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夫の独り言

生と死の境界線(Jan.20, 2001)

 「つめたいよるに」に川本三郎さんが書かれた解説が好きです。これを読むと、私がどうして江國さんの作品が好きなのかをいつも認識させられる気がします。
 川本さんは「『デューク』は一種の怪談である。」としながら、通常の怪談と違っておどろおどろしさがなく、「ここでは生と死がとても近い関係にある。」と言っています。また、生と死が分断されていなくて、死を遠いものではなく親しいものとしてとらえているとも書いています。若いようで老成しているのは「たぶん、子供のころに早くも人生には死があることを知って、それとコンタクトをとろうとしながら成長してきている」ためではないかと書かれていますが、私もそう感じます。そういえば、「泣かない子供」の「はしにねがいを・・・」に「この世とあの世をつなぐ石橋がほしい。」と書いています。このエッセイも私は好きなのですが、このエッセイで会いたいと書いている人との別れは、もしかしたら江國さんが小さいころのできごとかもしれません。また、私は死を遠いものではなく親しいものととらえている点では、「スイート・ラバーズ」も好きです。
 また、この解説には「江國さんの作品には『好きなもの』がたくさん出てくる。」とも書かれています。これもまた私が江國さんの作品が好きな理由の一つです。以前、夫の独り言で江國さんのマイノリティーの人に対する暖かい眼差しが好きだと書きましたが、江國さんは他の人があまり取り上げないような舞台(場所)を取り上げているような気がします。たとえば、養老院であったり、修行僧のいるお寺であったり。そういったところも好きです。
 最後に、私も平田オリザの青年団が好きです。「ソウル市民」や「バルカン動物園」「北限の猿」などを観ましたが、アゴラ劇場で青年団の演劇を「冒険王」で初めて観たときの衝撃は今でも忘れられません。