンまで、わずか5ページしかないのですが、そのモノトーンな感じが好きになりました。それは私が当時東京で一人暮しをしていたということもあるのかもしれません。また、当時付き合っていた人のことを私も「滅茶苦茶に、心底、もう死にそうに愛していれば問題ないのだ」と思っていたからかもしれません。京王線という私鉄で大学とアパートを行き来する毎日で、主人公の女性に共感するところがありました。そしてこの本を書いた江國香織さんにも興味を持ちました。それから私は江國さんの本を探して読むようになりました。
 余談になりますが、「いくつもの週末」に江國香織さんがお正月に実家に帰る話があるのですが、それを読み実家が調布にあることを知りました。また、「都の子」の『母の抽出』の中に、調布の前は烏山に住んでいたことが書かれていました。いずれも京王線沿線なので、このことを知ったとき、もしかしたら京王線を思い浮かべてこの作品を書いたのかもしれないなと思い、嬉しくなりました。
「ねぎを刻む」と京王線